コンセプトはよかったが、活かせていなかった。
お嬢様の婚約者の性欲処理をするという設定や地味な雰囲気だが素晴らしいプロポーションというヒロインのキャラクター性はよかったのだが、ヒロインの魅力をあまり感じることができなかったし、肝心のエッチシーンは淡白なものが多く、抜きゲーなのにオカズとしてはイマイチというロープライス作品によくあるコンセプト倒れの内容だった。
公式HPには記載されていないが婚約者の琴羽と侍女の小百合と主人公の3人は幼馴染で、物語開始時点では疎遠になっていたものの主人公にとって琴羽は初恋の相手だし、小百合は二人の面倒を見てくれた姉代わりという設定もあるのだが、幼馴染であることを実感させるようなエピソードは見当たらなかったので実感は薄かった。
幼馴染ということで琴羽と小百合の仲も良好なため、主人公の性処理を無理矢理させているわけではなく、小百合が自ら言い出したことらしいのだが、その真意は最後まで明かされることはなかった。
また、琴羽も最初は気心が知れている相手だからという理由で主人公を婚約者として選んだなどと説明しているが、素直になれないだけで主人公のことをちゃんと好いていることを実感できるイベントがあったり、完全無欠な人間かと思いきや、実はずぼらな一面を見せてくれたりとしっかりとヒロインとして描写されていた。
そのため、タイトル通りに侍女の小百合がメインヒロインなのは間違いないのだが、琴羽もしっかりとヒロインとして描かれており、エンディングも二人分用意されている。
個人的には琴羽が身を引く小百合エンドよりも、琴羽と結婚しつつも小百合が引き続き侍女として仕えてくれる琴羽エンドの方がハッピーエンド感があって好きだった。
総じて、本作は幼馴染、身分の異なる3人、真意の不明なヒロインなどの要素は素晴らしかったのだが、小さいボリュームの中に詰め込まれているため全ての要素が描写不足となっていた。
幼い頃の3人の描写は皆無でちょっとした会話から想像するしかないし、作品のボリュームが短いためにプレイヤーとしては幼馴染であることを実感できるイベントもなかったので、幼馴染という要素が活かされていなかった。
ロープライス作品とはいえ、もう少し幼馴染時代のエピソードを添えるなりして小百合が性処理に立候補した理由や、琴羽が主人公を好きになった理由を推測できるようにしてほしかった。
また、侍女の立場ゆえに主人公との性行為に対する個人的な想いを口にせず、表情の変化にも乏しい小百合は印象に残るヒロインだったものの、こちらも心情を理解する助けになるイベントが非常に少なかったので、せっかくのヒロインの特徴を魅力として感じづらく、結果として、色々とわかりやすい琴羽の方が魅力的に感じられた。
本作のボリュームはCGが15枚、シーン数が11回となっており、ロープライス相応のボリュームとなっている。
しかしながらエッチシーンの多くは淡白な内容のため、オカズになるかというと微妙なところだった。
また、処女の小百合が童貞の主人公にちょっと愛撫をされただけで絶頂してしまうなど、おざなりなシーンも多かった。
シチュエーション自体は非常に面白いもので、主人公が侍女とセックスしているのを琴羽が横で見ているというシーンが多く、なるべく感情を表に出さないようにしている小百合が琴羽に見られて控えめに恥ずかしそうにするのが素晴らしかった。
琴羽のエッチシーンも用意されているが、ストーリー上での存在感はともかくエッチの回数は2回だけで、最初のシーンは小百合に補助されながらの処女喪失セックス、もう片方は小百合との3Pとなっている。
グラフィックの方は満足度が高く、原画、塗り共にクオリティの高いものだった。
キャラデザも素晴らしいもので、個人的にはヒロインは髪をおろしている方が好きなのだが、本作の場合は仕事に忠実な「地味めな侍女」というヒロインゆえにひっつめ髪は仕事一筋感が出ていてよかった。
エッチの時に感じている表情も気に入った部分で、焦点がずれた風になっている表情がエロかった。
システム面はロープライス作品としては問題ない程度には設定を変更することはできるのだが、全体的に動作が鈍かったり、起動時の審査機構のロゴや海賊版の警告をスキップできないなど細かな部分ではストレスを感じることがあった。