ロマンスがありあまる
この作品は安価ではあるものの、プレイヤーを美しい世界観に浸らせてくれる一品だ。
低価格の抜きゲーであるために、ストーリーはボリューム不足であるが、かえって冗長さがなく纏まっている。
皆から尊敬される教師である主人公が吸血鬼の生徒のキリエに恋をして、堕落していく話の流れは背徳感にあふれ、魅力的。
また、八宝備仁さんの描くキリエの線の細さも作品の雰囲気にフィットしていて、これまた没入感を深めてくれる。
そして特筆すべきはBGMだ。
ピアノを主体としたメロディアスな音楽には、思わず情感を揺さぶられる。
ストーリーでも大きな役割を果たし、この作品に深みを加えるのに一役買っている。
ただ、キリエの声が甲高くロリロリしすぎていたことと、エロシーンでのデレが早すぎて、話の展開と整合性をきたしていたのは目についた。
まとめると、この作品は廉価ながらも小粋のいいストーリーや美麗な絵、上質な音楽で綺麗にまとまっており、ミステリアスな雰囲気を存分に味あわせてくれる。ロマンを求める人や厭世的な気分の人はぜひ。