何を作りたかったのかが曖昧な内容だった。
非常に中途半端な作品で、未亡人となった兄嫁とどのような関係を築くのかという内容なのだが、「未亡人」というキーワードから連想できるような背徳感は薄かった。
寝取り、寝取られに興味がない自分としては、本作の寝取り要素は薄いだろうと予測して購入したため、寝取り要素が薄かったのは期待通りだったのだが、背徳感までが薄いのは期待外れだった。
全体のシナリオボリュームは低価格抜きゲーとしてはそれなりだが、それでも低価格作品の範疇を出ないもので、そのボリュームに対して3ルート+α(バッドエンドは複数種類ある)というのは詰め込み過ぎで、結果としてどのルートも非常に中途半端なものになってしまっていた。
また、それぞれのルートも未亡人との純愛を描いたものや金銭援助を盾に肉体関係を迫る鬼畜なものなど、ジャンルの振れ幅が極端に大きいため、どういった性癖向けに作られたのかもよくわからなかった。
物語は兄が死んだ直後から始まり、生後間もない赤子を抱えて未亡人になっった兄嫁を金銭的、精神的に主人公が支えるという流れで、そこで兄嫁にどう接するかで展開が変わっていくのだが、ルート次第では娘が幼稚園や小学生になるまで兄嫁と肉体関係を持つことはない。
夫と死別して、なおかつ再婚していない場合は夫の死後何年経過しても未亡人と言えるのかもしれないが、流石に夫の死後三年以上経過していると未亡人を強調されても首を傾げたくなってしまった。
兄の死から一年後という比較的早い段階で金銭援助の見返りに肉体関係を要求するルートの場合、兄嫁は死んだ夫への罪悪感からどんどん精神を病んでいき、それと同時に1歳くらいの幼子までどんどんと内向的になっていく悲惨極まりない展開で見ていて痛々しかった。
兄の死後三年ほど経過してから、兄嫁に告白して恋人関係となってから肉体関係を求めた場合も、結局は兄嫁と主人公の関係はうまくいかず、金銭的援助をしてくれる相手の機嫌を損ねたくないからという理由で、兄嫁は嫌々ながらも主人公に抱かれる展開となる。
娘からも嫌われてしまい、帰れと言われるシーンは何ともリアルで、兄嫁は娘のために妥協して収入だけで相手を選ぶシングルマザーのようだったし、主人公は主人公で娘に嫌われてしまったことで娘を邪険に思うようになってしまうので、連れ子の虐待はこうやって起こるのか・・・と変な納得をしてしまった。
本作唯一のグッドエンドを見るためには何と六年待つ必要があり、物語開始当初は赤子だった娘は小学生となっており、娘が仲人となる形で二人は結ばれる。
6年も兄嫁とその娘を支え続け、ついにゴールインという展開は中々に感動的なのかもしれないが、6年間の内の大部分が省かれてしまっていることや、肝心のエッチシーンも2回だけだったため達成感は薄かった。
本作のエッチシーンは11回、CGは20枚となっており、ロープライス作品としては相応のボリュームだが、5枚のCGがエッチとは関係ないもののため、本作を単なる抜きゲーだと考えると物足りないと感じるかもしれない。
太目の眉毛に厚い唇というキャラデザはエロゲーには珍しく、そこが自分の購入の決め手だったのだが、ヴィジュアル的には未亡人の色気が出ていてよかった。
CGのクオリティに関しては、全体の5割にあたる10枚のCGを公式HPでサンプルとして閲覧することができるので、サンプルCGを見て決めれば裏切られることはないと思う。
エッチシーンに使われるCG15枚中10枚を公式HPで見ることができるため、プレイ内容の詳細は割愛するが、鬼畜ルートの場合は、最初の方は死んだ夫を忘れられない未亡人を無理矢理に犯す背徳感があったが、上述したように、物語が進むにつれて病んでいく上に家庭崩壊が起こるため、後半は背徳感よりも痛々しさの方が強かった。
愛人ルート(?)の場合は想いを受け入れられたと喜ぶ主人公の空回り感や、ヒロイン側がさり気なく本番エッチを避けようとする白々しさなどが生々しくて面白かったが、それがエロさに繋がるかと問われると、首を傾げたくなるものだった。
各シーンの尺は殆どが明確に短いと感じるもので、シーン数こそ標準的なものだが、テキスト量やプレイ時間で考えると物足りないものだった。
主人公と兄は顔は似ていないが、ペニスの形はそっくりという設定のため、ヒロインは望まずとも感じてしまうという設定は面白かったのだが、エッチシーンの尺の短さや、無理矢理に複数のルートを詰め込んでいて、各ルートのエッチシーン数が少ない本作の場合だと、ヒロインの性感開発の手を抜くために作られた設定にも感じてしまった。
コンフィグ関連は比較的充実しており、基本的な項目に加え、ウィンドウサイズの変更や右クリックの機能割り当ても行えたため、快適にプレイすることができた。
攻略はシナリオ量に対して選択肢が多いため、何も知らないと狙ってグッドエンドにたどり着くのは難しいかもしれないが、基本的にエッチから遠ざかる選択肢を選び続けるとグッドエンドにたどり着くことができる。
結局のところ、自分の期待に本作は応えてくれなかったというのが正直なところで、義弟からの想いを無下にできず、かといって死んだ夫のことを考えると受け入れることもできず・・・という未亡人ゆえのジレンマに悩みつつも義弟に押し切られる形で肉体関係を持ってしまうという背徳感を期待していたのだが、結局は無理矢理に近い形で犯すか純愛のセックスしか存在しなかったため、背徳感を感じることはできなかった。
エッチシーンのクオリティがイマイチだったのも残念な点で、明確に各シーンのボリュームが足りておらず、また、3ルートある弊害でエッチによるヒロインの変化の描写も非常に雑だった。
自分の期待通りの内容か否かは別にして、せめて方向性を統一して掘り下げてくれれば話は違ったのかもしれないが、傾向が違いすぎてオカズとしてはイマイチだった。