物語は取り立てて語る起伏は無いけれど、テキストが読みやすく平均以上に纏まった作品。
●<アウトライン>
- わが学院にやって来た友好国の姫・ヴィオレッタ-セレイユ。
わがフィアンセ。
生前の父が取り決めていたという。
自分は王子でも御曹司でもない。
母さんのカフェ・ソレイユの調理係を仰せつかるだけの
一介の学生に過ぎない。
ただ、巴母さんの大事な店を守って
お隣の幼なじみ槙野萌菜香の親父さんが作る
絶品洋菓子を提供出来ればいい。
そう思っていた。
父の事はよく知らなかった。
その父がどうやら亡くなり
遺した遺産がヴィオレッタ姫との婚約
そして、莫大な借金。
この母さんの店が、その抵当に入っていると知ったのは
つい先ほどばかりだった。
この店を残すには
ソレイユ人と婚姻を交わして
父がソレイユ公国に残した遺産を引き揚げることしかないらしい。
ソレイユ公国にある資産を回収するには
ソレイユ国籍が必要だからだ。
そこでソレイユの姫ヴィォレッタの来日であった。
ヴィオレッタは
夫の条件に一つ、「私より強い者」であることを挙げる。
それは-「 正しき者の剣に正義は宿る」
ソレイユ公国の伝統に根ざしたデュエル(決闘)を
意味した。
店を守るためにデュエルを受けるが
だが、本当にこれでいいのか?
密かに思いを寄せてくれていたとなりの娘・萌菜香
それに学院の謎多き先輩・花京院椿
後輩の雛菊
ヴィオレッタの自称ライバル・エーリカ
らも巻き込んで、いざデュエルが始まる。
●<評>
設定・シナリオ・テキスト
- 構成は単純。
物語の口火を切る正ヒロイン・ヴィオレッタを「起」とするならば
主人公を賭けて彼女に応戦する萌菜香が「承」
婚約者としての資格があることが発覚する椿が「転」の役割でしょうか。
婿取り物語は某作で少々トラウマになっていましたが
この作品はプロットが非常にスマートでわかりやすく
キチッとキャラクターが物語上の役割を果たしてくれるので
ストーリーにすんなり引き込まれていきます。
各個別シナリオ間の矛盾も生じさせませんので
どのキャラクターから攻略しても問題なし。
この辺のスマートさは、さすが紺野アスタさん
というのでしょうか。
婿の奪い合い、という展開は少ないですが
キチっとストーリーの中にキャラクターを活かしていますので
とても爽快感のあるゲームでした。
ただし、相続放棄の道が無かったり
突然の婚約にヴィオレッタもそこそこ悪くなく思っていたり
かなりご都合なところが多いのが欠点。
それも物語の軽快さを選択した、と考えれば割り切れます。
原画・背景・彩色
- 時折立ち絵で見せるデフォルメチックな顔つきに
少々違和感を覚えましたが
その分、立ち絵のバリエーションは豊富で
表情豊かです。
一応、萌菜香と椿がおっぱぃ(大)キャラとなっていますが
脱いでみるとみんな(大)になってますよ。
エーリカ・雛菊先生もそれなりにあるのがわかります。
椿と萌菜香は、さらにもっとそれを(大)に描いてもよかったのでは?
と、巨乳党は主張したいのです。
原画の方は失礼ながら初めてお聞きするお名前。
ですが、これは結構好きな絵かも。
場面場面での絵の崩れもあまり気になるところは少なかったです。
彩色も十分合格ラインかと。
その他
- デュエリスト×エンゲージが注目を受けたのは
広報展開とかそういうのは無論なのですが
やはりウリになったのは声優の適材適所の起用だと思うのです。
ちびっ子系雪都さお梨さん。幼なじみ系夏野こおりさん。
お姉様系一色ヒカルさん。変態淑女系遠野そよぎさん。
お嬢様系ヒマリさん。そしてママ系佐本二厘さん、と。
特にふーりんママ非攻略は
あからさまに狙った感があるのに防御できない。
個人的には
幼なじみ系夏野さんがもっともヤバイ。
この手のタイプのゲームは
声優さんの選択とサンプルボイス
歌手の選択と主題歌の流れるムービーが
とても大きな広告になるのではないでしょうか。
システムは一般的。
クリック後ボイス継続選択可。
●<感想>
- ストーリー自体は、どのシナリオでも「デュエル」に持ち込む
ワンパターンなので
周回プレイにやや飽きが来ますが
それでもキャラクターの魅力が強いので
つまらなく感じることはありませんでした。
小さい頃からずっと好き!でも素直になれない幼なじみ同盟です。
こんにちは。
キャラクターははずれなくどれも魅力的で
お話もソコソコ面白い。とても良い萌ゲーだと思います。
出来れば、上述の「飽き」の部分を補うための
もう1サプライズを終盤に欲しかった。
萌菜香>巴>ヴィオレッタ>エーリカ>椿>雛菊