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Predawnvagabondさんのお兄ちゃん、朝までずっとギュッてして! 夜までもっとエッチして!の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
お兄ちゃん、朝までずっとギュッてして! 夜までもっとエッチして!
ブランド
Tinkle Position
得点
74
参照数
522

一言コメント

ファンディスクということを考慮してもボリューム不足に感じたが、本編を楽しめた人にはしっかりと楽しめる内容だった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ファンディスクとしては標準的な構成で、本編の後日談を描いた内容となっている。
ただ、一般的なファンディスクが本編のエンディングからしばらく時間が経過していることが多いのに対し、本作はハーレムエンディング直後(翌日?)からのスタートとなるため、本編の後日談というのは語弊があるかもしれない。
また、各ヒロインの個別エンドの後日談ではなく、ハーレムエンドの後日談のみというのも一般的なファンディスクとは異なる点となっている。
個人的にはエンディングからしばらく経過したからこそ描ける、ヒロインとの恋人関係が少し落ち着いた、しっとりとしたイチャラブも好きなのだが、本作の場合はヒロインは恋人ではなく妹である点を強調しているため、時間が経過してもヒロインたちとの関係は大きく変化しないと考えられるので、別に本編直後でも、本編からしばらく経過した後の物語でも内容に大きな違いはなかったのではないかと思う。

本作の物語は妹たちとの年末年始を描いており、本編がクリスマスで終わったことを考えると、まさに本編のエンディング直後のストーリーと言えるものとなっている。
内容や構成も本編そっくりで、昼の妹たちとの団欒、夜の選んだ妹との添い寝シーンを繰り返すのが基本で、それにHシーンがちょくちょく挟まれる。
季節もののイベントとして初詣に行くシーンはあるが、それ以外は家の中で物語が完結してしまっているのも本編同様で、更には冬休みで妹たちも学園に行ったりしないので、昼の団欒シーンは本当に家でまったりしている場面が殆どだった。
読んでいてい楽しいかというと微妙なところではあるのだが、だらけた雰囲気は付き合いの長い家族らしさを感じられるもので、ヒロインたちはあくまでも恋人ではなく妹というのが強く感じられる内容だった。
夜の添い寝イベントも本編と似たような感じで、選択した妹と緩くイチャイチャした後、エッチするという内容だった。

ファンディスクは往々にして値段の割にはシナリオのボリュームが少なめで、購入の際は本編が楽しめたことに対するお布施の気持ちも必要なことが多いが、本作の場合もボリュームは少なめだった。
夜の添い寝イベントは各ヒロイン独立しているが、昼間の団欒シーンは共通ルート的な存在のため、どのヒロインも同じ内容となっている。
また、夜の方はエッチシーンがメインと言える内容なため、二週目以降に既読部分をスキップしてプレイすると、ひたすらHシーンを見ているという状況になってしまった。
ハーレムルートは独立した内容だったが、こちらもほぼHシーンのみだったため、Hシーンも悪くはないが、もっと妹たちとの緩い日常を見たいという理由で本作をプレイした場合は少しがっかりするかもしれない。
シナリオの内容自体は本編同様の雰囲気だったため、ファンディスクをプレイしようと考えている程度に本編を楽しめたのなら、ボリュームやエロと日常シーンのバランスに対する好き嫌いはともかく、ファンディスクの方も楽しめると思う。

公式HPに書かれているように、ファンディスクにはハグクリック・べろちゅーモードと妹と一緒に居る生活音の二つの要素が追加されている。
ハグクリック・べろちゅーモードはそのままの意味で、ハグクリックのシステムを流用して、ハグの代わりにべろちゅーを行うシステムで、主にエッチシーンの前後に用意されていた。
生活音についてだが、こちらは部屋にはいない妹たちの声や物音が遠くから聞こえるというもので、同じ家に住んでいるということを実感できる演出で素晴らしかったのだが、生活音が聞こえるシーンは数えるほど(2回?)しか存在せず、売り文句とするには弱すぎると感じた。
Hシーンでの妹視点切り替えは本編と同様のシステムで、妹の心の声も音声付でクオリティは高いのだが、残念ながらプレイ中には妹視点に切り替えることができず、回想シーンからしか妹視点を見ることはできないので、自分の場合は殆ど見ることがなかった。

本作のCGボリュームは56枚+本編からの流用24枚の計80枚となっており、新規CGだけでも不満のないボリュームなことに加え、流用CGを合わせるとフルプライス並みのボリュームなのにシナリオが短いため、イベントCGの使用頻度は非常に高かった。
ボリューム的には満足できるものだったが、新規のハグCGがないのは残念な点で、作品タイトルにもなっているんだから、ファンディスクの本作でも新規のハグCGを用意しておいてほしかった。
クオリティに関しては素晴らしいの一言で、原画・塗り共にレベルが高く、非常に安定していた。
立ち絵も喋りながら切り替わるため、単純にヒロインが喋っているのを見ているだけでも楽しかった。
本編から時間が経過していないため、服装に変化がないのは残念だったが、代わりに晴れ着や袴、巫女服、白無垢という描くのに手間のかかる和服が立ち絵も含めて用意されていた。

Hシーンのボリュームは19回で、内訳は各ヒロイン4回ずつと、ハーレムルートの3回となっている。
ハーレムのHシーンは3P×2回を1セットとしたものが2シーン、5Pが1シーンとなっている。
卑語修正は存在するが、一瞬だけ音声が途切れるタイプのため気にならなかった。
妹視点があることを考慮しない場合、各Hシーンの尺はやや短いと言える長さで、プレイしていて少々物足りないと感じてしまった。
内容は本編と比べても大きな違いは感じなかったが、ファンディスクで追加された和服でのHシーンが各ヒロインにしっかり用意されているのはよかった。

コンフィグやシステムはフルプライス作品としては標準的なもので、設定したい項目はしっかりと設定できたため、大きな不満なくプレイすることができた。
機能面でも選択肢ジャンプやバックログからのジャンプ、ウィンドウサイズの任意変更機能などがあったのはありがたかった。
細かな不満点としては、バックログで1画面中に表示されるテキストが2テキストだけなことや、テキストウィンドウメニューにセーブ/ロード項目が存在しない(クイックセーブ/ロードはある)ことが挙げられるが、大きな問題ではなかった。
本作独自のハグクリックに関しては、本編にはなかった(?)スキップ機能が搭載されており、二週目以降に面倒だったりした場合はスキップすることができる。
TinklePositionお馴染みのコード入力システムは本作にも搭載されており、声優やスタッフのTwitterやBlogからコードを探してきて入力すると各種オマケが解放される。
オマケの内容は各ヒロインのエンドロールや声優のオーディオコメンタリーなどで、別に本作を楽しむうえで必須のものではないのだが、声優やメーカーのSNSを見ない自分からすると、普通に該当ルート攻略で解放してほしいと感じた。
ありがたいことに、攻略サイトにコードの一覧が記載されているので、面倒なら一括で調べてしまうこともできる。


・まとめ

多くのファンディスクと同様にボリューム面に不満は残るものだったが、本編同様に妹たちとの緩くてエッチな日常をもう少し楽しめる内容だったので、本編だけでは物足りないという人には刺さる作品だと感じた。
グラフィックの素晴らしさは相変わらずで、CGのボリュームは値段相応に用意されているため、絵買いをしても損をしないものだった。