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Predawnvagabondさんのすぃ~と・はに~・ふぁみり~ 娘ト妻ニ甘イハ父ノ習ヒの長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
すぃ~と・はに~・ふぁみり~ 娘ト妻ニ甘イハ父ノ習ヒ
ブランド
オーバードーズ
得点
55
参照数
1404

一言コメント

近親相姦作品としては背徳感が薄かったが、娘との関係を隠しながら妻ともセックスをするというのは珍しかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・背徳感の薄い近親相姦

オーバードーズは過去に近親相姦を扱った作品をいつくか製作しており、近親相姦の背徳感というものが非常に上手く描けていた。
翻って本作では、背徳感という点では過去作には遠く及ばない内容となっており、父親にしても娘にしてもあっさりとセックスしてしまうので拍子抜けだった。
それもそのはずで、シナリオライターが過去の近親相姦シリーズとは別人となっており、近親相姦という点では同じとはいえ雰囲気は大きく変わってしまったのだろう。
近親相姦の背徳感が好きかどうかは個人の好みも大きいので一概に良いとも悪いとも言えないが、少なくとも過去作が良かったからという理由で購入しようと考えているなら再考の余地がある内容だった。

娘のそっけない態度のせいでギクシャクしていた父娘だが、その態度の理由は父親に禁断の想いを抱いていたからという父娘相姦作品としては定番の設定となっている。
定番な内容なのは問題無いのだが、問題はそれを解決するために持ち出す手段で、本音を引き出す機械というインチキな方法で強引に娘からそっけない理由を聞き出す上に、機械の効果が予想より高かったせいで、主人公も無自覚に娘への禁断の想いを抱いていたことを自覚。
そして機械の効果で近親相姦の心理的な壁も軽々と乗り越えてしまう展開となっている。
そのため、過去作のマイルドな性的行為から始まって、徐々に際どい(セックスに近い)行為に変化していき、最後には一線を越えてしまう近親相姦お約束の展開を期待していると物足りないと感じることになると思う。
更には、あくまでも父親に対しての家族愛が突き抜けた結果の肉体関係ではなく、父と恋人になりたいという考えなので、サクッと一線を超えてしまうことと相まって娘らしさを実感しづらかった。

しかしながら、本作のタイトルには「ふぁみり~」という単語が入っており、近親相姦ではなく”家族”が題材の作品だと考えるとまた違った評価となってくる。
事実、妻と娘のシーンは大体同数で平等の扱いとなっているので、本作は家族を扱った作品だと考えた方が妥当なのだろう。
冒頭では少々ギクシャクしていた娘とは反対に、妻と主人公はとても仲睦まじい夫婦で、夜の性活の方も充実しているという正に理想的な夫婦関係となっている。
その妻に罪悪感を感じながらもラブラブセックスをするというシチュエーションが非常に珍しく、プレイ内容自体は普通なのだが妙な背徳感があって面白かった。
娘とのセックスは妻に見つからないようにするというスリルはあるかもしれないが、上述したように背徳感は薄めだったので、単純な浮気に近い雰囲気だった。
また、妻とのセックスをあえて(妻にはバレないように)娘に見せつけることで、嫉妬を煽る展開もあるのは本作の設定ならではだったが、妻も娘も愛している割には結構エグいことをするなと感じた。
ちなみに、娘は妻(母)に対して嫉妬はするのだが、嫌いではないどころか仲は良好なので、奪い取りたいと考えているわけではなく、主人公に自分だけを見てほしいというスタンスでもないため、変な方向に物語が進むことはなく、安心してプレイすることができた。

