RPGをプレイしたけど、エロも欲しいという人向けの内容だった。
本作は主人公が聖剣に選ばれるという展開や、ダンジョンを攻略するにつれて徐々に明らかになる強大な悪の存在など、いかにもJRPG的な設定にヒロインの二人は奴隷少女という如何にもエロゲー的な要素を組み合わせたストーリーとなっている。
主人公=プレイヤーということ言明している通り、主人公は自発的には一切に喋らず、たまにプレイヤーが主人公の言動を二択から選べるだけである。
残念ながら主人公の言動によってストーリーの展開が変化することはないが、言動を選択できることや、プレイヤーエディット時に大雑把な性格などを選択できるので、主人公の出自や性格は想像して楽しむことはできた。
プレイヤーの選択による部分が大きいのはメインヒロインの好感度の上げ方で、大雑把にいうと、プレゼントやストーリー中の選択肢で好感度を上げてから同意を得てエロいことをするか、立場を利用して無理矢理調教し、快楽によって好感度を上げるかを選ぶことができる。
同人作品にも関わらずヒロインたちがフルボイスなのは凄いことだと感じたが、反面、ストーリーやクエストに関わるもの以外の会話シーンが少なかったので、パートボイスでも構わないのでもっと色んなシーンを見たいとも感じた。
好感度上昇イベントもマイナスからプラスになった時と合意でエッチできるまで上がった時に短い会話があるだけだったので、もっときっちりとした好感度イベントや、せっかく自宅を作ってサブヒロインたちとも一緒に住むことができるのだから、日常的なワイワイとしたシーンをもっと見たかった。
メインヒロインの二人は勝気なトルテに、控えめなファノという王道な組み合わせで、主人公への好感度が低い時は、お金で女を買う最低な人間として嫌っているトルテ、単純に男性恐怖症的な意味合いで主人公に対して怯えているファノといった風に、主人公に対する拒絶反応が異なるのもよかった。
また、好感度が上がった後は二人ともわかりやすく好意を伝えてくれるので、一緒に冒険していて楽しかった。
サブヒロインはダンジョンに同行はしてくれても終盤以外はメインストーリーには関わってこないが、それぞれに主人公と二人きりでダンジョンに挑む専用のクエストがいくつか用意されており、しっかりと魅力を感じることができた。
本作はガッツリとした中編のRPGと言えるもので、そこにエッチがついてくるというバランスなことに加え、ストーリーとエッチは分離しているため、RPGをプレイするつもりの人向けの内容だった。
ゲームパートは標準的なツクール製のRPGで、昔懐かしのターンバトルとなっているが、戦闘後は確定でアイテムドロップがあり、終盤まで有効なジェム(能力補正やオートスキルを使用できる装飾品)を浅い階層から入手できることや、階層の割にレアリティの高いアイテムが時々手に入ることもあって、雑魚敵を含めて戦闘でストレスを感じることは殆どなかった。
シンボルエンカウントなのも個人的には快適だと感じた点で、自身で雑魚敵との戦闘回数を調整できるのはよかった。
武器はゲーム攻略において非常に重要で、攻撃力の差だけでなく、多くの武器に追加性能や属性があるため、新しい武器を手に入れた時はトレジャーハント的な意味で嬉しかった。
逆に、着せ替え要素のあるヒロインの防具は性能の差異が少なく、純粋に見た目の好みで選んでも大きな問題がないバランスなのは素晴らしい点で、こちらも性能とは違う意味で新しいものが手に入った時は嬉しかった。
本作の特徴的な点は属性要素がやや特殊なことで、単純に得意属性や苦手属性が存在するだけでなく、調和属性や反対属性という要素があり、調和属性は装備によって同時に上がることが多くなっている。
プレイヤー側のメンバーの属性数値は装備で上がることはあっても下がることはない(=弱点属性は存在しないため)ため、ヴィジュアルだけでヒロインの装備を選んでも問題はないのだが、属性要素にこだわるのなら、色々と考える要素が多そうだと感じた。
ちなみに、動物やアンデット、氷属性っぽい青い敵には炎属性は有効なことが多いみたいな曖昧な解説はあるのだが、明確に敵の弱点属性を知る方法はなかった。
また、それっぽい属性で攻撃してみても弱点属性ではないことが多いことに加え、調和属性の仕様により(?)、弱点を突いた時、あるいは非効果的な攻撃を行った時にエフェクトは表示されるのだが、どの属性が該当するのか不明なことも多かったので、あからさまにダメージが少ない時以外は属性要素は気にせずに進めてしまった。
ゲームバランスは難し過ぎず、簡単過ぎずの丁度よいもので、レベルを上げればゴリ押しに近い戦術が通じるし、装備品(属性)や戦術を吟味すればある程度のレベル差を覆すこともできるバランスだった。
メインダンジョンの敵が強くなり、レベリングを意識しだすタイミングでサブクエストが多めに発生するようにタイミングが練られているため、自分の場合は意識的にレベリングをすることは殆どなかったのだが、フロアの敵を全滅させるとレアリティの高いアイテムが手に入りやすい宝箱を開けることができるという仕様上、やや過剰気味のレベルアップとなってしまい、大体はバフ&デバフの定番戦術で大きく苦戦することなく何とかなってしまった。
反面、特徴的な属性要素を大きく意識することなくクリアしてしまったので、そちらを意識すればもう少しレベルが低くても何とかなるのではないかと感じた。
