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Predawnvagabondさんのハーレムゲーム ~俺はコレのおかげでエロゲーの主人公になれました!~の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
ハーレムゲーム ~俺はコレのおかげでエロゲーの主人公になれました!~
ブランド
INTERHEART
得点
83
参照数
1347

一言コメント

ハーレム好きだけでなく、共通ルートのほうが個別ルートよりも好きだという人も楽しめる。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・ハーレムはつらいよ?

ステレオタイプなエロゲープレイヤーな主人公が、ハーレムを作ることに関してなら神の能力を手に入れたらというエロゲーマーの夢(偏見)を描く本作は、変なシリアスもなくバカゲー路線を突き進んでくれるので、深く考えずにチート主人公のハーレムを楽しむことが出来る作品となっている。
おまけ程度のハーレムルートはそこまで珍しい存在でもないが、フルプライス作品でハーレムにフォーカスした、それも選択肢すら存在しない男気仕様というのはかなりレアだと思う。
そのため、ちょっとHして終了というオマケシナリオのハーレムでは気づかないような、ヒロイン同士の仲の維持や、誰か一人を贔屓できないなどのハーレムを維持する大変さなどもコミカルながらも描かれているのが面白かった。
また、ハーレム好きだけでなく、エロゲーは共通ルートの方が好きというプレイヤーにも刺さる内容で、個別ルートが存在せずにヒロイン並行攻略=ずっと共通ルートな状態なので、最後まで共通ルート特有の大人数のヒロインとのワイワイ感を楽しめるのが嬉しかった。

公式HPでも2M超えの長編ストーリー謳われている通り、本作のボリュームはかなりのもので、フルプライスの単なる抜きゲーと比べた場合だけでなく、ストーリーや萌え重視の作品と較べても体感上のプレイ時間(実プレイ時間は測ってないため不明)はかなり長かった。
一本道なのでゲーム全体の達成率が不明で、余分に体感で長く感じたというのもあるかもしれないが、いずれにせよボリュームに関しては満足だった。
また1年生~3年生の3年間という謳い文句にも偽りはなく、一年目にハーレムが完成させて、後は売り文句にするためにおざなりな二年目、三年目が描かれるのではなく、しっかりと二年目以降も作られているのは良かった。
最初の一年はまだ非モテ童貞で一般人な思考をしている主人公にとって、チート能力を使うことやハーレムに対する躊躇いから、特定のヒロインに肩入れしようとしたりといった理由から問題が発生したりもするのだが、二年目からは吹っ切れて真面目(?)にハーレムを作り出し、三年目には何だかんだで完成したハーレムを楽しむという展開となっている。
神の能力を持っている主人公なんて、ストーリー的に面白くないんじゃないかと思うかもしれないが、主人公はハーレムを作るためならチート能力も喜んで使うが、ヒロインに対しては誠実で、マインドコントロールに類する能力は使わないので、一対一の対等の恋人になりたいヒロインと、ハーレムを作りたい主人公の駆け引きがあるので、ヒロインを攻略する(実際には選択肢すらないが)楽しみもあった。

色々とアクの強い本作だが、特に人を選びそうな設定として、妊娠回数が女性にとってのステータスという価値観がある。
避妊、不妊が深刻な問題となっている近未来が舞台のため、妊娠回数こそがステータスということらしく、実際に作中ではヒロインは毎月受精→(着床する前に)薬を飲んで避妊という流れとなる。
妊娠検査薬をドヤ顔で他の人に見せたりするシーンはおバカで笑えるし、着床前に薬を飲むために堕胎というわけでもないのでそこまで忌避感は抱かなかったが、場合によっては気になる人もいるかもしれない。


