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Predawnvagabondさんの白詰指輪 ~四つ娘の花嫁 俺、全員選びました~の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
白詰指輪 ~四つ娘の花嫁 俺、全員選びました~
ブランド
あかべぇそふとすりぃ
得点
89
参照数
521

一言コメント

四つ子の仲の良さ、4人揃った時の会話の楽しさがよかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・四人で一輪の四つ娘

シナリオよりも抜き要素重視の萌えゲーだが、とにかくヒロインたちのキャラクター性が素晴らしい作品で、エッチと日常の両シーンを楽しむことができた。
本作の特徴として、最初から「みんなで一緒にお嫁さんになること」を目標としているため、互いに変に遠慮したりギクシャクすることもなく主人公へのアピールをしてくる点や、主人公自身もプロローグの時点で四つ子全員と関係を持つことに対する後ろめたさを吹っ切るため、シンプルに四つ子とのイチャラブでエッチな同棲生活を楽しめる内容となっている。
四ツ子が主人公に惚れていることも物語開始以前の幼少期の思い出に起因するもので、取ってつけたようなヒロインたちが主人公に惚れる過程の描写すらないので、逆にハーレムに対する不自然さを感じずにシチュエーションを受け入れることができた。
主人公は四つ子が通う学園に転入してくるのだが、エロゲー特有のトンデモ学園で通常の授業以外にも専門的なことが学べるし、興味がないなら専門科は取らなくてもいい緩さとなっている。
どちらかというと大学に近い印象で、空いたコマでヒロインとセックスしたり、ヒロインと同じ専門授業を受けて親睦を深めたりと、かなり都合のよい設定の学園だった。
また、モブキャラを含めてヒロイン以外の登場人物は殆ど登場せず、たまに教師がちょっとだけ喋ったりもするが存在感は非常に薄く、実質的な登場人物は四つ子+主人公の5人と言えるものだったが、4つ子たちは専門授業以外では大体一緒にいるため、登場人物が少ない割には非常に賑やかな雰囲気だった。
とはいえ、イチャイチャすることに特化しすぎており、学園祭やテストなどの学生らしいイベントは皆無だったし、いつの間にか主人公は彫金の授業を受けたりバイトをしていたりと色々と細かい部分の説明が不足していた。

本作の最大の魅力は何といってもヒロインの四つ子が非常に魅力的なことで、個人個人でも魅力的だったが、4人揃った時のシーンは読んでいて特に楽しかった。
四つ子は状況次第でボケや突っ込みが入れ替わるし、会話のテンポも非常によく、また、お互いに色々と遠慮のないやり取りは四つ子の仲の良さを実感することができた。
この遠慮のないやり取りをする上で四つ子であるというのは重要で、年齢に上下のある普通の四姉妹ではこの四つ子の雰囲気を出すのは難しかったと思う。
また、「みんなで一緒にお嫁さんになる」ことを目標としているため、主人公がいない時に4人で集まって作戦会議をしたり、どんなエッチをしたかをお互いに語り合ったりするのだが、その赤裸々女子トークも非常に面白かった。
四つ子の関係性が素晴らしいからこそプレイヤーである自分としても誰か一人を選ぶことによって関係を壊したくないという想いが強くなり、全員を同時に愛したいという欲求を抱くようになった。
エロゲーでハーレムを作る理由は様々で、ストーリー上の理由やヒロインを助けるためなど様々だが、本作のようにヒロインたちが「みんなで一緒にお嫁さんになる」ことを目標として団結して主人公にアタックしてくるという展開は新鮮でよかった。
四つ子のやり取りは非常に楽しいものの、どちらかというと、全ヒロインの個別ルートを平行してプレイしている気分になる内容で、良くも悪くもヒロインと主人公の一対一のデートやセックスシーンがメインで、合間に四つ子とのシーンが挿入される構成となっていた。
せっかくの四つ子なのだから色んな組み合わせのエッチやデートが見たいとも感じたが、個人としてもヒロインたちは魅力的だったので、不満というよりは追加要望というのが近い感覚だった。
特に本作はフルプライス作品としては短めの作品だったので、もうちょっと4人とのシーンを入れてくれてもよかったのではないかと思う。

四つ子はそれぞれにキャラが立っており、正統派、素直になれない、友達っぽい距離感、無邪気と定番中の定番と言える属性なのだが、それぞれの形で主人公に好意をしっかりと伝えてくれるので非常に魅力的だった。
芽一と四花はストレートに好意を伝えてくれるタイプで、逆に美三実と二葉は中々素直になれないのだが、その分好意を照れながらも伝えてくれるシーンはグッとくるものがあったし、普段から好意は見え見えなので、素直になれない二人は微笑ましくもあった。
姉妹とは言うものの主人公も四つ子も年齢が同じため、姉妹同士あるいは主人公と姉妹の間に年下っぽさや年上らしさは感じなかったが、四花だけはエッチ、日常会話を問わずに年下っぽさがあった。
ヒロインの掘り下げと言ってしまうと大げさかもしれないが、物語が進むとヒロインなりの悩みやコンプレックス(シリアスなものではない)など、色々な表情を見せてくれるので、どんどんとヒロインたちのことが好きになっていった。
例えば、芽一の場合は主人公と最初にエッチなことをするのだが、単純に抜け駆けをしているだけではなく、他の姉妹を煽って主人公とエッチするきっかけを作ったりと、4人でお嫁さんになるという目標を達成するために色々と主導することが多いため、他の姉妹への想いを強く感じることができた。


