孕ませや妊婦好きにも積極的にはオススメ出来ない。
・ど田舎ハーレムもの
妊娠状態のヒロインとのHシーンがエピローグで1回だけあるというのはそこまで珍しくないが、本作は半数近くが妊娠状態のヒロインとのHシーンという妊婦好き向けというニッチなジャンルとなっている。
若い男が一人もおらず、コンビニすら無く、携帯の電波も怪しいど田舎に子宝の湯と呼ばれる温泉の調査の手伝いにやってきた主人公、そして、温泉の効能を調査するために村公認で村の若い女性たちを孕ませるように言いつけられる。
大雑把に述べてしまえばこんなストーリー展開で、都合の良さに色々と突っ込みたくもなるが、抜きゲーだしハーレムを作る理由なんて何でもOKという考え方は嫌いではない。
ただ、どんな作品でもヒロインに魅力を感じるような何かが必要で、本作にそれがあるかというと、微妙なところだった。
というのも、主人公と、従姉の知美が舞台となる村に到着して直ぐ、プロローグすら終わっていないような段階で、一気に時計の針が数ヶ月進むので、開始時点で主人公は村に馴染んでいるし、ヒロインともそれなり(村のためという理由があるとはいえ、主人公の子供を妊娠するのを前向きに受け入れる程度)に親しくなってしまっているので、プレイヤー側としてはヒロインに魅力を感じるようになる何かが欠けていると感じた。
特に羽月なんかは、男性慣れしていないため、最初はツッケンドンな態度だったのに、自己紹介の次の場面ではそれなりに親しそうになっていたりと、急な変化を見せるので違和感が大きかったし、多少なりとも仲良くなる過程も描写するべきだったと思う。
知美は唯一主人公と幼い頃からお互いに知っているという間柄で、お互いにツーカーな関係だったりと、繋がりの深さを感じられたので、ヒロインの中から敢えて一番を選ぶのであれば、自分としては知美が魅力的だった。
また、知美は実は主人公の姉であるとういことが、物語冒頭で明かされるのだが、最初から破天荒な知美とそれに振り回される主人公という構図が姉弟っぽかったので、割りと衝撃の事実のはずなのだが、特に何も感じなかったし、近親相姦的な背徳感も皆無だった。
本作のゲーム形式はヒロイン選択式のオーソドックスなものなのだが、実は一本道で多少Hシーンの順番が入れ替わるだけで、全員仲良く同時に妊娠、そして一緒にお腹が大きくなっていくという流れとなっている。
個別ルートが無いのもヒロインに魅力が欠けると感じた要因で、ヒロインと主人公の関係は曖昧で、主人公がいつ村を去ってしまうかわからないので、恋人や夫婦というには微妙な距離感があり、ヒロインの深い部分まで知ることが出来なかった。
かといってその微妙な関係を活かした何か、例えばヒロインが主人公を誘惑して村に引き留めようとするみたいなこともなく、個別ルートが無い(=明確に恋人関係にならない)ことによるネガティブな部分が目立ってしまっていると感じた。
また、Version1.01においては誤字脱字が多く、本作の微妙な出来と相まって、「おざなりに作ったんじゃないの?」とどうしても勘ぐってしまった。
・物足りないHシーン
本作のHシーンは全部で52回、内訳は知美が12回、残り3人が11回、3Pが6回、ハーレムが1回となっている。
回数だけで考えると、フルプライスの抜きゲーとしては標準的なボリュームだが、それぞれの尺は短く物足りなかった。
また、中か外の事前選択が可能なのだが、事前選択が適用されない選択肢も何度も登場し、しかも乳を揉むor吸うみたいな誤差レベルのテキストの違いしか無い選択肢で、「それ本当に必要だったの?」と言いたくなった。
後半になると、各ヒロインに中途半端に一回だけツリー形式に近いタイプの選択肢付きのシーンが存在したりと、上述の誤字の件やヒロイン選択式のくせに一本道なストーリーなども併せると、まるで無理矢理纏め上げた製作途中の作品のように感じてしまった。