・誰得シリアスへのアンチテーゼ

本作はバカゲーらしく、パロディネタも結構つめ込まれていた。
とはいえ、特定の具体的な作品のパロディというよりは、エロゲー業界全体に対するパロディ、あるいは突っ込みといった方が相応しく、エロゲーあるあるネタみたいな感じになっていて面白かった。
選択する重さもゲームの一部となるストーリー重視のシリアス作品ならともかく、キャラ萌えがメインの作品で、物語に起伏を設けるために妙に暗い背景設定を作って「このヒロインは他ルートではどうなってしまうんだろう・・・」と考えてしまい素直に楽しめなくなってしまう、所謂誰得シリアスに対する突っ込みが特に激しく、本作ではそれを主人公がチート能力を使ってあっという間に解決してしまう展開となっている。
ヒロインは漏れ無く家の借金苦や、家族に道具扱いされたりといった、何らかのシリアス展開に持ち込まれそうな背景設定を持っていて、そのまま放置すると不幸確定状態となっているのだが、ハーレムオンリーの本作では主人公が全部解決してしまう大団円展開となっているので、深く考えずに安心してプレイすることが出来る。
他にも、いくつかのエロゲー会社の名前を一部もじって出したり(悪い意味で使われているわけではない)、作中でエロゲー作るイベントで原画のゴースト起用だの、サンプルが良ければ売り逃げ出来る発言だの、色々と業界のことをネタにしていて面白かったが、こんなの書いて大丈夫なのか?と心配になったりもした。


・内容の偏ったHシーン

Hシーンは全部で53回となっていて、内訳は美菜子とエリカが10回、いずみが9回、彩佳が11回、香奈が8回、ハーレムが5回となっている。
ハーレムを目指すストーリーだけあって、ハーレムシーン(6P)は何回かあるものの、それ以外はヒロインとの1対1のシーンのみとなっている。
プレイしていて香奈以外の4人にはそこまで差を感じなかったものの、香奈は少ないと確かに感じたが、香奈に関しては主人公のチート能力の原因でありハーレム作りの協力者と、他ヒロインよりも立場が特殊なので、扱いが他と少し違うのは仕方がないのかもしれない。
他にも、回想の登録されないHシーンみたいなのがいくつもあるのだが、10クリック程度のシーンなので回想に登録するまでもない程度のシーンだった。
回想に登録されるHシーンの場合は、尺は並程度にはあり、また、実際の全体の回数よりも体感上でのボリュームは多く、プレイ後にカウントしてみて思ったよりも少なくて意外に感じた。
抜きゲーの割にはBGVが無かったのは少々残念だったが、猥語修正は無く、選択肢も端から存在せず例外なく中出しのみとなっている。

本作のHシーンの内容は物凄く偏っていて、全部ラブラブ子作りHシーンのみである。
また、妊娠回数=女性のステータスという世界観だけあって、女性側からもほぼ毎回中出しをねだられるし、Hシーンでは常に排卵日状態で、妊娠を意識させるような台詞も非常に多かった。
つまり、抜きゲーとしては比較的標準なアナルプレイのようなシーンは勿論、フェラのようなジャンルを問わず昨今当たり前にあるようなシーンですらほとんど存在しないという非常に偏った内容になっている。
フェラチオシーンは少しはあるのだが、いい加減な内容で専用CGは存在せず、イベントCGの顔部分だけをアップにして、そこに主人公の半透明のペニスを置くだけという簡易的なものになっている。
妊娠を強く意識させる割には妊娠状態でのHシーンはエピローグ等を含めても全く存在せず、Hシーン中では「あなたの赤ちゃん生みます」状態で、主人公もそれを望む発言をする割には、Hが終わると冷静になって(妊娠中に他ヒロインに出し抜かれるのを恐れて)、普通に薬を飲んで避妊という流れになる。

