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Predawnvagabondさんの僕と恋するポンコツアクマ。の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
僕と恋するポンコツアクマ。
ブランド
スミレ
得点
88
参照数
1181

一言コメント

前作までの雰囲気をしっかりと残しつつも、路線変更に成功している。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・まさかの路線変更

本作で3作目となるスミレとえいば、過去の2作品はコメディ路線の、どちらかというとシナリオ重視の萌えゲーだったので、今作も似たような路線かと予測していたら、コメディ路線は従来通りだが、シナリオよりもエロや抜き重視の萌え抜きゲーとなっていた。
抜きゲーと評したのは、シナリオが短いためで、共通ルートは短めで、各ヒロインとの本番行為なしのHシーンありの半個別みたいなイベントが一回ずつあって、それに少なめの全キャラ揃ってのシーンがプラスされただけのものとなっている。
個別ルートもかなり淡白で、キャラクターによっては気づいたらエンドロールみたいなのもあったりと、純粋にストーリーのみで見ると物足りないと感じる部分が多かった。
反面、サブキャラ3人にも短いながらもルートが存在し、それぞれに1回ずつHシーンがあり、ものすごく短いが、メインヒロインのアフターストーリーが用意されている。
また、それ以外にもオマケ的なコンテンツは多めで、最近はめっきり見なくなった声優コメントや、クリアしたヒロインの壁紙が手に入ったりと、全体的なプレイ時間は決して長くはないが、満足度は高かった。


・主人公以外はみんなアクマ!

本作のメインヒロインは5人ともがアクマ族で、更に言うなら、サブキャラクターも全員マ族である。
登場するマ族は、サキュバス、天使、雪女、マミー、魔女となっているが、ぶっちゃけ魔女は人間じゃんという気がしないでもない。
更に言うなら、妹のエミリは天使なのにアクマ族なのかよとか突っ込みたくなるが、シナリオは完全なるギャグゲーなので、突っ込んだら負けだろう。
天使やサキュバスは人外ヒロインとしては割りとポピュラーだが、雪女、マミーあたりはかなり珍しい属性だともう。
雪女である優は、Hシーン的には雪女設定を活かしたものは無かったが、青い髪、青い目、青を基調とした着物と、全体的に寒色を使っており、ヴィジュアル的には如何にも雪女ぽくて良かった。
マミーであるアルルに関しては、包帯という明確にマミーを意識させるようなアイテムが使われており、エジプト出身らしい褐色の肌と合わさって素晴らしかった。
服装に関して言えば、残りの3人もそれなりに凝ったものが用意されており、それぞれ良かった。

タイトルにポンコツとあるように、ヒロインはみんなポンコツなわけだが、これも良く設定が練られていたと思う。
サキュバスの梨々愛の場合、サキュバスのくせにネンネちゃんという、種族の特性とは逆転している性格だったり、優は雪女なのに寒がりという、やはりこちらも雪女の特性とは逆転した要素を持っている。
更に梨々愛の場合、普段は少女漫画すら悲鳴を上げながら読むような、微妙にイラっとくるネンネぶりだが、Hシーンになると、サキュバスらしい性格に豹変し、俄然エロくなるのは非常にエロくて良かった。
その豹変ぶりたるや、サキュバスの尻尾を主人公の尻の穴に突っ込むレベルである。
エミリのブラコンの場合は、ポンコツ要素が天使と何か関係有るのかはわからなかったが、魔女のメルの場合は実は脳筋で頭の出来は良くなく、ちょっと問題のあるおクスリを作ってしまうというキャラクターとなっている。
一番印象に残ったポンコツ属性はアルルの裸族(スタッフ曰く露出狂)で、気づいたら脱いでいる(他の人の目のある場所は除く)というのは、ギャグ的にも、役得的な意味でも面白かった。
また、大事な部分だけを包帯で隠しているという、裸よりも断然エロいバージョンもあるのも嬉しかった。
シナリオ的には、このヒロインのポンコツっぷりを何とかするというのが一応の流れなのだが、大概の場合は、個別ルートに入ったらプレイヤーの気づかない内に治っていた、という適当さなので、ポンコツヒロイン自体は面白く、可愛いが、その辺りの過程は期待しない方がいいと思う。


