甘やかしてもらいたいという期待は裏切られたが良作だった。
・キャッチコピーに偽りあり
「ママにあまえる? あまやかされる?」というフレーズが前面に押し出されているため、ヒロインたちに甘えたり、甘やかしてもらう展開を期待していたのだが、ストーリー的にもエッチシーン的にも期待とは異なる内容だった。
プロローグ段階では母親の愛に飢えている主人公を母親として満たしてあげようと響子と千景が張り合ったり、妹たちも妹たちなりに母性を発揮しようとしていたので、バブミ的な要素があるのかと思っていたのだが、母親二人にしても妹二人にしても、母性が感じられたのはプロローグだけだった。
響子と千景の二人については恋人ルートと母親ルートに分かれているのだが、どちらのルートにしても甘える、甘やかされるという雰囲気は薄かった。
どのヒロインも主人公に対する執着が強く、特に響子に至っては公式HPで「自分だけの息子にしたいと狙っていた」と書かれている通り、若干病んでいるレベルだった。
仮にも主人公の実母である千景とも昔から仲が良いはずなのに、その息子を奪おうとするのは序の口で、まるで蜘蛛の巣に絡めとるかのように、あくまでも正常な母子の距離感を保とうと努力する主人公を泥沼に引きずり込もうとする。
母親ルートの場合は異性からの好意に疎い主人公への性教育、恋人ルートの場合は響子が女としての魅力を取り戻すためという口実でセックスを迫ってくるのだが、どちらも後半になってくると浮気の雰囲気が強くなり、特に恋人ルートの場合は、遠からず二人の関係が露見して人間関係がグチャグチャになるだろうなというのが予見できる終わり方だった。
また、恋人ルートの場合は主人公の千景に対しての嫉妬心を煽って本番セックスに持ち込んだり、挙句の果てには媚薬を盛ったりする魔性の女と言いたくなるヒロインっぷりで、魔性という表現が当てはまる女性に母性を感じるかというと、Noというのが正直なところだった。
千景の方も響子ほどではなかったが、恋人ルートではある出来事をきっかけに主人公を取られまいと強く執着するようになる。
ただ、夫のいる響子とは違ってあくまでも社会的にタブーな関係というだけで、実際に被害を被る誰かが存在するわけではないこともあり、禁断の関係を甘く描いていたので、響子ルートに比べるとインモラルな雰囲気は薄かった。
母性ルートの千景は、もはや本作のキャッチコピーをギャグ要素として扱いたいのかと言いたくなる展開で、千景が仕事による疲れのために幼児化してしまい、最後の方は逆に主人公が父性に目覚めそうになっていて笑ってしまった。
妹二人のルートについても甘える、甘やかしてもらうという要素は薄かったので、本作のコンセプトとは外れていると感じた。
・キャッチコピーを別にすれば良作
プレイ前に自分が期待していた内容と実際の内容には隔たりがあったものの、公式HPに書かれているキャッチコピーやジャンルを横に置けば、本作は良作と言えるクオリティだった。
どのヒロインとも肉体関係を持つ(挿入ありのセックス)までの過程が丁寧に描かれているし、抜きゲーとしてはエロが絡まないシーンも多いのでヒロインの魅力を十分に堪能することができた。
また、ヒロインとの関係性が曖昧なのも面白い点で、多くのハーレム作品ではヒロインたちから告白された主人公が恋人候補たちとお試しデートしたり、エッチなことをすることが多いのだが、本作の場合は、別に告白を保留している恋人候補というわけでもなく、妹や母なのか、あるいは恋人なのかがはっきりしない状態で肉体関係を持つというのは珍しい体験だった。
特にルートがそれぞれ一つずつしかない妹二人が顕著なのだが、シナリオが進むにつれて主人公とヒロイン両者の意識や関係性の変化がしっかりと描かれていたのもよかった。
期待していた内容と異なったとはいえ、それぞれのルートの雰囲気が異なり、インモラルな要素の強いシナリオからオーソドックスな幼馴染との恋愛までを一作でプレイできるのは、見方を変えれば素晴らしい点で、お陰でダレずに最後までプレイできた。
妹ルートは実妹の亜季の方は血の繋がった兄妹ゆえのためらいや、素直になれない微妙な距離感が描かれ、幼馴染の雪舞の場合はお互いを兄弟のように想いつつも、仲が深まるにつれて恋人として踏み出していく姿が描かれるので、妹ヒロインとしても差異があって面白かった。
また、キャッチコピーのせいで母親や妹と関係を持つことに対しての背徳感は期待していなかったのだが、雪舞のシナリオ以外は適度に背徳感のあるシナリオで、上述のように響子のシナリオが一番背徳感が強かったのだが、浮気しているというだけでなく、実の母親を裏切っているという気持ちも強く働くため、単なる浮気とは異なる独特の罪悪感もあった。
・バリエーション豊かなエッチシーン
本作のエッチシーン数は59回で、内訳は響子と千景が17回ずつ、雪舞が11回、亜季が9回、北川家と川島家の母娘丼が1回ずつ、千景と響子との3Pが3回となっている。
卑語修正はあるが、あまり気にならない短いピー音だったことに加え、モザイクは薄めで、面積も小さかったため、修正については全体的に頑張っていたと言えるものだった。
精液描写の濃さも特徴と言えるかもしれないが、個人的には精液の量が多すぎて逆に精液に見えなかったので、もうちょっと少な目な方が好みだった。
