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RIGHT EYEさんの天使の羽根を踏まないでっの長文感想

ユーザー
RIGHT EYE
ゲーム
天使の羽根を踏まないでっ
ブランド
MEPHISTO
得点
80
参照数
701

一言コメント

美しい背景美術に幻想的で壮大な物語設定。この物語が、ちゃんと閉じて行くんですよ!

長文感想

●<アウトライン>
 - 神様の実在が証明された、そんな時代。
   毎年、神様の隣席に選ばれたμは、神様にお願い事をして
   一つだけどんな願いも叶えられるのです。
   そうして7年前、選ばれたμのお願いによって
   この世界は「大崩壊」から救われました。
   神様は毎年、太陽の島と月の島に居る者の中から
   μを選ばれます。
   ですから、教会は
   その二つの島にμに選ばれる者を育成するための
   学園を設けました。―― 聖ソルイソナ学園。
   そこに、夕星のお嬢様が、通われることになりました。
   そこの使用人あやめくんは、それに焦りに似た感覚を覚えます。
   「私には時間がない。私も学園にお付き添いして
    お嬢様にこれまでの恩返しをしなければ。」
   そうして、夕星のお嬢様の羽音、使用人のあやめは
   ともに学園生として学園に向かうことになりました。
   あやめの弟くん、空も修道士見習いとして
   学園について行くことになりました。
   あやめは、女装することになりました。
   だって、学園は女子校ですもの。
   学園に船が着くと、そんなことよりも大きな問題が
   あやめを襲いました。
   なんと聖ソルイソナ学園は二つあったのです。
   あやめは"太陽の学園"へ。
   羽音は"月の学園"へ。
   太陽の学園は、神様の奇蹟を授かる学園。
   月の学園は、神様の魔術を授かる学園。
   二つの学舎は、卒業するまで全く交流が出来ないのだとか。
   あやめは焦ります。
   「これではお嬢様に恩返しができない!」
   あやめと空は、果たしてどうすれば良いのか。
   思いもつきませんでしたが、でも決してあきらめませんでした。
   ここから、物語の始まりです―― 。   
 
●<評>
設定・シナリオ・テキスト
- 主人公だけに限らず,ヒロインも皆、ズバ抜けて強い。
  戦闘力、ということではなく,精神的に果てしなく強い。
  ここが、当作の要だと思います。
  主人公が女装主人公ですが
  そこを含めて、キャラクター設定を受け入れられさえすれば
  高評価になるのではないでしょうか。
  物語は、「お嬢様に恩返しをする」という
  明確な目的を主人公が持ってプレイできるので
  序盤からモチベーションが高まります。
  ただし、こうなると
  羽音以外のヒロインルートに行きにくくなりがちですが
  上手くフォローがありました。
  「お嬢様に恩返しをする」というのも要するに
  主人公をヒロインを立派な人格者に育てる
  そういうゴールを意味していますので。
  物語の核はそこになります。
  だから、前述のように
  キャラクター設定が受け入れられるか否かが楽しめるか否かに関わって来ます。

  物語の下地が聖書ですので
  先が読めるのが難点。
従ってグランドENDルートは、先が読めます。
  読めながらも回収すべき伏線を回収して予定調和に落ち着く安心感が心地よいです。
  その点、物足りないと言えば物足りないかも。  
  
原画・背景・彩色
- エロゲ初原画かと思われる蛇足さん。
  そして、いつものヨダさん。
  なかなか良いコンビですね。
  結構な頻度でSD絵が登場するのですが
  なぜか違和感がありません。
  蛇足さん絵ですが
  太陽と月の学園、それぞれの制服
  とてもらしくて、良いですね、これ。
  どちらのあやめくんもかわいらしいです。
  女装に男装に天使にシスター。
  大変な服装ばかりですが
  雰囲気作りに貢献しています。
  Hシーンのイベント絵は
  正直、凡々とした構図ですが
  悪くはありません。
  今回は攻略キャラ以外にも自慰・被虐・口淫などの
  Hシーンが盛り込まれており
  全体のCG数がすごいことに!
  久々のCG100枚超お疲れ様でした。

  太陽と月、二つの異なる舞台がありますが
  背景はかなり頑張っています。
  特に月の学園編の
  夜の淡い光、室内の蝋燭の細々とした灯りの表現が
  とてもキレイでした。
  太陽の学園編も
  曇り空から射し出る一条の光など
  なかなかキレイです。   

  気になるところとしては
  あやめの戦闘シーンが度々あるのですが
  いつも使い回しのCGなのが少々寂しいです。

その他
- 鈴田美夜子さん、失礼ながら
  初めて良い、とおもいました。
  主観ながら、いつも某ラジオ放送や、クドわふたーを想い出して
  声を聴いて笑ってしまうのですが
  あやめくんの中性的な感じがよく伝わってきました。
  実に演技派な方だと思います。
  反対に、佐本二厘さんは
  今回は男の娘ではなくて、男装役。
  こちらも、新鮮なふーりんボイス。
  ただ、今作は、ヒロインより
  その他のサブキャラ勢の役者陣が
  よい演技をされていた記憶。

  システムについては
  今作は16:9フルスクリーンでプレイしたのですが
  通常の4:3画面比から横に拡大されてしまうのは
  私の設定が悪かったのでしょうか?
  その他、システムは基本。
  クリックボイス継続可能。
  
●<感想>
- なんでレーニナのおっぱぃCGが無いんだ!!?
  …なんて、そういう所を見るゲームじゃないのは
  判ってはいるんですけどね。
  それでも朱門さんのタイトルにしては
  エロの回数は頑張っていたと思います。
  発売前まで攻略キャラだと思っていた
  つみれ先輩が自慰だけで終わったのが
  残念過ぎるのではあるのですが。

  お話はそこそこ面白かったです。
  ちゃんと広げた風呂敷を仕舞ってくれています。
  こういう古典(?)を下敷きにしたお話は
  ダイスキです。
  その分、お話の先が読める、と言えば読めるのですが
  その期待通りにあやめくんが活躍してくれる
  痛快さが、ありました。
  今は、確実に、かっこいい主人公が流行る時代ですね。  
  朱門さんらしく、あやめくんや羽音の
  印象的なセリフも良かった。
  
  私がこの作品で一番魅力を感じたのは
  そうしたセリフももちろんながら
  舞台設定とそれを支える背景美術と音楽です。
  舞台の雰囲気がとても好きです。

  あぁ、それとですね。
  PLAYしてみてお得に思ったのがですがね。
  井上ねねこさんの声が
  とっても成瀬未亜さんのお声に近いのがですね。
  おぉぉぉっ!
  と、とってもお得な気持ちになりました。