バトルパートはヒロインが追いつめられていく過程が上手く表現できていたと思うが、シナリオが皆無だったのが残念だった。
・しっかりとエロいゲームパート
変身ヒロイン陵辱ものにゲームパートという組み合わせは、トライアングルの魔法少女シリーズを筆頭にちょくちょく見かけるが、本作のゲームパートはゲーム性そのものはとにかく、エロさに関しては随一と言えるかもしれない内容だった。
身も蓋も無いことをいってしまえば、自分はエスカレイヤーのようなゲーム性重視の作品でもなければ、魔法少女陵辱作品でのゲームパートはいらないと思っているのだが、本作ではヒロインが徐々に追いつめられていく雰囲気がしっかりと表現出来ていたので、これならゲームパートもありかもしれないと思った。
まず、ゲームシステムについて述べると、非常にシンプルな作りになっていて、ターン開始時にエモーショナルポイントと呼ばれるゲージの目押しをして、それから通常攻撃、防御、耐える(欲情度減少)、気合(エモーショナルポイント増加)、必殺技(回復魔法含む)の5つのコマンドを選ぶだけというものとなっている。
攻略においてはエモーショナルポイントが非常に重要で、目押しを成功させてマックスの状態だと雑魚敵は一撃で葬れるし、能力もアップするようになっていて、ポイントは戦闘の勝敗やマップイベントでの選択肢次第で上下するようになっており、高ければ高いほど目押しが簡単になるようになっている。
無限に雑魚戦を繰り返すことが可能で、エモーショナルポイントも高い状態だと、簡単に目押しを成功させて雑魚戦を1回10秒ほどで終わらせることが可能なので短時間でレベルアップが出来、クリアするのは非常に簡単だったが、変な所でセーブしてレベルアップが出来なくなると詰むこともありえるので、セーブスロットはある程度分散させた方がいいと感じた。
戦闘にはエンジェライトのHPが0になるか欲情度がマックスになると敗北するようになっており、そのため敵は普通の攻撃だけでなく、性的な攻撃も仕掛けてくるようになっている。
性的な攻撃を受けると、胸、尻、性器のうち、攻撃を受けた箇所の感度が上がり、次回以降の戦闘も含めて欲情度が上がりやすくなってしまう。
また状態異常の種類も、触手に拘束、発情、粘液濡れ、果てはボテ腹やフタナリなどの性的な状態異常が豊富で、その上、状態異常はかかってしまうと基本的にその戦闘中は解除出来ない仕様になっており、必殺技で欲情度を下げることが可能とはいえ、戦闘は長引けば長引くほどヒロインが不利になるバランスになっていた。
この辺りのバランスが秀逸で、徐々にヒロインが追いつめられていく雰囲気が出ており、敗北による陵辱シーンの悲壮感はもちろん、勝利したとしてもボロボロになりながらの勝利というのが良かった。
過剰にレベルアップしなければ、勝敗にある程度の運が絡む程度のバランスになっており、こちらも敗北して犯されながらも戦い続けなければならなない変身ヒロインの悲壮感が出ていた。
とはいえ、中盤以降にゲームの勘所を押さえてしまうとレベルアップもサクサク進むし、戦闘パートの展開自体もそこまでバリエーションがあるわけではないのでマンネリになってくるのも事実だった。
また、雑魚敵にしろボスにしろシーン回収ためにわざと負けたり、セーブ&ロードを繰り返したりというのも作業感が強かったので、シナリオ部分でもゲームパートでも構わないので、もう少し飽きさせない工夫が欲しいと感じた。
クリア後の要素として、ひたすらバトルを繰り返すモードや、ヒロインの感度を自由に弄って某退魔忍みたいな敏感体質にも出来るようにはなっていたが、正直二周目をプレイしたりするだけの魅力は感じなかった。
ゲームパートがあるため、Hシーンの回収が面倒なのではないかと最初は思っていたのだが、実際には良くも悪くも簡単で、雑魚敵は各1回ずつのHシーン、ボスには各4回ずつのHシーンが用意されている。
ボスには3回負けてしまうとゲームオーバーになるため、ボスのシーンを全回収するには欲情度かHPによる敗北方法のバリエーションを設けながら、セーブ&ロードをする必要があったが、雑魚敵には何度負けてもゲームオーバーにならないので、簡単に回収することが出来た。
・同人レベルのシナリオ
バトルパートばエロかった反面、本作のストーリーやシナリオは皆無に近く残念な出来だった。
フルプライスでは無いので、色々な方面に手を出して全部が中途半端になるよりは、シナリオをある程度割りきった配分にするのは理解出来るのだが、それでも本作のシナリオは少なく、プレイヤー側の想像力任せになりすぎていると感じた。
物語が陵辱者視点ではなく、ヒロイン視点で進行する都合上、プレイヤー次第で全ての雑魚やボスに犯されつつも戦い続ける展開にも、イベント戦以外では無敗でほとんど犯されない展開にもなるためか、ほとんどイベントが用意されていないのである。
結果として、ヒロインにわざと敗北させて、描写されていない部分でヒロインも苦悩しているに違いないみたいな、プレイヤー側の妄想でストーリーを補う必要があると感じた。
そのため、バトルパートを主眼とした、変身ヒロイン同人作品のボリュームアップ版みたいな印象だった。
