終盤の盛り上がりはシリーズ中で一番地味だったが、ヒロインはしっかりと魅力的だった。
ロープライス作品ではあるが実質的にはフルプライス作品の分割のような構成のため、主人公とヒロインが1対1だったCasketの過去作よりもストーリーは賑やかで面白かった。
ストーリーは良くも悪くもありきたりのエロゲー的な異世界転移モノで、女学園が舞台で登場する男は主人公だけというお約束な世界観となっている。
また、魔法が使えないヒロインたちが主人公を媒介することで魔法が使えるようになるというのもお約束な設定だと感じた。
どちらかというと抜きゲー寄りの作品だが、大雑把ながらもヒロインと恋人関係になるまでの過程は納得できる程度の描写はされている。
ストーリー的な盛り上がりはリンカーベルシリーズ3作品中最低で、付き合う前の騒動こそ主人公とヒビキの絆を深めるエピソードとしてよかったのだが、終盤は読後感こそ良かったもののこれといった盛り上がりがないまま終わってしまった。
恋人関係になってからの展開もエロに重点を置きすぎており、恋人同士の甘い日常やファンタジー世界観を活かした展開などのストーリー面での見所が少ないのが残念だった。
また、上述のようにエロースがヒロインだった「落第魔女と秘密の儀式」と比較すると終盤の盛り上がりがイマイチなのも残念だった点で、かなりあっさりした展開だったので、せめてお祭りイベントや冒険者試験などの日常シーンにもう少し力を入れてイチャラブ要素をもっと盛り込んでほしかった。
序盤の方のストーリーがリンカーベルシリーズの共通シナリオ扱いになっているのも残念だった点で、プレイ開始当初は間違って前作を起動してしまったのかと勘違いした。
それなりの文章量が第一作の「落第魔女と秘密の儀式」と同じとなっているだけでなく、主人公がエロースの使い魔になるというストーリー展開の都合上、共通シナリオ部分はメリィやヒビキよりもエロースの存在感が強いため、ヒビキ編の本作のプロローグとしては違和感があった。
せめて何らかのヒビキに絡むエピソードを付け足すなりすれば何も感じなかったと思うのだが・・・。
本作のグラフィックボリュームは24枚(内4枚はシリーズ共有)となっており、価格相応のものとなっている。
クオリティに関しては中々のもので、塗りも原画もよかったし、ぼかし処理などの演出もイベントCGを印象付けるものにしていた。
反面、背景に関しては残念なクオリティで端的に言ってチープだった。
単体ではロープライス作品だから仕方ないとも言えるが、三部作を合わせるとミドルプライス以上の価格になるわけだし、ファンタジージャンルでは背景も世界観に入り込むために重要なのでもう少し頑張ってほしかった。
エッチはシーン鑑賞モードでは15枠となっているが、前戯と本番が分けられているだけのものも多く、実際には8~9回程度のボリュームで抜きゲーとして考えるとやや物足りないと感じるボリュームだが、過去作もプレイして作風を理解した上で購入している身としては納得できる程度だった。
モザイクの面積が小さかったのはよかった点で、性器が大きく映るようなシーンでも邪魔に感じなかった。
プレイ内容は公式HPに記載されている通りのため詳細は割愛するが、普通のイチャラブからファンタジーらしいエッチなど全体的なバランスはよかった。
変態のエロースや巨乳、陥没乳首のメリィ二人と比べるとヒビキはセックスアピールが弱めだったが、ホオズキ(古代の日本っぽい国)由来の和装っぽい衣装が非常に印象的で、着崩した見た目は非常にエロかった。
上述のようにグラフィックのクオリティは高く、シリーズを通しての表情のエロさは今作でも素晴らしかった。
また、ロリ体型のヒビキと和服の相性がよいことや、ちっぱいが強調されるような構図が多いこともあり、ロリ体型の魅力を堪能することができた。
反面、汁表現が薄かったのが残念な点で、精液や愛液などの性器から分泌される液体は一応描写されているが、汗や涎などの体液の描写は皆無だった。
コンフィグ項目については最低限必要な項目は揃っており、快適とは言えないがロープライスのプレイ時間なら不満を抱かない程度のものは用意されていた。