珍作・怪作……「ゲテモノ」?
この作品全体で、何回「死ね」「殺す」と言っているんでしょうか。
そして随所に飛び交う「チビビッチ」「スベタ」「クソアマ」、そして実弾とヘッドバット。
自称・良識人が触れば間違いなく眉を顰め、あるいは卒倒しかねない作品。
ヤンデレ物?ああ、それは体面を気にした言い方。実際のところは基地外コメディーですよあっはっは。
さて本題。やっぱり仮にもエロゲーなんですからヒロインが気になりますね。ご覧頂きましょう。
・思い込みが激しく、タイトル通りの狂信性を主人公に対して持つ同居人
・四重人格者で、うち1つの人格はトリガーハッピーというブラジルのスラム育ちの自称婚約者
・妄想癖を持つ、デムパ全開な腐女子クラスメイト。ていうかS県月宮
……このうち、何れか一人でも身近に存在したならば、あなたの人生は相当に楽しい(斜め上な意味で)ものとなるでしょう。
ところが本ゲームでは、これらの混ぜちゃいけない劇薬を見事にミックス加熱シェイク。リアルでは経験できないししたくない非日常を思う存分堪能できます。すごいね。
EDは、基本3キャラには個別分岐後の好感度に応じて各々TRUEとBADがあります。BADは当然もれなく死亡ですが、ルートによってはTRUEでも死にます。しかも理不尽に。
ちなみにBADを見なくてもCGやシーンは埋まるので、面倒なら見に行く必要はありません。
なお、好感度や周回数によってテキストやイベントに差分があります。特に最終ルートであるファヌルルートへは4周しないと選択肢が出てこないので注意。
そのファヌルルート、締めらしく一見するとタダのドタバタでは終わらない、そこそこシリアスな展開となっていますが、よくよく読むとやっぱり基地外なことを難しく言っているに過ぎません。
また、このルートで「我思う故に我あり」を「コギト・エル・ゴスムス」と変な切り方してますが、正しくは「cogito ergo sum」=コギト・エルゴ・スムです念のため。
幕間のナントカ劇場は、話がちょっとシリアスな雰囲気になりそうなときに「いや、コメディーなんですよ」と強制的に流れを変える役には立っていました。が、あまりに唐突な出方のため、テンポが崩れてしまう場面も。例えば一日の終わりなどという風に、定点で出てくるようにして欲しかったかなぁ。
しかも所詮オマケ要素ですので、選択肢によって好感度増減があるなんてのは完全に本末転倒です。
エロは各7(ファヌルのみ5)程度で、ボリュームとしてはこの程度でしょう。むしろ異常なシチュエーションばかりというのが何ともアレです。
同人ベースなら、この程度にヤバげな作品は散見されますが、これを商業ベースでやる度胸は大したもの。
こういうイカレ……もといイカした珍味は、たまーに出るとワクワクしますね。こればっかりってのは勘弁して欲しいですけど。
プレイ時間は確かに短いですが、このノリで長時間やってられるかと言われると相当厳しいものがあり、これくらいで丁度良かったかと。
むしろ定価8800円が辛いです……5800円くらいのミドルプライスなら、手軽なネタとしてお薦めできたのですがねぇ。