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Predawnvagabondさんのダンジョン オブ レガリアス 背徳の都イシュガリアの長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
ダンジョン オブ レガリアス 背徳の都イシュガリア
ブランド
アストロノーツ・シリウス
得点
92
参照数
2903

一言コメント

UIやバランスは完璧とは言えないけども、シナリオもエロもゲームパートもしっかりしていた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・ストーリー、ゲーム、エロの全てで手抜き無し

アストロノーツ・シリウスの過去作同様に、本作もしっかりと遊べるゲームパートに先が気になるシナリオ、質の高いエロと三拍子が揃った作品となっている。
ストーリーは記憶喪失で正体不明な主人公に、地の底に沈んだロストテクノロジー満載の空中都市(ダンジョン)と、冒険とファンタジー作品としてはちょっとテンプレ気味な設定かもしれないが、最後までゲームをプレイする動機の一つとして、しっかりと引っ張ってくれるだけの面白さがあった。
RPGパートは難易度を三段階でいつでも調節可能なので、強敵に遭遇した時はレベルを上げたり、戦術を試行錯誤するような通常のRPGゲームのような手法を取る以外にも、先が気になる(次のエロが見たい)なら、難易度を落としてサクッと突破することも出来るので、人によってガッツリとRPGを楽しむことが出来るし、逆に気分だけを味わうようなプレイも出来るのが良かった。
ストーリーにしろダンジョンにしろ、しっかりとしたボリュームのある本作だが、アストロノーツの作品なので、エロに関しても満足のいくボリュームが用意されているので、全てにおいて楽しめる作品だった。


・期待を裏切らない王道展開

記憶喪失の主人公が自分の正体を求めて、かつて栄華を誇った空中都市のダンジョンに潜るというのは上で書いた通りだが、それ以外にもダンジョンの技術を悪用しようとする権力者との対立や、それぞれの目的を以って主人公とパーティーを組むヒロインなど、非常に王道な設定が満載となっている。
また、キャラクターもアストロノースシリウスらしい構成で、褐色肌、家庭持ちの人妻、ミステリアスな熟女など、過去作とも似た属性のヒロインが多く、ストーリー的にも、生真面目な聖騎士や悪魔使いなどがパーティーを組む呉越同舟っぷりが良かった。
主人公もシリウスの他作品の主人公に似ていて、エロには明け透けで直ぐに女に手を出すが、無理強いはしないし、女心を理解していて男女の駆け引きには長けており、更にはヒロインに対する不利益の芽は事前に摘み取ったりと、ヒロインが主人公に惚れるのも納得だった。
また、相手が男であっても、弱い者いじめのような現場に立ち会うと助けたりと、飄々としながらもしっかりとした正義感もあるので、プレイヤーから見ても魅力的だと感じる主人公だった。

ヒロインの数はかなり多く、パーティーメンバーだけで8人、それ以外も含めると全部で12人もいるのだが、Hシーンだけでなく、個別イベントもたっぷりとまではいかなくとも、ヒロインの魅力がしっかりと伝わる程度には用意されていて、内容も物語が進むにつれてヒロインと主人公の仲が深まっていくのを実感出来る内容だった。
ただ、ヒロインではない男キャラクターに関しては、何人か印象に残るキャラクターがいたのに登場回数が少なく感じたので、獣人ギルドの長なんかはもう少し活躍する場面がほしかった。


・最近では逆に珍しいくらいにオーソドックスなRPG

ゲームパートは非常にオーソドックスなターン制のRPGで、5人のパーティーメンバーを前衛と後衛に配置して、ターン開始時に通常攻撃やスキル、アイテムなどのコマンドを選ぶというものになっている。
ダンジョン内の移動は、アストロノーツの他作品でいうと、「ウルスラグナ」や「塔の下のエクセルキトゥス」と似た方式で、プレイヤーキャラクターを見下ろした視点で、ダンジョン内の行きたい場所をクリックするという方式だが、他二作と比べると今作はずっと複雑な構造だった。
セーブは戦闘中以外ならいつでも可能で、その上ダンジョンではシンボルエンカウントなので、不意の強敵戦でプレイ時間がパーということが無いのは良かったが、一部ヒロインイベントは、唐突に戦闘が始まることもあったので、街のマップでのセーブデータは常に別枠に用意しておいた方が安全だと思う。
上述のように、難易度はいつでも三段階(クリア後に更に一段追加)に変更可能で、説明文によると敵の能力値が±25%変わるようになっている。
一度下げてしまうと、難易度を上げることが出来ない方式ではないので、勝てないボス相手には難易度を下げるとか、雑魚戦だけは難易度を下げてサクサクとレベルアップさせるとか、色々柔軟に難易度調節機能を使えるのが良かった。
難易度変更がなく、ウルスラグナの理不尽なラスボスで苦労したり、逆にエクセルキトゥスの簡単すぎる難易度に退屈したりした自分にとっては、この難易度の仕様は有り難かった。

