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Predawnvagabondさんの悪堕ち 魔導処女 ~絶対支配の触手調教~の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
悪堕ち 魔導処女 ~絶対支配の触手調教~
ブランド
CHAOS-R
得点
60
参照数
755

一言コメント

とにかくボリューム不足。触手の存在感が薄いのも残念。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

とにかくボリューム不足の一言に尽きる作品。
フルプライスにも関わらずミドルプライスならギリギリ我慢できる程度のボリュームしかなく、「あれ、これミドルプライスだっけ?」となってしまい、思わずクリア後にパッケージを再確認してしまった。
主人公が自身の種族の繁栄のために学園のツートップを堕として躍進を目指すというストーリーの流れ自体はわかりやすいものだが、何もかもが淡泊すぎてヒロインの魅力やヒロインを堕とすカタルシスを感じることができなかった。
世界観とヒロインの短い紹介の後にどちらのヒロインを攻略するか選択すると、後はエッチシーンの合間に短い幕間シーンが入るだけのロープライスばりの描写の少なさで、気づけばヒロインは陥落しているし、学園内のヒロイン同士の権力闘争が激化してしまっている。
シナリオの重要性が比較的低い抜きゲーとはいえ、フルプライス作品なことを考えると少しはストーリー的にも面白いものにしてほしいと感じた。
ヒロインにしても二人に絞っているのだからもっと掘り下げてしかるべきなのに驚くほど描写は少なく、悪堕ちして急に主人公に依存するようになるのはまさに豹変と言える変わりようだった。
悪堕ちというのは堕ちた後のキャラクター性も重要だが、ギャップを楽しむためには堕ちる前の強気さや高潔さなどの描写も重要だと思うので、悪堕ちをより映えさせるためにもヒロインの描写をしっかりとしてほしかった。

本作はCHAOS-Rというブランドから発売されているが、ライターや原画家から考えると実質的にはコラボ元のCROSSOVERブランドの作品と言える内容となっている。
CROSSOVERの「処女独占」というブランドコンセプトは本作でも遵守されており、ヒロインは主人公以外の男性に触れられるどころか、会話するシーンさえ存在しない。
また、最終的にはイチャイチャセックスをするぬるい凌辱展開もCROSSOVERらしいもので、凌辱作品ながらも最終的には和姦になるため、凌辱は好きだが女の子が本当にひどい目に合うのはちょっと・・・という人に刺さる内容もCROSSOVERらしいものだった。
ちなみに、CROSSOVERは過去に「魔装処女」というタイトルや世界観、雰囲気も似た作品を製作しているが、本作との繋がりは全く存在しない。

本作のグラフィックボリュームは50枚となっており、シナリオ同様にフルプライス作品としては明らかにボリュームが不足している。
基本枚数だけでなく差分も不足気味で、触手はテキストに合わせて変化するのではなく、最初から全部巻き付いた状態になっている。
例えば、テキスト上ではエッチの途中からおっぱいに触手が巻き付いたとしても、CGでは最初から巻き付いた状態になっており、テキストと合っていないことがちょくちょくあった。
しかしながら、基本的なクオリティ自体は高く、手足や顔などの末端にまでしっかりと触手が絡みついているのはエロかった。
原画や塗りも同様にクオリティは高く、やや独特の顔の造形や低めの頭身を受け入れることができるのなら気に入るのではないかと思う。

本作のエッチシーンは全部で16回+ヒロインごとに3回ずつの調教となっており、CGボリューム同様にこちらもフルプライスとしては非常に物足りないものとなっている。
エッチシーンの内訳は両ヒロインが5回ずつ、3Pが6回となっている。
各調教は4~5種類のメニューの中から調教内容を3回選ぶだけの単純なもので、それぞれのメニューも特に尺が長いわけではないため、通常のエッチシーンと調教を合わせたボリュームは他の抜きゲーのエッチシーン30回分くらいに感じた。
シナリオも含めた本作のボリュームから考えると、本作はミドルプライスならギリギリ受け入れることができる程度のボリュームだった。
卑語修正はなく、モザイクの面積が小さいことに加え、フェラシーンなどでもチンコの画面占有面積が小さい構図が多く、モザイクが気にならないのは評価できる点だった。
公式HPのサンプルCGを見ていると二人を同時に調教できると思うかもしれないが、実際には片方のヒロインを堕とした後、もう一人のヒロインを堕とすために3Pをするという展開しか存在しない。
3Pの内容は二人で一人を責めるというよりかは、嫉妬する悪堕ちしたヒロインをなだめるために主人公が二人相手にエッチしているといった雰囲気で、良し悪しは別として珍しいシチュエーションだし、ヒロインの悪堕ち感は出ていた。
フェラとパイズリに力を入れるCROSSOVER作品の常として今作もフェラやパイズリのシーンが多く、CGをカウントしてみると14枚がフェラかパイズリだった。

触手を強調しているだけあって、本作では全てのエッチシーンで触手が登場し、上述のようにグラフィック自体はよかったのだが、しっかりと有効活用されているかというと疑問に残るものだった。
触手のバリエーションに乏しく、触手を売りにしている作品であればブラシ触手とか口のある触手など複数種類の触手が登場することが多いが、本作ではサンプルCGでも見ることができるオーソドックスなタイプしか登場しない。
エッチの内容も同様で、多少は挿入したり咥えさせる場面もあるが、基本的にはヒロインを拘束したり愛撫する用途にしか使われていない。
ストーリー中で主人公は何度も「触手」ではなく「支腕」と呼べと強調しているが、本作の触手の活用法をみていると支腕という呼称はピッタリと言えるもので、二本では足りない腕のサポートが主な用法だった。

本作のコンフィグやシステム面に関しては、ギリギリ最低ラインを超えている程度のもので、不便とまでは言わないが快適からは遠いものだった。
ウィンドウモードでプレイ中はウィンドウサイズを変更できないし、フルスクリーンモードでプレイしている時にはサブモニターにマウスカーソルを移動することができなくなる仕様だった。
エッチシーンに関しても、射精時に中か外かの選択肢が存在するゲームはコンフィグで事前に設定できるのが昨今のスタンダードになりつつあるが、本作は事前に設定することができず、射精箇所を毎回選ばされるのも邪魔くさかった。
また、改ページ時にボイスを停止しない設定にしているとBGVと通常音声が被ってしまう残念な仕様となっている。
本作の攻略は非常に簡単で、エロに関係する選択肢を省くと冒頭のどちらのヒロインから攻略するかの選択肢と、一人目のヒロインを堕とした後、もう一人のヒロインも堕とすか、あるいは放置するかの選択肢の二つだけである。
もう一人のヒロインを放置した場合は単独ルート、堕とすことを選んだ場合は3Pルートに入る流れとなる。
セーブ&ロードを駆使しない場合は調教モードのエッチシーンを全部見ることができないが、調教モードでの選択に関わらずその後の流れには変化がないようなので、二週するにせよセーブ&ロードを使うにせよコンプリートするのは簡単だった。


・まとめ

とにかくボリューム不足の一言に尽きる作品で、ストーリー的にもエッチシーン的にもフルプライスとしてはボリュームが大きく不足していた。
フェラやパイズリはCROSSOVER作品らしく充実していたが、触手を強調している割には触手の存在感が薄く、触手に期待して購入したプレイヤーにとっては物足りないであろうものだった。