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Predawnvagabondさんのスキとスキとでサンカク恋愛の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
スキとスキとでサンカク恋愛
ブランド
ASa Project
得点
82
参照数
770

一言コメント

個別ルートは印象が薄めだったが、全体としてはアサプロらしさがしっかり出ていた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

Asa Projectの強みであるギャグは本作でもしっかりと堪能することが出来、特に共通ルートではらしさが出ていた。
その反面、個別ルートに入ってからの三角関係の描写が思いの外普通に描かれているため、ブランドの特徴が薄くなってしまっており、結果として印象が薄くなってしまっていた。


・三角関係とギャグ

ASa Project(アサプロ)と言えば、ギャグのためには乙女らしさすら投げ捨てるヒロインと明確なコンセプトがウリのブランドで、本作もしっかりと笑える作品だったが、アサプロのヒロインにしては乙女を捨てきれていなかったり、三角関係が思ったよりも真面目だったりと、過去作と比べるとアサプロらしさが薄めだと感じた。
本作では七瑠が恒例のマジキチポジションのヒロインなのだが、他キャラクターを全力で煽ったり、とんでもない変顔を披露していた過去作のマジキチヒロインと比べると、七瑠は下ネタこそガンガン言うものの、気遣いもそれなりに出来る上に乙女らしさもあるという、最早マジキチとは言えないヒロインだった。
キャラクターの個性自体はどれも強烈で、オタクが集まる漫画研究部のメンバー全員が登場するイベントが大半なので、サブキャラも含めて存分に活躍していたが、どうしても突き抜けきれていないように感じた。
三角関係はエロゲーでは良くある展開だが、そこはアサプロなので面白おかしい三角関係になるのではないかと期待していたのだが、思ったよりも普通の三角関係で、恋と友情の板挟みに悩んだりと青春していた。
全体としてアサプロが得意とするギャグが薄くなっていたように感じられ、逆に不得意とまでは言わないが、可もなく不可もなくな普通の学園作品っぽい恋愛部分が強化されてしまったことにより、個別ルートは印象に残らない内容になってしまっていた。

勿論、アサプロらしさが感じられない作品だったというわけでなく、面白くて笑ってしまうシーンも盛り沢山だったので、従来のファンもしっかり楽しめる内容だった。
特に共通ルートはアサプロの持ち味がしっかりと出ており、お得意のメタネタから下ネタ、両親以外は登場人物全員が何らかのオタクなので、オタクネタも豊富だったりと楽しめた。
また、個別ルートではそれなりに真面目に三角関係をやっていたが、共通ルート中ではヒロインが青春している横でBLトークを始めたり、三角関係をネタにしたりと面白かった。
古いのから新しいのまでネットスラングがやたら多かったのも、オタクの学園生ということを考えればむしろ自然に感じた。
しかし、過去作と比較した場合に本作が特に面白かったかというと微妙なところで、過去作をプレイした人は期待値を上げすぎないほうが楽しめるかもしれない。

個別ルートは真帆以外の3人は同じくらい面白かったのだが、真帆だけは他ヒロインよりもルートの尺が短く、内容的にも普通の幼馴染モノでイマイチ面白くなかった。、
全ヒロインのルートで言えることなのだが、三角関係がコンセプトの本作はあくまでも付き合うまでがメインで、ルートによるものの、恋人同士となってからのシナリオは短めなので、Hシーンのために存在していると割り切った方がいいかもしれない。
メインヒロインの他にサブヒロインの二人にも一応個別ルートが用意されているのだが、シナリオ自体は非常に短く、ヒロインに魅力を感じる前に終わってしまったので、あくまでもHシーンのために存在しているルートだと捉えるのが無難だろう。


・ネタに走るHシーン

本作のHシーンは全部で20回となっており、メインヒロインが4回ずつ、サブヒロインが2回ずつとなっている。
余談だが、前作のHシーン数も20回で、メインヒロインが5人だったので、本作はメインヒロインが一人減った分の補填で珍しくサブヒロインのルートも用意されていたのかもしれない。
シーン数はやや控えめな分、1シーンあたりに2~3枚のCGが使用されている。
オカズに使えるかというと、NOというのが正直なところで、大体のルートでHシーンはネタに走っている。
シナリオ同様に真帆は例外だが、残りのヒロインのシーンは多かれ少なかれネタに走っており、オカズとしてはともかく非常に楽しめた。


・少し懐かしさを感じるCG

本作のCG枚数は74枚+SD10枚となっており、フルプライスとしては並程度のボリュームとなっている。
理由はわからないがプレイしていると何故か少し懐かしい気分になるCGで、特にすずと真帆の二人は懐かしい気分になった。キャラデザのせいかもしれない。
主人公はハッキリと顔が見えるタイプで、Hシーンは前髪で隠れるが、それ以外のイベントCGでは約半数で顔が見える構図だった。
残念だった点としては、モザイクが大きめなことで、CGによっては下着を脱ぐ前からモザイクがかかっていることもあった。
しかし、頑張ってモザイクのサイズや薄さを攻めたところで、ネタに走ったHシーンなので大した問題では無かったのも事実である。


・使いやすいブックマークシステム

本作はコンフィグ面に関しては非常に充実しており、細かい部分まで設定することが可能で、バックログからのジャンプ、シーンジャンプ(選択肢ジャンプに切り替え可能)とサスペンド機能も搭載されていた。
ウィンドウサイズも完全な可変ではないものの、4つのサイズから選ぶことが可能(最大で1600*900)となっている。
バックログ機能はVer1.01では若干バグっているので、これからプレイするなら最新のパッチを当てるのを忘れないようにした方がいいだろう。
他にもシーンビュー機能が搭載されており、好きなチャプターからプレイを開始することが出来る。
セーブ機能が他作品と比べると特殊で、本作ではセーブ機能ではなくブックマーク機能と呼ばれ、スロットにセーブするのではなく、その名の通り栞を挿むような感じでセーブする。
上書き機能は存在しないので、削除しない限りブックマークはどんどん増えていくが、ブックマークは新旧で並べ替えられるだけでなく、ルートと属性(選択肢、通常シーン、Hシーン)タグで並べ替えることが出来るので、ブックマークが増えても混乱することは無かった。
本作の攻略は地味に難しく、正解の選択肢が非常にわかりづらいため、目当てのヒロインのルートに入れないということが何度かあり、特にサブヒロインの茜ルートへの入り方がわからず、色々な選択肢の組み合わせている内に、気づいたら茜ルートに入っていた。
ただ、選択肢ジャンプ機能やシーンビュー機能が優秀なので、ルートを探すことは苦痛では無かった。