特に変則的な部分があるわけでもないターン制RPGなので、バランス等に関しては述べる部分は少ないのだが、ノーマル以下の難易度でプレイしていると、属性を意識する場面は特に無く、細かく詰める必要はなかった。
また、過剰に状態異常を使ってくるような敵ばかりで固められたダンジョンが無かったのは良かった。
ゲーム全体の難易度に関しては自分で調節するとして、調節できないパーティーメンバーの強弱や有用性に関しては偏りがあった。
パーティーメンバーは万能型の主人公を含めて全部で9人いるのだが、最初に仲間になる四人が攻撃力重視の前衛、防御力重視で回復やバフも出来る前衛、素早さ重視で敵を状態異常にするスキルの豊富な前衛にオーソドックスな魔法使いと、余りにも鉄板すぎる構成のため、後に加わる4人を使う機会が、一部のパーティー固定イベントを除けば使用する機会が無かった。
序盤に使いやすいパーティーメンバーを加入させて、中盤以降のゲームに慣れた頃にトリッキーなキャラを加入させて、マンネリに一石投じるという思惑があったのかもしれないが、前述の5人でバフ、デバフ、状態異常に全体攻撃とバランス良く揃っており、出来ないことが無かったため、ずっとベンチを温めるという不遇な扱いだった。
経験値は非参加組にも入るので、レベルアップが面倒とか、違うキャラを使おうと思ったのにレベル差のせいで使えないという事態が無いのは良かったので、性能面に関してももう少し吟味するか、属性等の半ば死んでいる要素を上手く使うなりして、他メンバーにも活躍の機会を与えてほしかった。
特に実質クリア後にパーティーに加入する、クリア特典みたいな扱いのゼノビアですら見劣りしたので、せめて彼女くらいはちょっと壊れ気味の性能でもよかったのではないかと思った。
また、スキルにしてもアクティブ、パッシブのスキル枠が5つずつしかなく、パッシブはともかくアクティブスキルに関しては、キャラ毎に20程のスキルがあるのに、枠が5つしかないのは少なく感じられ、結局使わないままみたいなスキルが多かったので、いっそアクティブスキルはスロット制にする必要は無かったんじゃないかと思う。

ダンジョンはローグライク方式というのか、自分が一マス動く毎に敵シンボルも一マス動く仕様で、お約束の一方通行やダメージ、スキル縛り、移動速度低下などの床がある。
ダメージ床はメリルのフィールドスキルで一定時間無効にすることが可能で、パーティーメンバーにメリルを入れる→スキルを使って通過→パーティーメンバーを元に戻すという一連の動作をさせるだけの、ただ単に面倒なだけのトラップだったので、正直なところ必要無かった。
ダンジョンには普通の強さの赤いシンボルの敵と、そのダンジョンを攻略している段階では倒すことが非常に難しい紫シンボルの敵の二種類の敵がおり、メーカー側としては紫の敵を避けて進ませる一種のミニゲームのようにしたかったのかもしれないが、これが非常に邪魔でストレスを感じるだけの要素で、上手く避けられず前の部屋に一旦戻って仕切り直し(扉を超えて敵は追ってこない)とか、ひどい場合だと端っこに追いつめられて街に帰還する羽目になることもあった。
追いつめられて、更に帰還出来ないとなると詰むこともありえるので、帰還の巻物というアイテムは常に所持しておく必要があると感じた。
また、強敵を倒した所で得られるものは特になく、経験値すら雑魚敵よりも少ないというありさまだったので、頑張って倒した場合には貴重な回復アイテムが貰えるくらいの報酬はほしかった。


