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Predawnvagabondさんの姉妹となう。の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
姉妹となう。
ブランド
Waffle
得点
68
参照数
1840

一言コメント

力の入れる部分を間違えているのでは。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・尺の少し物足りないHシーン

フルプライスとミドルプライスの中間くらいという、ボリュームを評価しづらい本作だが、全部で60回と満足のボリュームとなっている。
内訳も、姉の琴葉と妹の音葉が20回ずつに、3Pが20回という、平等な配分なので、どちらのヒロインが好きでも満足できるようになっているのも良かった。
仲の良い家族であると同時に、主人公を取り合うライバルでもある姉妹は、姉(妹)にしたプレイは自分にもしてくれというスタンスのため、ヒロイン毎のH内容による特徴付けのようなことは、良くも悪くも存在せず、そういった点でも二人の扱いは平等だと感じた。
ピー音が無いのは良かったが、抜きゲーとしてはモザイクが大きめなシーンが多めなのは残念だったので、モザイクはもう少し攻めて欲しかった。

回数のしっかりと多かった反面、1回毎の尺は短めなものが多く、特に前半から中盤にかけては物足りないと感じるシーンも多かった。
後半の方になると、尺も標準レベルなものが増えてくるので、回数の多さも考えると、全体的にはそこそこ満足できるボリュームだった。
また、尺は短めだとは感じたものの、台詞量がしっかりとしており、数クリック毎にヒロインの台詞が入るのに、1テキスト毎の台詞も長いので、オートモードでプレイしたり、全ての台詞をきっちりと最後まで聞いてから台詞送りをすれば、尺は短いと感じないかもしれない。
おそらく、地の文をもう少し増やせば、総合的に満足できるボリュームなっただろうと思う。

シーン内容の種類は非常に豊富で、さすがに老舗の抜きゲーメーカーだと感じた。
放尿シーンは多めで、大きい方のスカトロも用意されており、通常の浣腸で脱糞するシーンの他に、温泉(おしっこ)浣腸もあり、かなりマニアックだと感じた。
他にも、緊縛+ろうそく、玩具のSMプレイや、浣腸シーンからのアナルプレイ、痴漢(する、される)もあり、バリエーションの豊富さは、非常に素晴らしかった。
スカトロに関しては、オフにも出来るし、そもそも選択肢で脱糞シーンを見る、見ないも選べるので、嫌いな人も安心してプレイ出来るようになっている。

H関連での明確な不満点としては、システムが充実していないことで、頻繁に中、外の選択肢が出るのに、コンフィグで事前に選んでおくことも出来ないし、本編中で両方見ておかないと、差分がCG回想で登録されない上に、シーン回想から回収できないという、最近のトレンドと比べると、不便だと感じることが多かった。


・バッチリエロいCG

本作のCGボリュームはCG回想上では68枚だが、差分にしか見えないのに別の基本CGとして登録されているものがあるので、自分がカウントした限りでは、実際の枚数は60枚となっている。
何れにしろ、価格から考えるとしっかりとしたボリュームだった。
質の方も、肉感的な体に大きすぎない目という、可愛さよりも、艶やかさとかエロさが強調された原画、塗りとなっており、エロメインの本作としては素晴らしかった。
また、体液や水などの、水分の描き方もエロさを増量するのに一役買っていた。
両ヒロインは伊達メガネをかけているのだが、任意でオン、オフできるのも良かった。


・妙に暗い背景設定

なうシリーズをプレイしたことがなく、Waffleの作品自体も初代の巨乳ファンタジーくらいしかプレイしたことのない自分にとって、どこからどう見ても抜きゲーな本作に、思いの外しっかりとしたボリュームのシナリオも用意されていたのは、ちょっとした驚きだった。
ファンサービスとばかりに、過去作のなうシリーズに登場したキャラクターを立ち絵ありで2人+名前だけの登場でも複数登場させたりと、登場人物も多かった。
メインヒロイン二人の他には塔子のみが本作独自(?)のサブキャラで、オフィシャル通販での限定特典には、追加ルートパッチがついてくるらしいのだが、大概の場合、こういうのって購入店舗に関係のない初回特典でついてくるよね・・・と、塔子のルートをプレイできないのは残念だった。
同シリーズから、ゲストキャラが登場したり、オフィシャル通販の特典の優遇ぶりとか考えるに、なうシリーズの、あるいはWaffleのファンに対するサービスは充実しているように感じた。

