相変わらず妹が妹としてストレートに魅力的なのは素晴らしかったが、ストーリーの内容が本編の焼き直しなのが残念。
・本編の良かった部分をそのまま引き継いだファンディスク
本編の一番良かったことといえば、妹が妹として魅力的ということで、個別ルートに入っても中途半端に恋人関係になったりせず、妹のままとして更に深い関係にステップアップしていく部分だった。
また、変わった二人称や変な口癖などの奇を衒ったキャラ付けをせず、ストレートな性格をしているのも本作のヒロインの魅力だと思う。
もちろん、変わったキャラ付けが悪いというわけではないが、色々なキャラ付けが当たり前の昨今では、ストレートな妹というのは逆に新鮮だった。
お兄ちゃんにとっては妹でも、四姉妹の長女でもあるあさひは姉らしさも同時に内包するヒロインで、お兄ちゃんとの幼馴染感というのか、熟年夫婦感というのか、言葉にせずとも通じ合う関係が魅力だった。
次女のまひるは他の姉妹には遠慮がちでもお兄ちゃんには甘えてくれるので、妹に頼りにされるお兄ちゃん気分を味わうことができた。
また、本編のハーレムエンド後のストーリーのため肉体関係も持っているので、本編よりもお兄ちゃんに対する積極性は増していたように感じた。
三女のやよいは背伸びしたい年頃で、中々素直になれない面倒くさい性格なのだが、同時にそこが彼女の魅力でもあり、素直になれないなりに遠回しに甘えてくるのが魅力的だった。
エッチの最中から事後にかけては素直になるのもポイントで、兄妹というお互いに信頼関係が成り立っている故のツンデレは素晴らしかった。
さやは甘えん坊でわがままという年齢的にも環境的にも末っ子感満載の性格で、エッチなことに関しての知識があっても羞恥心が薄いため、赤裸々トークで姉たちを赤面させるというのがしばしばだった。
姉妹たちの関係もよく考えられており、長女のあさひが基本的には妹たちを監督(?)する立場なのだが、穏やかな性格のまひるの方が妹たちを諭すのが上手だったり、難しい年頃のやよいも唯一の妹であるさやには強く出れずに弱かったりと、細かい部分まで姉妹の関係性が作られていた。
ヒロインもお兄ちゃんも好意のぶつけ方がストレートなのも本作の美点で、やはり好意はストレートに伝えるというのは重要だというのを再認識させられた。
・ストーリーは本編の焼き直し
上述したように、本作は本編のいい部分はしっかりと引き継いだFDだったのだが、同時にストーリーの構成まで本編を模倣してしまい、ストーリーそのものには余り魅力を感じることができなかった。
本編でのストーリーは主人公が実家の骨董品店を継ぐのに必要な資格を取るために勉強していたのだが、妹とイチャイチャしすぎて勉強が進まないことに業を煮やした母親が、お兄ちゃんは夜は母屋で一人で勉強し(生活のメインの場は離れ家)、母屋のお兄ちゃんに夜食を持っていける(=お兄ちゃんとイチャつける)のは選ばれた一人だけというルールが誕生したことをきっかけに、物語が動き出すという流れだった。
しかし、母親が作ったルールを守ることができずに全ての妹と肉体関係を持った本編のハーレムエンド後を描く本作では、主人公は未だ資格試験に合格しておらず、本編で作られた夜にお兄ちゃんとイチャつけるのは一人だけというルールは健在となっている。
そのため、本作のストーリーは基本的には本編の焼き直しで、昼は妹たちに手伝ってもらいながら骨董品店を営業し、夜は母屋に起居するお兄ちゃんにおやつを持ってきた妹とイチャつくという展開となっている。
唯一、本編に無くて本作にあったものといえば、短めのデートイベントくらいで、デートイベントが本編になかったので、デートイベントが存在したことは嬉しかったのだが、この兄妹がどういったデートをするのかというのもう少し丁寧に描いてほしかった。
また、肉体関係を持ったことで妹たちのお兄ちゃんに対する好感度も本編よりも上がっているように感じられるのだが、本編開始時点から好感度MAXだったので違いを感じづらかった。
良かった部分だけでなく、前作での自分にとっての不満点もそのままで、Hシーンだけでなく日常シーンももっと見てみたいと感じた自分には、本作でも日常シーンが少ないのは残念な点だった。
他にも、良いとも悪いとも言えない部分なのだが、お兄ちゃんと妹の関係が、肉体関係があるとはいえ、あくまでも恋人ではなく兄妹なのは終始変わらないために物語に盛り上がりが殆ど無かった。
勿論、本作のような作品にシリアスな展開は願い下げなのだが、もう少し夏休みらしいイベントを入れるとかして盛り上がりを作ってほしかった。
・もっと3Pのシーンがほしかった
本作のHシーンの回数は全部で19回で、各ヒロインが4回ずつ、ハーレムが3回となっている。
半ば抜きゲーと言っても過言ではない作品の割には回数は少なめだが、尺に関しては長めなので、嗜好が合えばオカズとしても優秀だと思う。
エロ関連に効果音が全く無いのは気になる点で、効果音があるのが当たり前の身からすると、それが無いのは若干違和感を覚えた。