シーン内容は尺が短いだけでなく、当たり障りの無いプレイばかりで、全く印象に残らなかった。
本作は妊娠した状態のヒロインとのHシーンが半数近くを占めるので、妊婦が好きだという人には刺さるのかもしれないが、本作の尺の短さ等を考えると、性癖に合致する人でもオカズになるのかは甚だ疑問である。
頑張って褒められる点を挙げるとすれば、H後のピロートークのあるシーンが多いことで、こちらもHシーン同様に短いながらも事後の余韻が感じられて良かった。
・実際よりも数が少なく感じるCG
本作のCG枚数は全部で80枚とフルプライスとしては標準的な枚数となっている。
しかしながら、どういうわけかクリアしてCG鑑賞モードで枚数を数えるまでは60枚くらいしか存在しないように感じていた。
色々と理由を考えてみたのだが、一つは本作のシーンの殆どが旅館の部屋か温泉であることで、更に背景がショボいので場面の違いが感じづらいことが挙げられると思う。
そして、全裸状態でのシーンが圧倒的に多いこと(例えば羽月の場合は11回中9回が全裸)と、同じようなプレイばかりだったことにより、違うCGも同じCGのように錯覚してしまい、結果として実際よりも少ないと感じてしまったのではないかと思う。
質に関しては、背景絵は別として、可もなく不可もなくで余り印象に残らなかったが、極端に崩壊しているものはなかったので、ムッチリした体型のヒロインが好みなら悪くない出来だった。
添い寝CGが全キャラに用意されている他、Hシーンの導入に使用される汎用CGが各ヒロインに2~3枚用意されている。
妊娠してお腹が大きくなってくると、乳首も少し黒くなるという、妊婦好きは喜びそうな拘りもあった。
本作のシステム周りは可もなく不可もなくで、標準的な機能は大体搭載されていた。
個人的には、ウィンドウモードでプレイ中にサイズが変更できないことは残念だったが、次のテキストが音声テキストかどうかを知らせるアイコンがあるのは便利だった。
・積極的にはオススメ出来ない
尺の短いHシーンとヒロインに魅力を感じづらいシナリオが合わさって、自分が妊婦属性が無いことを差し引いても抜きゲーなのにオカズにならない作品だった。
妊娠状態のヒロインとのシーンが半分近くを占めるというニッチ層向けの作品で、弾数の少ないジャンルの作品だけに、妊婦好きにとっては嬉しい作品かもしれないが、オススメ出来るかというと正直なところ微妙だった。
個人的な話になってしまうが、オーバードーズの作品は一作目から今作まで全てプレイ済みで、メーカーの大ファンというわけでもないのだけども、何となく今まで全てプレイしてきた。
多少クオリティにバラつきがあるとはいえ、割りと挑戦的なメーカーで、特に近親相姦三部作は他には無い会話システムを導入したりと、特徴的な作品を制作していた。
前作、前前作も未完成品を無理矢理カタチにしたような部分もあり、成功したとはお世辞にも言えなかったとはいえ、登下校システムや水着着せ替えシステムなど、他とは違うシステムを搭載したゲームを制作していた。
しかし、今作は未完成(に見える)の作品を、特に変わったシステムを搭載するわけでもなく、尺の短いHシーンで出すという失敗、成功を論じる以前の作品だった。
前前作の「幼馴染 優衣」はポテンシャルを感じたものの未完成、そして前作の「ぴ~かぶ~!」はこれまでと雰囲気がガラッと変わり、少し自分の好みとは合わない作品だった。
そして今作はその両方の悪い部分を合わせたような作品で、流石にオーバードーズの今後の作品は無条件で予約するのではなく、自分の好みに合うかしっかり考えてから購入するべきだと感じた。