つまらない所で損してます
(2008/06/14 20:50 大幅加筆)
丹精込めて育てた素材をふんだんに使いながら、締めるべき所を締め損ね、しかも余計な味付けをしたために微妙な仕上がりに。
まず、ツンデレを目指したはずの妹が横暴すぎて大失敗。
導入から前半にかけての傍若無人っぷりを見せ付けられては、その後に甘々デレ展開が待ってるとしても、耐えられずにプレイを断念したくなる気持ちもわかります。
M属性だからオッケーというレベルではありません。某30分罵倒の妹さんが、いかに良い妹だったかを涙ながらに実感できます。
横暴といえば、アルの初登場シーンも中々なものです。キャラクターの良さを、あのシーンだけで殺してる気がしないでもありません。
また、随所に織り込まれた内輪ネタや微妙なギャグ。これは完全に要りません。
せっかく「21世紀も過去となった時代」という設定をし、作中でも細かな舞台背景の説明を入れておきながら、「箱庭ゲーム」とか「しゃくなげのディレクターが」といったネタのせいで一気に興醒め。
笑わせようと言う姿勢は評価します。が、もうちょっと笑いの基本を勉強したほうがいいですね。
以下、ルート別感想をば。
●六花
何も考えないで選択肢を選ぶと、自然に六花ルートに入ります。
個別に入るとデレ展開になるのですが、変化があまりに唐突な上、序盤とのギャップが激しすぎて、どうも評価できません。
意味のないHシーンが連続するあたりも、いかにも詰め込んだ感があり、微妙。
ラストには六花が暴走するシーンがありますが、ちょっと唆されたくらいで、あんな極端な行動を取るというのも……所詮は空気の読めない暴力女ってことで片付けるのは簡単なのですが、ジェラシーとか不安感を掘り下げればマシになったかも。
そして六花の行動に意味がないと判った後、それでも暴走の手助けをする主人公も意味不明です。結局はエラい2人に後始末してもらっている辺りが道化っぽくてナイス。
さらに、六花が主人公を思い続けていた理由も弱いです。あまりに定番なので、ライター自身が細かに書くのを面倒くさくなって割愛したのでしょうか。
ところで、このルートのゆるこ先生。「キスくらいしたことある」と発言し、寮内のみならずプレイヤーにまで処女と思わせておきながら、実はしっかりと経験済だったって……うーん騙された。でも、そんな所にギミック隠す暇があったら、本編をしっかり作ってください。
●睦月
キャラの壊れっぷりがいいですね。でも、ストーリー自体は物足りません。
まず、組織を裏切った理由が稀薄すぎ。子供じゃあるまいし、諭されて止めるくらいなら最初からやらないで下さい。つーか「21世紀も過去となった」時代で、しかも日本じゃないのに、会津藩って通じるんだ。驚きだね。
組織壊滅後、「女王」に再び協力することになる理由もしょぼいです。主人公や寮の仲間の存在はバイク以下ってことでしょうか。
Hシーンも取って付けでおざなり。動かしにくいキャラというのは確かですが、それにしても盛り上がらないこと極まりありません。
ちなみにここで、トレントが3年間無敵だった理由が明かされますが、まったく理由になってません。3年の間、挑戦者は女性ばっかりだったのでしょうか。謎。
●アル
物語のメインルート。
さすがに丁寧に作りこまれています。全編が予定調和といえばそれまでですが、ラストは少しだけ感動しました。
唯一、終盤の「女王」解放の条件のくだりが何とも。無理に笑いを入れようとしたのか、ライター自身も良い解決法が思い浮かばなかったのか。
●薫
このルートも中々の出来。
登場シーンこそ雑魚いライバルキャラだった薫ですが、実は物凄く真面目で努力家で良い娘。惚れました。ていうか六花いらないんで薫を妹に下さい。
そして、ひたむきに頑張る薫を応援する主人公。見てて微笑ましいです。物語のレベルこそ段違いですが、「かにしの」のみやびルートを彷彿とさせます。
ただ、単なる学園モノになっているのが惜しい。魔法学園の意味ないじゃーん。
終盤に、もうちょっとドンパチあってもいい気がしましたが、まぁこれはこれで。
●花子
エロゲ。以上。
というわけで、既に指摘されている方もいらっしゃいますが、ルートによって良し悪しの差が激しいです。
良いほうのルートの流れで安定していれば、秀作とは言わないまでも佳作くらいには為り得たでしょう。
最後に、些細なことですが、熟語を並べたり読点抜きで平仮名を続けるといった点は直したほうが読み易くなると思いますぜ。
で、この主人公の魔法って、要するに某ゼ□のアレですか?