猥語修正はあるにはあるのだが、気づくか気づかないレベルで音声が一瞬途切れる程度なので全く問題に感じなかった。
本編同様に回想モードからは妹視点のHシーンも用意されており、Hシーン中の妹の心の中をボイス付きで鑑賞できるようになっている。
プレイ中は妹が何を考えているのかを地の文からは読み取ることはできないので、妹の心の声が聞けるのは新鮮で面白かったが、個人的な好みを述べるなら、本編中のシーンにも妹視点のHシーンを入れて、回想モードで兄視点に切り替え可能なシーンもヒロイン毎に1、2回欲しかった。
シーン内容はFDらしい思い切ったシーンも用意されており、お漏らしやお兄ちゃんが見てる状況での自慰、エッチな下着など、若干変態の方向へステップアップした恋人同士のようなシーンがあった。
個人的に気に入ったシチュエーションとしては、何気ない兄妹のスキンシップからエロ行為になだれ込むシーンで、特に兄妹らしさを感じられるシチュエーションで良かった。
若干残念だった点としては、ハーレムエンド後のストーリーの割に3Pが少ないことで、前作はあさひ&まひると、やよい&さやの3Pシーンがあったので、本作では違った組み合わせのシーンが見たかったのだが、3Pのシーンは用意されていなかった。
ハーレムのHシーンは3回とも5Pで、それはそれで悪くなかったのだが、やっぱり4人同時だとそれぞれの妹たちの存在感が薄かったので、ハーレム感を味わえつつも、ヒロインの存在感が薄まらない3Pを、それも本編では無かった組み合わせで見たかった。
ハーレムエンドからのストーリーを描くFDというのは珍しいと思うので、それを活かす意味でもヒロイン個別のシーン数が若干少なくなってもかまわないので、ハーレムという要素を活かしたシチュエーションが見たかった。
・コダワリを感じられるヒロインたちの体型
本作のCG枚数は全部で50枚+本編からの流用21枚となっており、配分はヒロイン4人とハーレムでそれぞれが10枚ずつとなっている。
本編から時間は殆ど経過していない設定のため、当たり前だがヒロインの体型などに変化は無く、長女から末っ子へと順に幼い体型となっていく当たり前さに、逆にメーカーのコダワリが感じられた。
また、本編から殆ど時間が経過していない=同じ季節のため、立ち絵の服装は基本的に同じで、デート時のオシャレ着が新しく追加されただけなのは少々寂しかったので、新しい服装か立ち絵ポーズがほしかった。
グラフィックのクオリティは素晴らしかったのだが、やよいとさやのHシーンの男性器が過剰に大きくて、違和感が凄かったのが唯一の難点だった。
・妹に言われたい一言は?
本作のコンフィグ周りは必要なものは揃っており、他にもウィンドウサイズ可変やバックログからのジャンプも可能で快適にプレイすることができた。
若干の不具合として、フルスクリーンにきちんと切り替わらないという不具合にちょくちょく遭遇したが、一旦ウィンドウ状態にしたあと、ウィンドウ右上の最大化ボタンをクリックして、ウィンドウサイズを最大化してからフルスクリーン化すると問題なくフルスクリーンにすることができた。
違うパソコンで本編をプレイしていた時には、この不具合には遭遇しなかったので、単に自分のプレイ環境によるものかもしれない。
主人公の名前というのか、メッセージウィンドウ上のネーム枠には「お兄ちゃん」とデフォルトで設定されているが、いつでも変更することができる。
自分の名前を入れると更にお兄ちゃん気分を味わえるかもしれないので、物足りないという人は自分の名前を入力してみては如何だろうか。
本編では攻略ヒロインを選ぶのに単純に目当てのヒロインを選ぶのではなく、唇にキスをするorそれ以外の場所にキスをする、という選択肢がやたらめったら登場し、妹へのキスを楽しめると同時に、選択肢スキップが役に立たないという事態に陥っていたが、本作は選択肢の回数が全部で5回くらいに減ったので、周回プレイをする際に選択肢スキップを有効に活用することが可能だった。
また、本編同様にOPやヒロイン毎のEDクレジット(それぞれ曲が別)、声優のオーディオコメンタリーや原画家のイラスト付きのコメントなどを鑑賞することが可能なのだが、そのためには声優や原画家、楽曲担当のアーティストのブログやtwitterからカタカナ4文字のコードを探してきてコンフィグ画面で入力する必要がある。
公式HPのクリエイターズトピックという項目に各声優やアーティスト、原画家のtwitterやブログのリンクも用意されており、コードを見つけるのは宝探しみたいで結構楽しかったが、結局全部を自力で見つけることはできず、一部は攻略サイト頼りになってしまった。
細かい部分まで気合を入れて制作されている本作はEDロールまで凝っており、声優や楽曲担当のアーティストも含めてEDロールに名前が載っている人たちに行われた「妹に言われたい一言」というアンケートの結果が載せられていて、最後までしっかりと楽しむことができた。