本作には一応ハーレムルートも用意されているのだが、思っていたよりもハーレムルートのボリュームは少なめだった。
個人的には娘との関係は妻にも早々にバレてしまい、家族3人で仲良く淫靡な関係というのをパッケージ絵やタイトルから期待していたので残念に感じた。
また、娘と夫の情事に遭遇してしまった妻があっさりと二人の関係を認めるというのは違和感があったので、妻が娘との関係を認める過程はもう少し丁寧に描いてほしかった。
ちなみに、本作は主人公の名前を変更可能となっているが、ヒロインは基本的に主人公のことを「あなた」か「お父さん」と呼び、その二人称が全く違和感の無い関係なので、名前変更が可能なことによる弊害は無かった。


・未完成なゲームシステム

本作ではヒロインに「家族愛」および「エッチ度」というステータスが存在し、選択肢次第でそれぞれ増減する仕様になっている。
似たようなシステムは過去作にもあり、その作品ではステータス次第でHシーンの傾向が変わるという非常にわかりやすいものになっていた。
しかしながら、本作ではステータスによって何が変わるのか非常にわかりづらく、恐らくは単純にヒロイン攻略のために必要なだけで、ステータス次第でHの傾向が変わるということはなかった。
また、単純な選択肢形式ではないために攻略が他作品と比べて大変なのにも関わらず、途中のHシーンには殆ど(全く?)違いがなく、エンディングが変わるのみという味気ないものだった。
制作側がどういう意図で本作のゲームシステムを搭載したのかは不明だが、過去にも同じようなことをしていたので、未完成なまま搭載してしまったのではないかと個人的には感じた。


・Hシーン内容は可もなく不可もなく

本作のHシーン数は全部で26回となっており、内訳は友美が11回、美佐枝が10回、3Pが5回となっている。
尺の方は並程度で特に短いとも長いとも感じなかったが、その割には回数も少なめで、ミドルプライスだということを差し引いてもボリューム不足に感じた。
一応はシーン回想に登録されない汎用Hシーン”らしき”ものも存在し、ツリー調教式のエロゲーに近い、複数の選択肢を選んで一つのHシーンにするというものがあるのだが、一つ一つの選択肢に対するテキスト量があまりにも短く、物足りないものだった。
シーン内容自体には印象に残るものが存在せず、妻や恋人とするセックスとしてはごく普通なものばかりだった。
そのため、本作の特徴的な背景設定である、娘と近親相姦しながら妻ともセックスするという部分を強調したテキストになっているかどうかが重要なポイントになるのだが、そこまで設定が活かせていると感じなかった。


・鼻血が出ているように見える顔

本作のCG枚数は全部で50枚となっており、こちらはシーン数と違って価格相応のボリュームとなっている。
クオリティはまずまず安定しており、サンプルグラフィックに裏切られるということはないだろう。
ただし、サンプルグラフィックはしっかりと確認しておくのを個人的には推奨する。
と言うのも、ヒロインの鼻の造形(塗り?)が特徴的で、鼻血が出ているように見えるかもしれないからだ。
自分はどうしても鼻血が出ているように見えてしまい、本作のグラフィックに最後まで馴染むことができなかった。

・システム周りに関して

本作のコンフィグは充実しているとは言い難いが、プレイする上で必要な項目は揃っているので不便に感じなかった。
次はボイスアイコンがあるのは便利だったが、ウィンドウサイズが変更不可なのと、フルスクリーンでプレイ時にマウスカーソルをサブモニターに持っていけないのが不便だった。
また、BGMが安定しておらず(?)、たまに突然途切れることがあったのだが、不具合なのか仕様なのかは不明だった。
Hシーンでの射精箇所を事前に選択しておく機能も搭載されており、差分は自動回収されないものの、エンディングには影響しないので、一度設定してしまうと選択肢フリーでHシーンをプレイすることができた。


・まとめ

娘との近親相姦による背徳感を期待していると期待を裏切られるが、娘との関係を隠しながら妻ともセックスするという作品は珍しいので、その点が気に入ったなら楽しめるかもしれない。
ただ、価格に対してボリュームが少なめなことと、Hシーン内容自体には特筆すべき部分が無いので積極的にオススメできる作品ではなかった。