ErogameScape -エロゲー批評空間-

RIGHT EYEさんのいろとりどりのセカイの長文感想

ユーザー
RIGHT EYE
ゲーム
いろとりどりのセカイ
ブランド
FAVORITE
得点
80
参照数
282

一言コメント

異世界での旅情感が溢れていて、なおかつ物語は旅が終わる物悲しさを楽しめました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

●<評>
設定・シナリオ・テキスト
- 旅情溢れた異世界を舞台にした舞台設定。
  人の大切な"記憶"を核にした物語設定。
  それらに惹かれました。
  異世界の「旅情感」については、
  登場する異世界(CG有)が全部で7~8程度。
  またそれぞれの世界のCGが1~2枚程度と
  期待しているほど多くなかったことを除けば
  質は充分、旅情感あり、楽しめました。
  「記憶」については
  記憶を失う切なさ…
  それを扱った展開が数度あり
  回数としては満足しています。
  ただし変化球。
  
  さてさてシナリオ・テキストは。
  物語の鍵となる"式"を描くのが
  鏡と加奈シナリオ。
  同じく"最果ての古書店"を描くのが
  真紅シナリオ。
  澪とつかさシナリオは
  "異世界のありよう"について描きますが
  「物語の鍵」というにはやや弱く
  モチベーションはやや落ちました。
  設定の方の話になりますが
  人物配置がやや隙があったのではないかと。
  "異世界のありよう"については
  本来、共通シナリオに盛り込むのが
  自然だったのではないでしょうか。
  本作では共通シナリオで
  人物紹介、および物語設定紹介をこなしていますが
  人物紹介が間延びしているように感じました。
  メインヒロインの中で最終登場となる
  敷島鏡が登場するのは
  共通シナリオの後半部でした。
  人物が全員揃わないうちに
  重要な物語設定が進行することにやや違和感が。
  また、物語の伏線がやや強引というか
  ぎこちない点が多々ありました。
  鏡シナリオのラストの時雨の登場シーン
  などが、そうですね…。

  そして。
  二階堂真紅シナリオのあり方については
  意見が分かれる所かと思います。
  冒頭の通り"切なさ"が大好物ですので
  私的にはこれもアリではないかと。
  いろとりどりのセカイに偽物などないのですから。 

原画・背景・彩色
- 瞳の色と髪の色の組合せが独特の彩色。
  この異世界ならば、これも自然で効果的でした。
  舞台がいろとりどりの"異世界"ですから
  背景もいろとりどり水彩画のような背景で
  美しいです。レベル高いです。
  ただし、やや背景自体が抽象的な絵が多く
  また、枚数も少ないのが残念です。

その他
- イベント絵のズーム機能。
  BACK JUMP機能。
  などなど細かな機能が豊富。
  ですが余り使わないと言えば使わない機能が多く
  やや煩雑な印象。
  クリックボイスSKIP/停止選択可。

  役者陣は二階堂真紅役・澤田なつさん、貫禄でした。
  ほかも結構私的には意外な配役。
  一つ言えば、鈴役にもう一つ貫禄が欲しかったところです。
 
●<感想>
- いろとりどりの美しい背景画で
  旅行している気分を味わいつつ
  ストーリーでは記憶を失う切なさで
  しんみり泣かせてもらおう…
  そんな目論見は大方叶えさせてもらいました。
  異世界に行くことがもう少し多ければ
  異世界の種類もCG枚数ももっと
  増やせて楽しめたのですが。
  物語の鍵は真紅、そして加奈シナリオに
  集中しているので
  この二つとその他のシナリオに
  若干差があったことも残念。
  さらに私的には
  加奈のキャラクターが肌に合わず
  シナリオは良いのにイマイチのめり込めず。
  ただ、全体としては
  凄く良かったのではないかと思います。  

  商人の町の白さん…あの幕の引き方は
  すごく寂しすぎる…