・クセの強いテキスト

全編ギャグ展開な本作だが、広範囲に渡るパロディネタに、クセの強いテキストと、やや人を選びそうな部分も見受けられた。
ネットスラングがかなり多く、パロディも露骨というのか、大丈夫なのこれ?と言いたくなるようなものも結構あった。
ただ、最近の流行りのスラングを適当に使っているというよりは、流行りのものから、結構古いネタまで、種類は豊富なので、パロディネタが好きな人なら楽しめるんじゃないかと思う。
また、テキストそのものも結構クセが強く、主人公が地の文で自身の発言や、心の中での思いつきなどに、ツッコミを入れるので、クドく感じることも何度かあった。


・グラフィックは文句無しに素晴らしい

シナリオはやや短めの本作だったが、CG枚数は82枚+SDが10枚と、フルプライスとして満足の行くボリュームとなっている。
クオリティの方も、原画、塗りともに素晴らしく、エロさも倍増だった。
また、HCGにはカットインの挿入も多く、例えば、フェラやキスシーンなら口元のアップの絵が挿入されたりと、CGが1枚しかないHシーンでも、実際よりCG量が多く感じられた。
全面的に素晴らしかったCGだが、特に印象に残ったのは、Hシーンでのヒロインの表情で、快楽にトロけた顔や、焦点を失った所謂レイプ目など、テキストや音声が無くても、単体でオカズとして使えるレベルに素晴らしかった。
エロさに関して言うならば、モザイクが薄いのも素晴らしく、モザイクのせいでせっかくのCGが台無しということも無かった。
主人公は早漏気味な上に、実はお前もアクマだろと言いたくなるくらいに絶倫人間なので、精液描写も非常に濃く、Hシーン後はまるで輪姦でぶっかけでもされたのかのような精液量となっているので、ヒロインが精液まみれな絵が好きな人なら気にいるだろう。
本作は更に、メインヒロインのCGの内2枚(計10枚)はアニメーションとなっている。
こちらは、アニメーションとして見ると、特別優れているというわけではなかったが、ただでさえ素晴らしいCGが動くなんて!ということで、嬉しかった。
断面図も用意されているが、こちらは好みに応じてオン/オフ出来るので、嫌いならオフにしてしまえる。

立ち絵も本作では力が入れられており、ヒロインのそれぞれの種族に合わせて民族衣装みたいな感じで、種族を象徴するような服装が用意されているのは嬉しかった。
他に嬉しかった点としては、各ヒロインに添い寝CGが用意されていることで、これがあるだけでHシーン後の余韻はグッと良くなる。
立ち絵は、最近徐々に増えてきている、目が瞬くタイプの立ち絵となっており、瞬きだけの動きだとしても、大げさに表現するならばキャラクターに魂が吹きこまれたように感じられる。
ただ、前作ではそれだけでなく、立ち絵が少し動くパートアニメーションを採用しており、違和感の無い動きで素晴らしかったのだが、本作には立ち絵のパートアニメーションは採用されていないのは少し残念だったが、従来通りの切り替え式の立ち絵の動かし方とはいえ、キャラクターは頻繁に動くため、不満は無かったどころか、平均よりも良く出来ていたと思う。


・謎の16:10比率

グラフィックの素晴らしかった本作だが、何故かゲームのウィンドウサイズの比率が16:10という、変わったサイズになっている。
自分の場合、本作をプレイするまでは、16:10比率のモニターの存在すら知らなかったのだが、検索してみると主流ではないものの16:10のモニターも存在するようである。
今までプレイしてきて初めて遭遇した比率だったので少し戸惑ったものの、大きな問題は無かったが、どういった理由でこの比率なのかは謎である。
当然、16:9のモニターでフルスクリーンにすると、画面左右に小さめの黒帯がある状態でのプレイとなるのだが、黒帯が出ないように無理矢理フィットさせることも出来る。
その場合、比率を無理矢理引き延ばすのではなく、16:10比率のまま無理矢理画面にフィットするようにズームするという、こちらもちょっと変わった動作をする。
そのため、上下に5%ずつがはみ出して見えなくなるのだが、上下5%だとプレイに致命的な問題をもたらすわけではないので、黒帯が嫌いなら無理矢理フィットさせることも可能となっている。
その場合、メッセージウィンドウのメニューがはみ出てクリック出来なくなるのだが、その辺りも考えてあるのか、メッセージウィンドウは上下に動かせるため、少し上に動かしてやると、メッセージウィンドウ上のメニューもクリック出来るようになる。
唯一の問題は、場面が切り替わるときに表示されるカットインでのキャラクターのやり取りの台詞が見えないことくらいだが、スクリーン比率の切り替えは解像度の変更とかも入らずに素早く行えるし、バックジャンプもあるので、そこまでストレスを感じることはなかった。


・1回しかないサブキャラの方がエロい?!

