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Predawnvagabondさんの機神飛翔デモンベインの長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
機神飛翔デモンベイン
ブランド
NitroPlus
得点
90
参照数
349

一言コメント

ゲームパートはイマイチだが、シナリオは素晴らしかった。フルボイスになったのも嬉しい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ゲームパートは操作性やバランスがイマイチだったが、エロゲー(厳密には違うけども)としては驚異的と言える出来だった。
流石にコンシューマーのロボットゲーと比べるとアレだが、グラフィックも綺麗だったし必殺技演出も良かった。
ただしゲームバランスや操作性に関してはストレスを感じる部分も多々。
まずカメラが全自動で自分で操作できないので、思い通りにカメラが動いてくれずに近距離戦闘においては後ろに敵がいるのはわかってるのにカメラワークが追いつかず殴られるなんてことも。

難易度のバランスも微妙だった。
RPGよろしく徐々に強くなっていくといったことはなく、自分の使用機体や敵機体によって戦闘ごとの難易度のバラツキが大きかった。
敵により遠近どちらで戦うべきかや、使える技を探したりするのは攻略の範疇だが、一番使用回数の多いデモンベイントゥーソードが一番弱くて(特に近距離戦の攻撃力が低い)、距離を取って遠くから銃を撃ったりブーメラン投げたりというチキン戦法に頼りがちになってしまった。
近距離戦の場合はそうでもないが、遠距離戦では必須な魔力も戦闘のリズムを悪くする要因になっていたように感じた。
一応時間経過で自動回復ということになっているのだが、自動回復速度があまりにも遅すぎて自分で魔力ボタン長押しで回復するしかなく、そのために遠距離攻撃→敵が近づいてきたら逃げつつ魔力溜めるという冗長な展開になり勝ちだった。
近距離戦の場合は回避動作であるステップが重要な動作かと思ったが、自分の場合はステップを使っても間合いから逃れきれずに攻撃を食らうことが多かったので、攻撃されても気にせず攻撃というごり押し戦法で乗り切る場面が多かった。

バランスや操作性等悪い部分はあったが、グラフィックは良かったしで元は悪くないので、このまま捨て置くのは勿体無いし、バランスや操作性をブラッシュアップして今度は村正辺りで3Dアクションを作ってくれないものだろうか。


シナリオは全体の分量は決して多くは無かったが、その分密度は高かった。
アルのトゥルールート後ということで本編ではヒロインだった姫さんとライカさんの出番はかなり少ない。個人的にはアルが一番好きだったし、実際にアルが一番人気だったろうと思うし無難な判断ではあると思う。
結構な数の新キャラが出るが半分以上が男という脅威の男率。
作品としてはデモンベインよりも後に出されたものではあるが、スマガスペシャルのようにファンディスクで新キャラというと新キャラたちを前に主人公や既存のヒロインが霞んでしまわないかと心配していたのだが、そんなことは全く無かった。
もう一人の主人公とメインヒロインと言っても過言ではない九朔とアナザーブラッドの二人と、九朗とアルの二人の関係性(相関性?)が非常に良く、九朗こそが間違い無く主人公だが、だからといって九朔が九朗が活躍するための当て馬になるということが無いように良く考えられていた。

他の新キャラも非常に格好良く、特にシュリュズベリィとアズラッド、魅せ場も多くて、お前何でわざわざ登場したんだよという新キャラがいないのも良かった。
反面既存のキャラクターの出番は九朗とアルを除き少な目となっている。
日頃の主人公の飯の面倒を見つつ、更に戦闘能力を有するライカはまだ活躍の場があるのだが、姫さんは出番が本当に少なかった。
アンチクロスの面子は各一回づつしか戦闘が無く、倒されるとサクっと退場してしまう。
本編のラスボスだったナイアは今作でもきちんとラスボスとして登場してそれなりに印象には残るのだが。
あとマスターテリオン(以外にもリベル・レギスが操縦できる)も登場するが九朗と対峙することなく去ってしまう。本編トゥルーの終わり方的に九朗へのリベンジに燃えているというのも微妙な話だし、これはこれでありだと思う。

シナリオは面白くて燃えるのは間違いなくシナリオが優れているからではあるのだが、起用声優の演技(特に男)が非常に良かったのもあったと思う。
前作はパートボイスで残念に思ったので、フルボイスになったのは非常に嬉しかった。


グラフィックは前作に比べるとイベント絵は格段に進化してる。
立ち絵はアル、ライカ、瑠璃の本編メインヒロイン組みは一新されている。
ライカの新しい立ち絵は手放しで賞賛できるのだが、残りの二人は微妙だった。
姫さんの立ち絵は確かに綺麗にはなっているのだが、サブキャラ臭が凄かった。まあ、今作では実際にサブキャラレベルの出番しかないのだが・・・。
アルは立ち絵差分が少なかったせいで、本編の立ち絵の方が表情が豊かで良かったと感じた。本編と同程度の差分があれば賞賛出来たと思うのだが。
あと、非18禁だし最初からわかっていたことではあるのだが、Hシーンが無いのは残念だった。
新しく今風になったグラフィックでのHシーンが欲しかった。Hシーンが挿入出来そうなシーンが2,3あった分余計に惜しく感じた。


・総評
ゲームパートはグラフィックは良かったが、操作性やバランスがイマイチだったため、一周する程度なら苦痛に感じないが何度もプレイしようとは思わなかった。可能性は秘めてそうだが、今現在も放置されているということは残念だが新しいものが出る可能性は非常に低いだろう。
シナリオは素晴らしかった。ファンディスクなこともあってやや短いが声優の熱演も含めて物凄い燃えた。