無難な萌え抜きゲー。絵が好みならありだと思う。
・無難な萌え抜きゲー
ヒロインやHシーンに本作独自とまで言える魅力は無いのだが、萌え抜きゲーとしては一定以上の水準に纏まっていた。
グラフィックに関しては特に素晴らしかったので、本作が萌え抜きゲーであることを承知しつつ、公式HP等のキャラ紹介やサンプルCGを見て気に入ったのなら楽しめると思う。
・前作との違い
MOONSTONEのHoneyブランド2作目の本作は、第一作目である「お嬢様と秘密の乙女」と比べると、良かった部分はそのままに、前作の弱点をある程度克服した作品となっている。
低価格ゲームの寄せ集めみたいにヒロイン同士の繋がりや共通ルートが無かった前作と違い、抜き要素重視の萌えゲーという部分はそのままに、共通ルートのボリュームを増やし、姉妹なのでヒロイン同士の繋がりもしっかりとあった。
反面、前作同様にヒロインと主人公以外は全くと言える程に登場せず、立ち絵や声ありのサブキャラは勿論、モブキャラすら殆ど登場しないので学園モノらしいイベントは存在せず、学園に通わなくても良かったんじゃないの?とすら感じた。
しかしながら、ストーリーに関してはヒロインに萌えられればそれでOKとも考えられるジャンルで、日常シーンやイベントは多少物足りなかったものの、ヒロインにはしっかりと萌えることが出来たので、大きな問題ではなかった。
本作のストーリーは主人公の母親が主人公に内緒で再婚した上に、新婚旅行として世界一周旅行に出かけてしまったので、再婚相手の娘である三姉妹と面識も無いままに唐突に同居することになるという、エロゲ的お約束の展開になっている。
ヒロインたちは当然ながら最初は歓迎ムードでは無かったのだが、実は子供の頃に仲が良かった事が判明したりして、徐々に仲が深まっていきながら家族へ、そして恋人へというのが大まなかな流れとなる。
タイトルにスクランブル(奪い合う、取り合う)とあるように、本作はヒロインが主人公を取り合うが、姉妹仲は良好なのでギスギスはしない。
共通ルートではお風呂に乱入とかのエッチなイベントもあるが、二人きりでお昼ごはんとかお出かけみたいな健全なイベントも多いのが良かった。
また、共通ルートは完全なる日常シーン集なので、姉妹揃ってのシーンが多いのも嬉しかった。
個別ルートの方は、抜きゲーとしての本領を発揮してHシーンがメインとなり、Hシーンとの間に短めの恋人同士のイチャラブ日常シーンが挟まれる構成となっている。
終盤は多少シリアスな雰囲気になるが、あくまでも物語を締めくくるためのメリハリ作りのため程度の内容、ボリュームだった。
前作と比べると、Hシーン以外の部分が増量して良くなったのは確かなのだが、特徴的だった前作のヒロインと比べると、本作のヒロインは少しテンプレ気味だった。
ツンデレ気味の明日香、清純派(恥ずかしがり屋?)の夕姫、小悪魔の美空と3人のキャラクター性は非常にわかりやすかった。
個人的には美空のようなお調子者キャラは余り好みではないのだが、美空の小悪魔的な性格が意外にツボにハマり、また、Hシーンでも小悪魔っぷりが活かされていたので特に印象に残った。
ヒロインが幼い頃に主人公と親しかったという設定が殆ど活かされておらず、ストーリーに絡んでくるのは明日香ルートの終盤だけだったのも残念だったので、もう少し幼馴染設定を活かせれば、ヒロインにもっと個性が出たのではないかと思う。
主人公は無自覚にヒロインを褒めて照れさせるとかエロゲ主人公らしい部分も多かったが、余り印象に残らないキャラクターだった。
名前を変更可能なのだが、ヒロイン3人からは兄さん、お兄ちゃん、おにぃと呼ばれるため、基本的には名前変更による違和感が無いと言えるのだが、同い年で同じクラスの明日香からも兄さんと呼ばれるのは少し違和感があった。
・ハイクオリティなグラフィック
本作のCG枚数は68枚+SD4枚となっており、フルプライスより少し価格が低いことを考えると満足のボリュームとなっている。
イベントCG、立ち絵共にハイクオリティで、グラフィック面に関しては非常に素晴らしかった。
立ち絵は喋りながら動き(立ち絵が切り替わる)、ゆずそふとの立ち絵みたいにはガンガン動かないが、喋りながら立ち絵が動くとキャラクターがより表情豊かに感じられた。
それぞれのヒロインに添い寝CGが用意されているのも嬉しいポイントで、やっぱり添い寝CG+ピロートークがあると、Hシーン後の余韻がグッと良くなると感じた。
立ち絵を使った演出として、ヒロインの立ち絵をテーブルの向こう側に置いて一緒に食卓を囲んでいるように演出するシーンがしばしばあったのだが、例え食事中であろうとも食卓の上に何も乗っていないので凄く違和感があった。
・バレそうなシチュエーションが多いHシーン
Hシーン回数は各ヒロイン12回ずつの計36回で、CGの内訳も含めて完璧に平等な扱いとなっている。
猥語修正は一瞬音声が途切れるタイプだが、殆ど気にならなかった。
Hシーンに関するシステム面では中か外の事前選択肢とBGVがあるが、BGVはクリックで音声を停止するように設定していない場合、通常音声と被ってしまうが、BGV単体でボリューム調整が可能なので、BGVの音量を下げることである程度両立することが出来る。
尺は抜きゲー基準で考えても満足の長さで、少なくとも二回戦まではあった。
主人公の性格がHの時だけは大きく変わり、ヒロイン相手に言葉責めしたりと普段と打って変わってアグレッシブになる。
ひどい場合だと、痴漢プレイを小さな女の子に見られた時に「性教育の一貫として、このまま見せつけてあげよう」とか言い出す始末で、思わず笑ってしまった。
シーン内容は前作と比べると珍しいプレイは多少減ってしまったが(あちらは女装主人公だったのも大きい)、それでもアナルプレイやコスプレ、痴漢プレイなどのマニアックなシーンがあった。
H中のシチュエーションが少し偏っており、他の誰かに見つかりそうな場面が多く、見つかりそうなスリル(上述の痴漢プレイを除いて実際に見つかることはない)や、声を我慢するヒロインが好きなら特に楽しめる内容だと思う。
家族団欒中にこたつの中でオナニーとかセックスしたり、更にえげつないのだと授業中に生徒机の下に潜り込んでフェラとか、痴漢モノAVもびっくりの「バレないわけ無いだろ!」なシチュエーションがあった。
・機能の充実したコンフィグ周り
本作の機能面は非常に充実しており、少々設定画面が使いづらいがマウスジェスチャやキーボードショートカットも設定可能となっている。
また、スナップショット機能とスポットライトモードというちょっと珍しい機能も搭載されている。
スナップショット機能はその名の通り、メッセージウィンドウメニューのスナップショットボタンを押すと、スナップショットを撮ってマイピクチャ内に保存してくれる機能で、キーボードショートカットを設定することで、メッセージウィンドウを消去した状態でも(多分)撮ることが出来る。
ただし、フルスクリーン状態で撮っても標準解像度の1280*720のサイズとなってしまうので、自分のモニターの解像度に合わせたサイズのショットが欲しければ、Windows標準のスクリーンショットなり、外部ツールを使用する必要がある。
もう一つのスポットライト機能の方は、その時喋っているキャラクターの立ち絵がハイライト表示される(=他の立ち絵に薄く影がかかる)機能で、珍しくはあったのだが、違和感が大きく直ぐにオフにしてしまった。