本作のメインキャラクターとなる大庭一家だが、妙に暗い背景設定を背負っており、両親は飛行機事故に遭い、父親は死亡、母親は植物人間状態という悲惨な状況となっている。
更に、遺産だけだと金銭的に心もとないので、姉妹はローカルのグラビアやアイドルをやっているという、正直プレイしていて、これNTR展開とか無いよね?と何度か不安になった。
しかも、選択肢にグラビアの仕事について妙に悩んでいる姉を心配するか否かみたいな選択肢が出たりと、妙に不安にさせるような描写が多めで、わざとやってるんじゃないかとも感じたが、そういった展開はないので、安心してプレイしてほしい。
反して、主人公は主夫という言葉がピッタリのキャラクターで、自活能力ゼロの二人の面倒を見ているという設定となっている。
料理の腕前の向上には余念がなく、学園の料理クラブで料理の研究をしつつ、将来はそういった仕事につきたいという、しっかりとした目標も持っているので、ヒモに見えたりすることはなく、どちらかというと、好感の持てる主人公だった。
ヒロインの方は、良くも悪くも公式HPでの紹介文や雰囲気を裏切るような要素は無く、安定していたと思う。

意外にも暗い背景設定のシナリオだが、正直に言うと、わざわざ暗い設定にした必要性が薄かったように感じた。
暗い設定にしていること自体が悪いのではなく、その設定を活かしたストーリー展開になっていないのが問題で、植物状態の母親は(当たり前かもしれないが)、主人公たちの行動によるお陰で目覚めるわけでもなく、勝手に目覚めるし、姉妹が所属している事務所の問題にしても、知らぬ間に事務所の経営者が代わり、問題が解決してしまうという有様で、せめてもう少し、メインキャラクターにも何らかの活躍をさせるべきだったんじゃないかと思う。
また、大きな問題点として、暗い背景設定のせいで、主人公と姉妹の関係が、本当に愛し合っているというよりは、つらい現実から少しでも目を背けるために、セックスしているようにも感じられてしまった。
最後はハッピーエンドで終わるのは後味も良くてありがたいが、問題が解決するのは終盤で、微妙なシリアス描写がダラダラと続くしで、それなら定番の両親は海外赴任とかの設定で、普通にイチャラブストーリーにしておいて欲しかった。


・クセの強いテキスト

本作のテキストはクセが強めで、人によっては気に障るかもしれないと感じた。というか、自分はクセの強さが結構気になってしまった。
一番顕著なものは、(汗)とか(苦笑)、_l ̄l○といった表現が頻繁に登場することで、こういう表現をストーリー中で使われるのは興ざめなのでやめて欲しかった。
もちろん、笑いを取りに行くとかで、1、2回使われている程度なら問題では無いのだが、本作では場面を問わずだったので、自分としては、どうしても気になった。
また、プレイヤーに優越感を抱かせるためか、主人公の周りの友人たちからのヒロインあげや、主人公の境遇を羨ましがるような台詞が過剰なまでに多いのも、クドく感じた。


・不満の多いサウンド関連

コンフィグ関連は、サウンド関連を除けば、最低限必要なものはそろっていた。
ウィンドウサイズも完全な可変ではないが、複数の種類から選ぶことも出来るし、クリック時にボイスを停止するかどうかを選ぶことも出来たが、音声はバックログを表示すると停止する仕様だった。
また、コンフィグ画面やセーブ画面から、CG、シーン回想に直接飛べるのも、地味に便利だった。

問題はボリューム関連とBGMで、まず、第一の問題が音声が全てのキャラクター一括でしか調節出来ないのに、キャラクター毎の音量が安定していないことである。
なお悪いことに、ヒロイン二人よりも、それ以外のキャラクターの方が音量が大きいので、その他のキャラクターに合わせると、ヒロインの音声が小さくなり、逆にヒロインが適切になるように合わせると、その他のキャラクターの音声の大きさに苦しむことになってしまう。せめて逆ならまだましだったのだが・・・。
更にはオフに出来るのも、音葉、琴葉、その他女、男だけとなっているのだが、思ったよりもシナリオに力の入っている本作では、モブキャラであっても音声を切ると違和感があったので、結局は音量のアンバランスを我慢しながらプレイすることになった。
また、BGMがほとんどのシーンで流れないという、謎の仕様となっており、プレイしていて違和感が大きかった。
音楽鑑賞モードでも、OPとかEDの音楽含めて8曲しかないという、有様だったので、せめて過去作からの使い回しでも構わないから、BGMを流して欲しかった。
たまに流れたと思っても突然止まったりと、不安定な挙動を見せることもあったので、もしかすると、単にバグだったのかもしれないが、とにかくBGM無しでプレイするというのは違和感があった。


・ボリューム的にはしっかりしているけれども・・・

本作はボリュームは、しっかりとしており、そういった点では満足度は高いのだが、抜きゲーとしては、Hシーンの尺が短めだったり、妙にシナリオに力が入っていて、関連作品からのゲストキャラとか、背景設定が暗かったりと、力の入れどころが少し間違っているように感じた。
とはいえ、CGのクオリティも高いし、Hシーンのバリエーションも充実しているので、オススメ出来ないわけではなく、抜きゲーとしては多少テンポが悪くて、エンジンがかかるのが中盤以降でも大丈夫といういうのなら、ありだと思う。