本作は全体の4割近くが共通ルート中のエッチシーンで、本番セックス(女性器への挿入)までが遠い代わりに、オーラルセックスのバリエーションは非常に豊富だった。
洗体や授乳手コキ、パンツコキなどプレイ内容も色々と用意されていたし、野外やヨガ教室などの第三者が近くにいる状況での性行為や、寝込みを襲われたりとシチュエーションも多岐にわたっていた。
それだけでなく、それぞれのヒロインが特徴的な性癖や体質を持っており、母乳体質の千景や、匂いフェチの亜季、アナルセックス多めの雪舞と、見た目や性格以外の特徴を持っているのがよかった。
また、人妻や実母という肉体関係を持つことが許されないヒロインたちはコンドームが演出として効果的に使われており、最初は挿入を拒んでいた主人公が、コンドームをしているならと流され、ついには生セックスをするようになるという展開は、セックスをすることに対しての背徳感があったし、徐々に流されていく展開はリアルさがあった。
全体的に満足度の高かったエッチシーンだが、母娘丼ルートの扱いの雑さだけは残念で、W母親ルートは3回のシーンと多少シナリオがあったのだが、母娘丼はシナリオらしいシナリオもなく、シーン数が1回だけだったので、W母親ルート程度のボリュームが欲しいと感じた。
・ハイクオリティなグラフィック
本作のCG枚数はフルプライスとしては標準的なボリュームの80枚となっており、響子と千景が22枚ずつ、亜季と雪舞が13枚ずつ、3Pが10枚となっている
クオリティは素晴らしいの一言で、プレイ前の期待を裏切らないものだった。
CGの枚数は標準的だったものの、服装の種類が多めなことを考えると、ボリューム面でも数字以上の満足感があった。
公式HPにも服装のバリエーションがいくつか紹介されているが、それ以外にも裸エプロンを含めた数種類の服装があり、それだけでなく、下着にも複数の種類があったのがよかった。
亜季は私服のセンスや若干眉が短めこと、口の悪さと相まって微妙にヤンキーっぽいと感じたのだが(実際にはそんなことはない)、亜季ルートの中盤以降ではスイッチが入ると主人公の呼び方が「兄貴」から「にぃにぃ」に変化して甘えてくるようになり、見た目と普段の言動のギャップの激しさがよかったので、基本的にはヤンキーっぽい見た目は好きではないのだが、亜季に関しては凄くよいと感じた。
・やや手間のかかる攻略
本作のコンフィグやシステム面は、右クリック機能の割り当てや、エッチの効果音のボリュームを種類ごとに設定できる点などは素晴らしかった半面、ウィンドウサイズが変更できないことや、デュアルモニターに対応しておらず、サブモニターにフォーカスが移ったら勝手に最初化してしまう点などは残念だった。
いずれにしろ、本作の一か月前に発売された同メーカーの「JK妹。」のコンフィグ・システム面と比べると雲泥の差で本作は素晴らしく、何故同じメーカーなのに制作チームによってコンフィグ・システム周りの仕様まで異なるのか甚だ疑問だった。
ヒロインの攻略はマップ画面から攻略したいヒロインを選択する仕様なのだが、千景と響子の二人は母親ルートと恋人ルートが存在するため、マップで選択した時のイベントで更に選択肢が提示され、選択肢次第で母性愛ポイントか恋愛ポイントが増加する。
妹二人には恋愛ポイントしか存在しないため、単純にマップ上で選択するだけでいいのだが、ヒロイン4人共に妊娠ゲージなるものが用意されており、ゲージがマックスになると妊娠ENDを迎えるようになっているので、ルート突入後は中に出すか外に出すかを気を付けないといけない。
また、母娘ルート、W母親ルートに入るためには該当ヒロインの恋愛ポイント(母性愛ポイントだとダメだった)をマックスにする必要がある。
結果として、目当てのヒロインを攻略するだけなら簡単なのだが、枝分かれが多いためにコンプリートするなら面倒な要素が多いという塩梅になっている。
幸いにもゲーム内時間のリミットは存在しないか、かなり余裕を持たせてある様子で、少なくとも自分はプレイ中に時間切れでゲームオーバーという事態には遭遇しなかったため、攻略自体は難しくなかった。
妊娠エンドか非妊娠エンドかの分岐も、妊娠ゲージなるものがあるが、結局のところ、全てのセックスで中出しすれば妊娠、一回でいいので外出しすれば妊娠しないということなので、中出しでゲームを進め、最後のセックスでセーブ差分を作っておけば両方のエンディングを簡単に回収することができる。
ただ、コンフィグで射精箇所を事前に選択できるのに、エンディング回収のためにはオフにする必要があることや、シナリオが短めの妹二人は妊娠ポイントが一回の中出しで2上がる場合もあるため、自分は調整を失敗してしまい、追加で一周する羽目になってしまった。
・まとめ
ヒロインたちに甘やかしてもら内容を期待しているとガッカリすることになるが、単純に抜きゲーとして考えた場合は素晴らしいと言える内容だった。
抜きゲーとしてはシナリオもしっかり用意されているし、ヒロインごとに性格、エロ両面で特徴づけられていたので、最後まで楽しんでプレイすることができた。
グラフィック面も素晴らしく、服装の種類も豊富だったので、ヒロインに何か魅力を感じた、ヴィジュアル面に惹かれたという場合はプレイして公開することのない内容だった。