サブクエストにはヒロインと主人公が二人でダンジョンに挑むクエストもそれなりの数あるのだが、該当ヒロインを全くレベル上げしていないという状態でもなければ、戦士と戦士みたいな偏ったペアでも大きく苦戦することはない(流石に回復アイテムは多めにほしいが)バランスだと感じた。
本作で戦闘バランス以外にもう一つ大事なのは金銭面のバランスで、RPG定番の要素以外にもエッチなことや自宅を建てるためにもお金は必須なので、金策に追われることが多かった。
お金を得る方法が一般的なRPGと比べると変則的で、戦闘後に確定でアイテムをドロップする反面、お金はたまにしかドロップしないため、お金を得るためには一手間かける必要がある。
主な方法はアイテムの売却、サブクエストの達成、釣りの3つが挙げられるのだが、ヒロインの好感度が上がるまではサブクエストが受けられないし、序盤で手に入るアイテムは売却価格が低いので小遣い稼ぎ程度にしかならず、頼れる金策は釣りだけだった。
釣りも一日に3匹しか納入できないが、2~3分でお金を稼げる上、キャラクターのレベルやゲーム進行度に関わらずどんどん釣れる魚の質・サイズが上がり、買い取り価格も上がるので、序盤からエンディングまでお世話になる金策だった。
消耗品や装備品は基本的にはドロップで手に入れるため、スキル購入以外ではRPG要素にお金を使うことは少ないのだが、エッチの解放や結婚、家を買ったりと、攻略上必須ではないことにお金が必要とされることが多かった。
攻略上は必要ではないとはいえ、女の子とイチャイチャしたりエッチをするのも醍醐味のゲームなので、エッチなことをしたり、愛の巣が欲しくなるのは当然のことで、終盤までお金が余るということは殆どなかった。
とはいえ、借金をしない限りはゲーム内での時間制限は存在しないため、エッチシーンを早く見たいという人は釣りに集中してお金を貯めることも可能なバランスとなっている。
ゲーム攻略上でお金を必要とされてしまうと、どうしてもストーリーの進行が滞り勝ちになってしまうため、個人的にはヒロインとのエッチやイチャイチャのためにお金が必要だという構成はよかったと思う。
CGやエッチシーンのボリュームは販売サイトに38枚と98回と書かれている通りで、価格からすると満足感のあるものだったのは間違いないのだが、エッチシーン以外のCGはトルテとファノに1枚ずつしかないのはちょっと寂しかった。
トルテとファノに関しては、好感度やムラムラ度によってテキストに差分があり、その差分も含めてのシーン数が98回となっている。
好感度が低い(嫌われている)状態だとCGが同じでも全く別のシーンとも言えるものになっているが、それ以外は微妙なテキスト差分なども混じっているため、CG枚数+α程度のシーン数だと考えておくのが無難だと思う。
各シーンの尺もそこまで長くはないが、エッチする時に複数のエッチを連続して行えば、疑似的に長いシーンを作ることはできるようになっている。
エッチの内容に特筆すべきものはないが、着せ替えシステムがあるだけにコスチュームの種類は多めで、セーラー服やメイド服、スクール水着などがあった。
システムやコンフィグ面はRPGツクール製のため、バックログが存在しないのは普段エロゲーをしている身としては不便だと感じたが、自分が以前にプレイしたツクール製RPGと異なり、音声やBGM、SEのボリュームを別々に調整できるようになっていたのは非常にありがたかった。
本作の機能で特に便利だと感じたのは、主人公たちの拠点となる街の中でなら街の主要な場所にワープできるポータル機能で、街中での移動が非常に快適だった。
神の声という機能も地味にありがたい機能で、ゲーム序盤に製作者(?)がアドバイスをくれるのだが、ストーリーやゲーム攻略上のネタバレではなく、ヒロインの加入やエッチするための条件を教えてくれる機能で、RPG部分がメインなのは理解しているとはいえ、エロいことにも期待している身としてはありがたい機能だった。
また、一部のサブクエストはクリアするまでは街に戻れなくなる(=サブクエストをクリアできないと詰み)のだが、そういう場合はセーブ時に警告してくれるのもありがたかった。
ツクール製のRPGには超速モードが用意されていることも多いが、本作の場合はSHIFTキーで多少はスピードアップできるものの、超速モードはラスボス撃破の報酬となっている。
プレイ中は超速モードがあれば便利なのにと思いながらプレイしていたが、超速モードは短時間にレベルアップすることが可能でバランス崩壊にも繋がりかねないので、バランスがしっかりと練られていた本作の場合、超速モード無しはそれはそれでありだと感じた。
トルテとファノのエッチは好感度が一度上がってしまえば嫌われている状態のエッチシーンを見ることはできなくなってしまうのだが、好感度を最大まで上げると、好感度が低い状態のエッチシーンの回想は全て登録できるようになるので、エッチシーンの取り逃しは発生しないようになっていた。
・まとめ
王道のRPGなストーリーに、奴隷少女のヒロインという組み合わせは期待した通りのもので、程よい冒険とイチャイチャやエッチを楽しむことができた。
ゲームバランスも丁度よく、RPGをプレイしたいという欲求にもしっかりと応えつつ、ストーリーを楽しむ上でストレスにならない程度のものだったので、エロのあるRPGをプレイしたいという要望にしっかりと応えてくれる作品だった。