・クオリティの高いCG

本作のCGボリュームは計71枚となっており、フルプライス作品のボリュームとしては許容範囲ではあるものの、やや物足りなく感じるボリュームとなっている。
その反面、クオリティは素晴らしいの一言で、立ち絵とイベントCGの両方ともに原画、塗りが素晴らしかった。
また、立ち絵は目パチアニメーションがあり、喋りながらも表情や立ち絵の差分に切り替わるため、ヒロインたちは感情表現豊かに感じられた。
添い寝CGが全ヒロインにあるのも個人的には嬉しい点だった。


・量より質を重視したエッチシーン

本作のエッチシーン数は全部で34回となっており、内訳は各ヒロイン8回+芽一と四花の3Pと二葉と美三実の3Pが1回ずつとなっている。
個人的にはハーレムのシチュエーションは好きでも3P以上のプレイには余り興味がないため、本作に複数プレイが少ないことはむしろありがたいくらいだが、作風の割には複数プレイが少ないのは意外に感じた。
卑語修正はなかったが、エッチシーンでの卑語の使用は多くなく、卑語を使った羞恥プレイ等も殆ど存在しなかった。
BGVもしっかりと用意されていて、通常音声とは被らないようになっているだけでなく、3Pのシーンでは喋っていない方のヒロインの呼吸や喘ぎ声のBGVだけは聞こえるという手の込んだ仕様となっていた。
射精カウントダウン機能も用意されており、また、エピローグを除いて射精箇所の選択肢が存在しないため、システム的にも実用性が高めなのもありがたかった。
各シーンの尺はかなり長く、また、テキストに占める台詞の割合が高く感じた。
一回のエッチシーンでCGが2枚使用されている場合、CGが移り変わる時にも体や顔にかかった精液がそのままなのは素晴らしかった。
また、濡れた下着の描写があるのも嬉しい点で、特に、二葉の主人公と会話しているだけで濡れてしまうという敏感体質をヴィジュアル的にも表現できているという点でよかった。
気になった点は一部のCGで主人公のチンコが大きすぎて違和感があったことと、エッチシーンの終わり方が「この後滅茶苦茶セックスした」みたいな終わり方が多いことだった。
上述の通りエッチシーンの尺は長く、エッチシーンの手を抜いているという意味ではないのだが、どうしてもピロートークが省かれてしまうことが多く、エッチの余韻を楽しめないことは少し残念だった。

ヒロインたちは性格的にもバラエティ豊かだったが、エッチシーンの傾向や性癖についてもバラエティ豊かなことに加え、ハーレムというシナリオの構成上エッチする相手が順番に交代するため、ヒロインごとの性癖の違いを強く実感することができた。
特に顕著なのは二葉と美三実の二人で、敏感体質の二葉はエッチ中に感じすぎて呂律が回らなくなっているのが非常にエロかった。
また、喘ぎ声も他ヒロインよりも多く、更には濁点が多め(?)のエグイ喘ぎ声も多かったので、プレイしていて声優の喉が心配になるくらいだった。
美三実もドMというイチャラブ系の作品では珍しい性癖で、初っ端のエッチからイラマチオされて感じるというぶっ飛び具合を見せてくれるが、物語後半では夜の公園で全裸に首輪をつけて散歩プレイ&アナルセックスとか更に凄いプレイも存在した。
四花は作中では「イノセントチャーム」などと表現されていたが、エッチの傾向とは若干異なるが、無垢さ(無知というわけではない)が非常に魅力で、エッチに対する欲求をストレートにぶつけてくれるのがよかった。
芽一は良くも悪くもエッチに関する特徴が薄くオーソドックスなヒロインだったが、愛が暴走して主人公相手に強烈な焦らしプレイを普段とあまり変わらない口調で行うシーンは印象に残った。
ヒロインごとの傾向ではなく全体に共通する傾向としては家以外でエッチするシーンが多く、学園を筆頭にデート先の遊園地などの人がいつ来るかもわからない場所から、作品を象徴する場所でもあるクローバー畑や無人の教会などの人が来る心配のない場所などロケーションは多岐に渡るが、殆どのシーンでは人にバレそうな状況をエッセンスとして取り入れているわけではないため、普通に家の中でエッチしているのと感覚は殆ど変わらなかった。


・不満のないコンフィグ周り

本作のコンフィグ・システムは一通りの項目、機能は用意されており快適にプレイすることができた。
各種確認ダイアログのオンオフやフォントの設定、各種機能のショートカットキー割り当てなどの一般的なコンフィグ項目は一通り網羅されており、ウィンドウサイズも自由に変更することができた。
機能面では前後選択肢へのジャンプやバックログからジャンプする機能はなかったが、1クリック戻るという用途不明の謎機能は用意されていた。
パッケージ版にはダウンロード版が同梱されている(要DMMアカウント)のも地味にありがたい点だった。
システムボイスの充実っぷりも素晴らしい点で、セーブやロード、コンフィグ画面を開いた時に甘い台詞を囁いたり、エロいことをしてくるというのがよかった。
公式HPには「全員同時攻略の四つ娘ルート1本」と書かれているが、確かにルートが1本であることは間違いないのだが、結婚式の後の初夜を誰と過ごすかの選択肢によってエピローグが変化し、初夜で選んだヒロインとの妊娠エッチがエピローグとなる。
個人的にはハーレムシナリオの最後に見るエピローグで特定のヒロインとイチャイチャして終わるというのは少しモヤモヤしてしまった。
また、結婚初夜の選択肢では選んだヒロインとの初夜エッチしか見ることができないため、選択肢のセーブデータはしっかりと残しておく必要がある。


・まとめ

ヒロインの四つ子の魅力が素晴らしい作品で、ヒロイン単独としての魅力だけでなく、4人揃った時の仲の良さや賑やかさはプレイしていて非常に楽しかった。
エッチシーンもクオリティが非常に高く、ヒロインによる特徴づけもされており、オカズとしても優秀だった。