広げた風呂敷を無造作に丸めてゴミ箱に入れた後編
(以下、昔の記憶のため、少しばかり実際と違うところがあるかも知れません)
録画途中でテープ切れのような終わり方をした「JOKER」の完結編。
前作ラスト直前に攫われた幼馴染のラウラを探すため、また全ての元凶を封じるため、主人公とブランカが引き続き彷徨います。子供の使いのように情報収集三昧(立ち絵を相手にコマンド選択)ののち、何とかラウラを救い出し、最後の敵を華麗に屠り、ラウラと一緒に村に帰る主人公。一方のブランカは探していた妹を見つけ出し、故郷のルーマニア領トランシルバニアに帰ります。
あれ、おかしいですね。他のテキストから見るにへイズ大統領在任時が舞台らしいんですが、ブランカが帰るはずのトランシルバニアは当時はルーマニア領ではありません。また、終盤にラウラが唱える先住民の呪文は何故か英語です。そもそもラウラって先住民の名前としてどうよ。その他、全編を通じて言葉の端々におかしいところが存在します。まぁ「西部ヲタ、粗探しに必死www」と言われればその通りなんですが。
次に肝心のシナリオ。前作で最重要人物だったはずのスペードクイン、単なる情報屋さんに成り下がってしまいました。ちなみに、そのほかの伏線も、ほとんどが終盤のドタバタに紛れて有耶無耶のまま解決(一部は無かった事に)してしまってます。その代わりかアマゾネス族みたいな先住民の族長(クレメンタイン…これも先住民の名前とは思えませんね)とかが出てきて、さあこれが重要人物なのかなーと思いきや、やはり結局は情報屋で終わります。
ラストでは最大の厄災を、救出したラウラを含むみんなで封じるわけですが、これもかなりグダグダです。どこからともなく筋肉牧師が沸いて出てきて美味しいところを掻っ攫ったかと思えば、長らく人々を苦しめた最大の厄災は主人公の銀球一発で沈みます。あれー。
ブランカの妹ヒルダの扱いも結構おざなり。なんか敵だったのがいつの間にか仲直りして淡々ムード。こんなんでいいのかと思いつつ、そんなダウナーな雰囲気のままエンディング。夕日に消えるブランカ姉妹は結構いい感じですが、投げっぱなし感は否めません。ていうかブランカよ、無理に故郷に帰る事は無いんじゃないのか。
何というか、めんどくさいからさっくり纏めました、という終わり方。その気になれば壮大なストーリー展開と感動のラストも可能だったのでしょうが、ライター自らが書くのをイヤになった感がひしひしと伝わってきます。
Hシーンは雑貨屋の店員や女族長など。覚醒したブランカと交わる以外は、無理やり濡れ場入れたなーという風の必然性のないシーンばかりです。そのくせ、ラウラとのHは結局ありませんでした。何でやねん。
ところでこの作品、エロゲー界に激震をもたらした「京都エロゲー万引事件」の直後に発売されました。これはどういうことかと申しますと、警察がエロゲーを猥褻物として取締った(当時はモザイクを外せる作品が存在しており、また、プレイ年齢の制限も設けていなかったので、かなり問題となった)ため、一時的に業界内の自主規制が厳しくなっていた時期なのです。結果、本作を含め、この頃に発売されたゲーム(他にはテクノポリスソフト「コンチネンタル」・フェアリーテール「華麗なる人生」・クイーンソフト「MAD PARADOX」など)の多くで、Hシーンは総じて「胸から上だけ」や「ぱんつあり」ということになってしまいました。全く惜しい事です。ぜひとも完全版(?)を出して欲しかったですねぇ。