珍しいジャンルの作品。作風はコラボ相手のCrossOverに寄っている。
シナリオライターのshow-zii氏や須々木鮎尾氏、そして原画のにくしょ氏と言えば、コラボ先であるCrossOverというブランドの作品を筆頭に多数の処女独占をコンセプトにした作品を世に送り出しており、本作も同じ作風の作品となっている。
本作を制作したブランドであるCHAOS-RのHPを見ていると、処女ヒロインを独占し最終的には愛し合うというCrossOVerの作風とマッチするのかは疑問が残るブランド(CHAOS-Rの他作品は未プレイのため、あくまでも公式HPからの印象)だが、甘い雰囲気と触手という組み合わせは珍しく、CrossOverの作品が好きならプレイする価値はあると感じた。
主人公の人物像は他のCrossOver作品と似ており、生徒会所属で次期生徒会長候補という世間的には一目置かれている一方で、重度のシスコンという人には言えない欲求を抱えている。
妹も兄のことが何だかんだ好きなようで、兄から触手が生えているという異常な状況下だったとはいえ、兄に無理矢理処女を奪われても悲壮感はなく、単にちょっと怒っている程度の態度で、触手化二回目の時点でエッチなことを容認してくれるようになる。
とはいえ、日常のシーンには普通に仲の良い兄妹らしさを感じることができるものも多く、両親が単身赴任(とその付き添い)でいないため家事が当番制となっているのだが、さり気なく面倒なことを押し付けようとする妹と、何だかんだそれを受け入れる兄という構図も二人の性格や関係性が垣間見えて面白かった。
また、通常シーンのボリューム自体は価格から考えても短いものの、物語が進行するに連れて二人の仲が深まっていく過程も描かれていた。
そのため、本作は触手化するという異常事態に対する悲壮感、近親相姦の背徳感の両方が薄い反面、妹と肉体関係を結んでしまう気分はしっかりと味わえるというバランスになっていた。
本作のボリュームはCGが20枚、シーン数が15回となっており、ロープライスとしては不満を抱くボリュームではなかったが、1シーンごとの尺が短めなのは少々残念だった。
グラフィックのクオリティは高く、物語が進むにつれてどんどん快楽に蕩けた顔になっていく点や肉感のある体、湯気描写が非常にエロかった。
ただ、年下らしさを演出する意味もあるのだろうが、瞳のサイズが若干大きすぎだと感じるCGがあったので、人によっては好みが分かれるキャラデザかもしれないと感じた。
服装の差分が多いのも嬉しい点で、制服、私服、寝間着の他に体操服(ブルマ)、陸上部のユニフォーム(タンクトップにスパッツ)、スク水があった。
単に服装差分が多いだけでなく、ずらし挿入やたくし上げなど半脱ぎに強いコダワリを感じることができるもので、個人的にはスパッツやスク水の中に触手が入り込んで触手の形に盛り上がっているCGが特にエロかった。
ただ、エロシーンは服が乱れ、触手に絡みつかれた状態から始まるものばかりだったので、できれば数シーンだけでも構わないので、脱がされていく過程も差分で描いてほしかった。
シーン内容はオーソドックスなセックスに触手を組み合わせたもので、触手による愛撫や触手フェラをしながらセックスを行うシーンが多かった。
後半になると一部のシーンで触手でヒロインを吊り下げたりと、触手ならではの体位(?)のシーンもあった。
単なる触手モノのエロゲは世にたくさんあるが、触手の生えた人間が主人公の和姦作品は数が少ないことを考えると、オーソドックスなセックスに触手を絡めるだけでも十分に本作独自の売りになるし、更には近親相姦、半脱ぎなどの要素も詰め込まれているので、無理にこれ以上属性を盛り込むよりもオーソドックスなセックスをメインにしたのは正解だと思う。
本作のコンフィグ項目やシステムは非常にシンプルで最低限といった印象で、ロープライス作品としては納得できるレベルだったが不満点も多く、特にほぼ全てのエッチシーンで射精箇所についての選択肢が出るのに、コンフィグで事前に選ぶことができないのは大きな不満点だった。
また、テキストを読み進めた時に音声を停止しないように設定していると、バックグラウンドの喘ぎ声と通常の台詞が同時に再生される仕様なのも残念な点だった。
エンディングは二種類存在し、射精時の選択によって妊娠ENDと非妊娠エンドに分岐するオーソドックスなものになっているので、途中のエッチシーンを選ぶ場面でセーブデータを残しておき、未読シーン回収のついでに残りのエンディングも回収するとスムーズにコンプリートすることができる。