個人的に嬉しかった点としてはH中のキスが多いことで、Hシーン中でのキスがフェラやパイズリよりも大好きな自分としては七難隠す状態で、むしろラブラブHのみなのは歓迎だったが、比較的オーソドックスで人を選ばない内容とはいえ、ワンパターン気味なので人を選ぶ内容でもあったと思う。
他に特徴的な点としては、Hシーン中での会話が多いことで、喘ぎ声や地の文よりも多いくらいだと感じた。
会話の内容は、ハーレムを目指す主人公と主人公のオンリーワンになりたいヒロインの駆け引きとか、妊娠を望むラブラブな内容だったりと色々だが、Hの時だけ素直になって甘えたりとか、本音を打ち明けたりとお互いを曝け出しており、いい意味で他作品との違いが出ていたと思う。
また、目立たない設定だが、男子校と女子校が統合されたばかりの学園という設定のため、ヒロインはお嬢様学園っぽい服装をしており、冬の制服では白手袋をしているのがポイントが高かったのだが、それを活かしたシーンは全く無かった。


・基本は悪くないが、差分が少なすぎるCG

本作のCG枚数は全部で74枚と、フルプライスとしても許容範囲内ではあるものの、少し物足りないと感じるボリュームだった。
HCG率は驚きの100%だったので、Hシーン以外のイベントCGが各ヒロインに1~2枚用意されていたならば、標準的なボリュームになったと思う。
原画は悪くないのだが、立ち絵とイベントで少し違って見えたりと、破綻していると感じるCGこそ無かったものの、多少の違和感があった。。
個人的に一番の問題と感じたのは、差分がとにかく少ないことで、上で述べた回想に登録されない短いHシーンで使用される汎用CGを除けば、各CGの差分は2~5枚となっている。
自分は余り差分に関しては気にしないタイプだとは思うのだが、ここまで少ないと流石に本作のCG差分は少な過ぎで、例えば、一度射精したのに次のCGでは精液が綺麗さっぱり消えてしまったりと、違和感があった。
また、表情の差分も少なくて味気なかったので、開始時点の素面状態、快感に喘ぐ表情、絶頂後の三種類は少なくとも欲しいと感じた。

良い悪いは別として、好みが分かれそうな要素としては、主人公が探偵アニメの犯人役みたいな体型や髪型すらわからない黒ずくめ+半透明なことで、ペニスも含めて半透明なので、人によっては違和感があるかもしれない。
自分の場合も最初は違和感があったが、プレイしている内に慣れて気にならなくなったので、基本的には大きな問題ではないと思う。
他に好みの分かれそうな要素としては、ヒロインが裸状態でのHが全く無いことで、家でHする場合でもおもむろに制服に着替えだすレベルなので、着衣状態が好きな人には物凄く嬉しく、逆に裸状態が好きだという人には残念な内容かもしれない。


・もう少し機能を充実させてほしかった

本作のコンフィグは最近の同時期のゲームと比べると明らかに物足りなく、設定できる項目は最低限となっていた。
クリックでボイスを停止するかどうかを選ぶことは可能だが、キャラクター毎にボイス音量を調節することは出来なかった。
実用上の問題は少なかったが、キャラクター毎に音量を調節したいと感じたので、個別音量機能を搭載するか、もう少しキャラクター間のバランスに気を配って欲しいと感じた。
普段は声優についてはネガティブなことを書かないように心がけているのだが、彩佳の声優の演技は流石に酷いと感じた。
試しにググッてみて、他作品で出演しているサンプルボイスを聞いてみたのだが、そこまで酷いとは感じなかったので、体調等の何らかの事情があったのかもしれないが、彩佳に期待している人はその辺りも考慮した方が良いかもしれない。


・ラブラブ孕ませエッチが好きならオススメ

Hシーンの内容が非常に偏っているため、好みが分かれそうな作品だったが、子作りラブラブエッチが好きならオススメ出来る作品だった。
また、ストーリー部分もチート主人公が無双しつつ、エロゲーの色々なお約束やテンプレに突っ込みを入れるという、パロディー的な内容なので、色々な意味で人を選びそうな作品だった。