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Predawnvagabondさんのリンカーベル・アカデミア 〜龍族のフィアンセ〜の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
リンカーベル・アカデミア 〜龍族のフィアンセ〜
ブランド
Casket
得点
70
参照数
101

一言コメント

エロース編よりはストーリーが地味になってしまったが、ロープライスの割にはエロだけではないヒロインの魅力が描写されていた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ロープライス作品ではあるが実質的にはフルプライス作品の分割のような構成のため、主人公とヒロインが1対1だったCasketの過去作よりもストーリーは賑やかで面白かった。
ストーリーは良くも悪くもありきたりなエロゲー的な異世界転移モノで、女学園が舞台で登場する男は主人公だけというお約束な世界観となっている。
また、魔法が使えないヒロインたちが主人公を媒介することで魔法が使えるようになるというのもお約束な設定だと感じた。
どちらかというと抜きゲー寄りの作品だが、大雑把ながらもヒロインと恋人関係になるまでの過程は納得できる程度の描写はされている。
恋人になってからフィアンセになるのではなく、形式上のフィアンセとなってから距離を縮めていき本当の恋人になるという展開は、感情の起伏が少なく物事を深く考えていないメリィのキャラクター性ともマッチしており、メリィが恋について考え、恋心を育てていく展開はニヤニヤできた。
本作では攻略対象ではないエロースとヒビキも存在感を放っており、二人の恋をアシストしてくれるだけでなく、エロースが自分の使い魔を取られてしまうことに対して嫉妬を覗かせたり、仲の良い友人以外には途端に声が小さくなる陰キャっぷりなどのエロース編では見ることができなかった彼女の表情を見ることができたのもよかった。
反面、恋人関係になってからの展開はエロに重点を置きすぎており、恋人同士の甘い日常やファンタジー世界観を活かした展開などのストーリー面での見所が少ないのが残念だった。
また、エロースがヒロインだった「落第魔女と秘密の儀式」と比較すると終盤の盛り上がりがイマイチなのも残念だった点で、かなりあっさりした展開だった。
序盤の方のストーリーがリンカーベルシリーズの共通シナリオ扱いになっているのも残念だった点で、プレイ開始当初は間違って前作を起動してしまったのかと勘違いした。
それなりの文章量が第一作の「落第魔女と秘密の儀式」と同じとなっているだけでなく、主人公がエロースの使い魔になるというストーリー展開の都合上、共通シナリオ部分はメリィやヒビキよりもエロースの存在感が強いため、メリィ編の本作のプロローグとしては違和感があった。
せめて何らかのメリィに絡むエピソードを付け足すなりすれば何も感じなかったと思うのだが・・・。

本作のグラフィックボリュームは24枚(内4枚はシリーズ共有)となっており、価格相応のものとなっている。
クオリティに関しては中々のもので、塗りも原画もよかったし、ぼかし処理などの演出もイベントCGを印象付けるものにしていた。
反面、背景に関しては残念なクオリティで端的に言ってチープだった。
単体ではロープライス作品だから仕方ないとも言えるが、三部作を合わせるとミドルプライス以上の価格になるわけだし、ファンタジージャンルでは背景も世界観に入り込むために重要なのでもう少し頑張ってほしかった。

エッチはシーン鑑賞モードでは15枠となっているが、前戯と本番が分けられているだけのものも多く、実際には9~10回程度のボリュームだった。
モザイクの面積が小さかったのはよかった点で、性器が大きく映るようなシーンでも邪魔に感じなかった。
プレイ内容は公式HPに記載されている通りのため詳細は割愛するが、普通のイチャラブからファンタジーらしいエッチなど全体的なバランスはよかった。
陥没乳首なのが個人的には嬉しかった点で、リンカーベルシーズ随一の巨乳であることもあってかおっぱいが目立つ構図が多いため、より陥没乳首が強調されているのも素晴らしかった。
抜きゲーとして考えるとやや物足りないと感じるボリュームだが、過去作もプレイして作風を理解した上で購入している身としては納得できる程度だった。
上述のようにグラフィックのクオリティは高く、シリーズを通して表情のエロさは素晴らしいのだが、メリィのやや感情を読み取りづらい茫洋とした表情は特に印象に残った。
反面、汁表現が薄かったのが残念な点で、精液や愛液などの性器から分泌される液体は一応描写されているが、汗や涎などの体液の描写は皆無だった。

コンフィグ項目については最低限必要な項目は揃っており、快適とは言えないがロープライスのプレイ時間なら不満を抱かない程度のものは用意されていた。