ロープライスの抜きゲーなのにストーリーに起承転結がきちんとあるのはよかった
ロープライス作品ではあるが実質的にはフルプライス作品の分割のような構成のため、主人公とヒロインが1対1だった過去作よりもストーリーは賑やかで面白かった。
ストーリーは良くも悪くもありきたりなエロゲー的な異世界転移モノで、女学園が舞台で登場する男は主人公だけというお約束な世界観となっている。
また、魔法が使えないヒロインたちが主人公を媒介することで魔法が使えるようになるというのもお約束な設定だと感じた。
どちらかというと抜きゲー寄りの作品だが、大雑把ながらもヒロインと恋人関係になるまでの過程は納得できる程度の描写はされている。
終盤のストーリー展開に盛り上がりがあるのもよかった点で、今作のヒロインのエロースだけでなく、メリィ、ヒビキ、そして主人公の4人で協力して敵を倒すという展開はロープライス作品らしからぬダイナミックさがあったし読後感もよかった。
反面、恋人関係になってからの展開はエロに重点を置きすぎており、恋人同士の甘い日常やファンタジー世界観を活かした展開などのストーリー面での見所が終盤の騒動以外に存在しないのは残念だった
ヒロインのエロースは魅力的に描かれており、似た者同士な主人公とエロースの喧嘩友達的な普段のやり取りは見ていて微笑ましかった。
また、ヒロインのキャラクター性がエロ方面にも活かされているのもよかった点で、リンカーベルシリーズの中でもマニアック度が高かった。
本作のグラフィックボリュームは24枚(内4枚はシリーズ共有)となっており、価格相応のものとなっている。
クオリティに関しては中々のもので、塗りも原画もよかったし、ぼかし処理などの演出もイベントCGを印象付けるものにしていた。
反面、背景に関しては残念なクオリティで端的に言ってチープだった。
単体ではロープライス作品だから仕方ないとも言えるが、三部作を合わせるとミドルプライス以上の価格になるわけだし、ファンタジージャンルでは背景も世界観に入り込むために重要なのでもう少し頑張ってほしかった。
エッチはシーン鑑賞モードでは15枠となっているが、前戯と本番が分けられているだけのものも多く、実際には9~10回程度のボリュームだった。
モザイクの面積が小さかったのはよかった点で、性器が大きく映るようなシーンでも邪魔に感じなかった。
プレイ内容は公式HPに記載されている通りのため割愛するが、普通のイチャラブからファンタジーらしいエッチなど全体的なバランスはよかった。
抜きゲーとして考えるとやや物足りないと感じるボリュームだが、過去作もプレイして作風を理解した上で購入している身としては納得できる程度だった。
上述のようにグラフィックのクオリティは高く、表情のエロさに加えて、仰向けの時はおっぱいが重力に従って少し垂れるなど、細かい部分まで気を使って描写されていた。
反面、汁表現が薄かったのが残念な点で、精液や愛液などの性器から分泌される液体は一応描写されているが、汗や涎などの体液の描写は皆無だった。
コンフィグ項目については最低限必要な項目は揃っており、快適とは言えないがロープライスのプレイ時間なら不満を抱かない程度のものは用意されていた。