・インターフェイスはイマイチ

ゲームバランスに次いで、快適なプレイにおいて重要なインターフェイスだが、本作のインターフェイスは使いやすいとは言えないものだった。
装備やスキルをセットする画面が、パーティー編成の画面と一律で表示される仕様のため、スキルや装備品一覧の表示面積が、ウィンドウ全体の内の一割ほどしか無いので非常に見づらい上に、現在の装備品と比べるのも装備を一覧からドラッグして、それぞれのキャラの装備スロットまで持っていかないと比べることが出来ない、非常に面倒なシステムになっていた。
ソートも攻撃力や防御力などでも並び替えできるようになっているのだが、現在選んでいるキャラが装備可能、不可能に関わらず全て表示されるようになっているため、ソート性も悪かった。
例えば、防御力の低い魔法使いの胴体装備を防御力順で並べると、魔法使いにとっては一番防御力の高い装備でも、前衛職の更に防御力の高い装備と一緒に表示されるため、防御力順で並べると、前衛職の性能の低い防具と高い防具の中間辺りに表示されるという、全く役に立たない状態だった。
そのため、グチャグチャにならないように装備品は性能が低くなった順から店に売る必要があり、ダンジョンに潜る毎にショップに立ち寄っていらなくなった装備品を売る作業をしなければならないのが非常に面倒だった。
アイテムのソート性や仕様も悪く、ダンジョンのフィールド画面でアイテムを使用するには、アイテム画面を開いて使いたいアイテムをクリック→使うをクリック→使用したいキャラをクリックを「1つ」ずつする必要がある。
例えば、メンバー全員にアイテムを1つずつ使いたいなら、この動作を5回する必要があり、ケチって安いアイテムを使うとなると10回くらいすることもザラだった。
所持数がマックス99個だが、その状態でアイテムを拾ったり入手しても100以上の所持数になるのは、入手したアイテムが無駄にならず嬉しい仕様だと思っていたら、自分がクリア後に配布されたパッチにて修正されたらしい。他に修正するところがあるだろうと言いたい。
戦闘のUIに関しては、可もなく不可もなくで特に不満は無かったが、個人的な要望を述べるなら、戦闘速度をctrlで超速化出来るとか、コンフィグで戦闘速度を倍速に出来るとかの速度調節機能がほしかった。


・尺、回数、質の全てが素晴らしいHシーン

本作のHシーン回数は全部で86回で、ゲームパートが無くてもフルプライス作品として満足できるくらいのボリュームがある。
内訳はゼノビア以外のパーティーメンバーが8回ずつ、リナリスが4回、それ以外が5回に、複数プレイが6回となっていて、パーティーメンバーにはそれぞれ二回(ゼノビアは一回)のバッドエンド陵辱シーンがある。
尺は回数が多いにも関わらず非常にしっかりとしており、少なくとも二回戦まであり、場合によってはそれ以上という尺になっている。
猥語修正は存在するが、ピー音が一瞬流れるだけのなので、ほとんど気にならなかった。
陵辱以外のHシーンに関しては、普通に依頼をこなしてイベントを全部見ていれば未回収になるようなことはなく、例外的にダンジョン内のショップに足蹴く通わないとシーンが見れないユウカゲに関しても、多分クリア後にも回収可能となっていると思う。

Hシーン導入の切っ掛けに、催淫効果のある花粉だのガスだのを撒き散らす素晴らしいモンスターが登場したりと、ファンタジーらしさを感じるものがあったが、ヒロインのヴィジュアルや背景を除けば、シーン内容自体には魔法を使ったりするファンタジーらしいものは少なかった。
ファンタジーらしいと感じたシーンとしては、ヒロインの精神が淫魔に乗っ取られた状態でセックスするシーンや、透明になる薬を使用して旦那や息子が側にいる状態でセックスをするというのがあった。
しかし、ヴィジュアル面でのファンタジーらしさは全開で、褐色肌やエルフ耳にファンタジーらしい服装、遺跡や宿屋の背景など、異国情緒ならぬファンタジー情緒が感じられて良かった。