いくら抜きゲーとはいえ、やっぱりヒロインに悲壮感を出したり、何度犯されても立ち上がる気丈さを示すようなシーンが用意されていると、陵辱シーンも盛り上がるので、もう少しシナリオにも力を入れてほしかった。
そういった点では、純粋なADVではなく、ゲームパートも存在する変身ヒロインものとしては、トライアングルのように陵辱者視点でのストーリーの方が展開分岐が少なくなり、作りやすいのかもしれない。
・Hシーンはもう少し設定を活かしてほしかった
本作のHシーンは全部で37回とミドルプライスとフルプライスの間の価格帯の作品としては、ゲームパートを考慮するとこんなものだと感じるかもしれないが、ストーリーパートの少なさやCG枚数も39枚という点を考慮すると、ボリューム不足だと感じた。
また、尺の方も許容範囲内ではあるが、短いと感じるシーンが多かった。
ヒロインの内訳としては、ラピスラズリ単独が3回、ラピスラズリと一緒に犯されるのが2回、悪堕ちしたラピスラズリに犯されるのが4回で、残りがエンジェライト単独のシーンとなっている。
ラピスラズリのキャラが好きだった自分としては、もう少しラピスラズリ単独のシーンが欲しかったが、フルプライスではないのでメインヒロインに焦点を絞ったのは正解だと思う。
陵辱役は悪堕ちしたラピスラズリを含めて5人のボスに10体の雑魚敵と、特別に印象に残るようなクリエイティブな怪人はモンスターはいなかったが、バリエーション豊富なのは良かった。
しかし、雑魚敵は1回ずつしかシーンが無いのは勿体無いと感じたので、ボスの陵辱シーンにも登場させたりしてほしかった。
フタナリになるシーンが用意されているのは嬉しかったが、個人的な好みとしては、セルフパイズリ出来るほどではないとはいえ大きすぎると感じたので、もう少し常識的なサイズの方が良かった。
本作ではヒロインは変身して戦うのに、自分だけでなく周りの人間の精神力を力に変換するエモーショナルアームズというものを使っていて、バトルパートではエモーショナルポイントという要素でそれを表現出来ているのだが、ストーリーあるいはHシーンでその設定が余り活かせていないと感じた。
戦いを見ている衆目がヒロインに対して邪な想いを抱くと、それにエモーショナルアームズが反応してヒロインが発情してしまうという設定なのだが、似たような設定で、ライターと原画どころか、声優すら同じである「触装天使セリカシリーズ」と比べると、心強い味方であるはずの変身衣装が牙を剥くという部分は同じとはいえ、あちらは衣装自体がガッツリとヒロインを犯していた上に、ストーリー的にもその辺りが重要だったのに、本作では単に発情させるだけだった。
それなら、怪人やモンスターの攻撃と同じじゃねーかとなってしまい、変身衣装が牙を剥くという本作の特徴が活かせているとは言えない内容だったので、もう少し変身衣装にもヒロインを陵辱する機会を与えてほしかった。
・グラフィックは過去作からの順当な進化を感じられる
上述の通り、本作のCG枚数は全部で39枚となっていて、価格帯としては少ないと感じるボリュームだった。
ボリュームについて多少の擁護をするなら、本作には上述の「触装天使セリカ」のスケールアップ版が特典としてついてくる。
本作はその精神的続編と言えるため、本作が好きならセリカも間違いなくハマると思うので、未プレイの人にとっては全体として満足出来るボリュームとなっていると言えるかもしれない。
ただ、自分のようにプレイ済みの場合は、いくらスケールアップ版とはいえ、ちょっとしたオマケでしかないので、やっぱりボリュームに関しては不満を感じた。
ざっくりと流してもう一度セリカもプレイしたため、本作のCGはどうしてもセリカと比較してしまうことになったのだが、セリカと比較すると原画、塗り共に過去作から順当に進化して今風になっており、特徴的な原画が気に入れば、質に関しては満足出来ると思う。
・CTRLで戦闘も超速化
本作のコンフィグは設定できる項目は最小限に近いが、個別音量調節とクリックでボイスの停止のon/offは出来るようになっている。
ただし、戦闘中のシステム効果音だけはボリューム調節に反映されないので五月蝿かった。
また、メッセージウィンドウが無闇矢鱈と大きく、画面全体のうちの3分の1以上を占有しているくせに、実際には半分ほどの面積しか使わないという謎の仕様だった。
戦闘に関しても色々設定できるようになっていて、難易度や戦闘スキップ機能がついているのだが、正直なところ、戦闘に関しての設定ができるのに気づいたのがクリア後だったので、難易度調節やスキップ機能がクリア後に解放されるのか、最初から設定できるのかはわからない。
いずれにせよ、CTRLで戦闘を超速化出来るため、雑魚戦は10秒程でこなすことが可能なので、レベルアップに時間を費やすということはなかった。
・戦闘パートはエロかったが、CGやADVパートのボリュームが不足していた
戦闘パートはヒロインが徐々に追いつめられていったり、ボロボロになりながら戦うというのが雰囲気が出ていて良かったものの、中盤以降はマンネリだった。
また、ストーリーやシナリオが皆無に近く、設定が活かせていなかったこともマンネリの原因の一つで、全体的に同人作品のボリュームアップ版のように感じられる内容で、グラフィックもゲームパートを考慮するとしてもボリュームが不足していた。