シリウスブランド(M&M?)の趣味なのか、他のシリウス作品同様に本作もアナルセックスが多めとなっており、多分全ヒロインにアナルセックスのシーンがあり、また、アナルが見える構図のシーンの場合は、アナルもかなり気合を入れて描かれていた。
3P、4Pも本編クリア後のオマケ的要素としてあり、流石にヒロインの数が多いため全組み合わせとはいかないが、ユウカゲとシズクのくノ一コンビや、エドナとネムのエルフコンビや、ラヴィニアとフォルトゥナとゼノビアの教会トリオなど、ヒロイン同士の繋がりが特に深い組み合わせでのものが用意されている。
陵辱シーンに関しては、大体のヒロインで人間によるものと、モンスターによる陵辱の二種類があり、シーンの大半が物語終盤から本編クリア後に集中している。
そのため、ヒロインとの仲が深まった状態でのシーンがほとんどで、NTR的な要素もあり、ヒロインは戦闘に敗れて死んでしまった主人公の事を想いながら犯されるという内容が多く(特に人間に輪姦されるシーン)、悲壮感が強かった。
モンスターに陵辱されるバッドエンド陵辱の場合は、そういうのはなく、割と普通にモンスターに犯されるという標準的な異種姦だった。
どちらの陵辱にしろエグい展開が多く、ヒロインはそのまま犯されながら死亡という内容も多いので、陵辱ゲームが割りと好きな人でも素直にオカズとして使えないかもしれないと感じた。
シズクのバッドだけは例外で、家庭持ちの人妻という設定をフルに活かした内容になっており、操られた子供とその友人により、旦那の目の前で輪姦されるという内容になっている。
また、シズクのもう片方の触手陵辱は、他ヒロインと違いバッドエンドとして陵辱されるわけではなく、回避不可能(実際には依頼を受けなければ回避出来る)となっており、制作陣の人妻に対する歪んだ愛(?)を感じた。
陵辱はシズクのものを除けば敗北しない限りは遭遇しない上、敗北後も再挑戦するか否か尋ねられ、そこで諦めるを選ぶと陵辱シーンが開始するという流れな上に、陵辱に繋がる戦闘は雑魚戦が多く、むしろ負けるのに苦労するくらいなので、見たくない人は一度も遭遇することなく終えることも可能なように設計されている。
逆に、是が非でも陵辱シーンを見たいという場合は、パッチ1.05にてクリア後に未回収の陵辱を解放出来る機能が追加されたので、神経質になって回収する必要がないのが有り難かった。

個人的にお気に入りのヒロインはシズクで、性的欲求はヒロインの中でも強い方なのに、性的には淡白とはいえ、家族仲は良好な夫に子供もいるため、主人公とのHでも他ヒロインとは違い、素直にオネダリ出来ないという、イジメてオーラの強いヒロインとなっている。
主人公もそれをわかっていて、敢えて焦らしてオネダリさせたり、プレイの一環として家族のことを持ちだして詰ってみたりと、家庭持ちの人妻であることを活かした内容のシーンが多いのが良かった。
また、通常のヒロインイベントでも、子供が登場したりと、シズクが母であり妻であることを強調するようなイベントが用意されているのも、人妻としてのシズクの魅力を上手く引き立てることが出来ていたと思う。


・CGも大ボリュームのハイクオリティ

CG枚数は全部で129枚とこちらも怒涛の大ボリュームとなっている。
原画、塗り共に過去作同様のクオリティとなっており、M&Mの原画とシリウスの塗りは数年前の作品と較べた場合でも、どちらの方が後発の作品か判別できない程に安定している。
ヒロインの服装もファンタジーらしさが出ており、学園が舞台でないため、それぞれのが全く違うのも良かった。
パーティーメンバーは皆、実用性0、エロさ100みたいな、色んな意味で突っ込みたくなる服装だったが、それも愛嬌と言えるだろう。
モンスターのグラフィックも、物珍しさがあるわけではないが、古典RPGらしい雰囲気が出ていて非常に良かった。
気になった点としては、モザイクのサイズは大きくなかったものの、陰毛にまでモザイクがかかっている点と(審査機構のせい?)、精液がモザイクの上からかかるためか不自然で、まるで画面の上に直接かかっているように見えることだった。


・ホイールで読み進めるとまるでスキップ状態

ADV部分のコンフィグは必要な部分はしっかりと調節できるようになっていたので、プレイする上で不便を感じることはなかった。
ただ、どういうわけか、マウスホイールで読み進めていると、メッセージが全て表示される前でも次の文章に進む仕様になっており、ホイールだと頻繁に読み飛ばしてしまい、バックログのお世話になることが多かった。
クリックの場合は、文章が全て表示される前にクリックしても残りの文章が瞬間表示されるだけなので、問題なかったのだが、ホイールをグリグリ回すとまるでスキップ状態という有様だったので、普段ホイールで文章を読み進める派の人も、マウスやEnterで読み進める方が無難かもしれない。


・アストロノーツ・シリウス最高傑作?

カードゲームやダンジョン防衛SLGなど、色々なゲームに挑戦してきたシリウスの姿勢自体は素晴らしいと思うが、オーソドックスなRPGの本作が一番楽しめた。
インターフェイスには不満も感じたが、難易度の調節機能により、それぞれのプレイスタイルに合わせられるのも良かったと思う。
ゲーム部分だけでなく、ストーリーやHシーンもボリューム、クオリティ共に優れており、素晴らしい作品だった。