本作のHシーンは全部で39回だと思うのだが、通常のシーンも含めてシーン回想に含まれているため、±1、2回はあるかもしれない。
内訳としては、梨々愛、エミリが7回ずつ、優と雅妃が8回、アルルが6回、サブキャラ3人が1回ずつとなっているが、CG枚数的には梨々愛とエミリが15枚、残りの3人は14枚となっているのでHシーンのボリューム的には各キャラほとんど違いは感じなかった。
また、Hシーンに関する設定も、事前に中/外の選択肢を設定しておくことも可能だし、射精カウントダウンがついているのも嬉しかった。

CGはエロ方面においても完璧だった本作だが、Hシーン自体もバッチリエロく出来ている。
尺的にはやや短いものも多少はあるものの、大概のものはきちんと満足の行く長さがある。
主人公はやや早漏気味だが、その分弾数は多めで、大概のHシーンでは精液まみれとなるのも嬉しかった。
また、Hシーンではキスシーンも多く、カットインのお陰でシーン問わずテキスト上だけでなく、絵としてもしっかりと描写されるのが嬉しかった。
BGVもしっかりと用意されており、ボイスカット機能使用時には、通常ボイスとBGVが被らないようになっているのも実用性が高く有り難かった。
残念ながら、淫語にはピー音がつく仕様だが、ピー音はボリュームが小さめで短いため、余り気にならなかった。

Hシーンの内容はそれなりにバリエーション豊かだが、ファンタジーだからといって、主人公に触手が生えたり、分身したりといったぶっ飛んだHシーンは存在しない。
オーソドックスなものの他には、バイブやローターを使ったシーンや、アナルセックスもある。
雅妃の場合は、媚薬や目隠し+拘束状態+玩具装着のHシーンがあったり、制服、普段着、種族毎の衣装の他に、ヒロイン毎に、浴衣や水着、バニー服、メイド服と衣装の種類も豊富だった。

サブヒロインにも各1回ずつのHシーンがあり、シーン毎に2枚のHCGとなっているのだが、キャラ毎に1回しかシーンが無いせいか、それぞれが全力投球となっており、むしろメインヒロインのHシーンよりも印象に残った。
まさかの幼馴染の母親であり、実の両親が家を空けがちな主人公にとっても母親代わりだった、怜香も攻略可能というのは、熟女キャラが好きな自分にとってはまさに僥倖だった。
シーン内容的にも、青姦+お漏らしとか、とんでもない回数射精したり、焦らしプレイだったりと、印象に残るものが多く、それぞれの尺も長かったので、オカズに使えるという意味では、メインヒロイン以上だった。


・細かいところまで配慮されたシステム

Hシーンや、比率のシステム関連は上で述べたとおりだが、本作はそれ以外も細かいところまで作りこまれており、非常に好感のもてる作品となっている。
テキストやサウンド、確認ダイアログ等、細かい部分まで設定できるようになっており、快適にプレイ出来た。
また、プレイ中にカーソルを右端に持って行くとセーブ/ロードが出来る小さいウィンドウが表示されるようにもなっている。
次の選択肢へジャンプする機能も用意されているのだが、物語中で1回しか選択肢が登場しないので、存在感ゼロで少し笑ってしまった。
唯一残念だったのは、システムボイスをオンにしていると、バックログ表示や画面サイズを変更したりするたびにシステムボイスが介入して、キャラクターが喋っている音声が停止してしまうことだった。
オフにすれば、キャラクター音声が途切れないので、結局はオフにしてプレイすることになってしまったが、せっかくシステムボイスを用意していたのに勿体無いと感じた。

印象に残ったのはオマケコンテンツの充実ぶりで、上で述べたとおり、声優コメンタリーや、攻略したヒロインをフィーチャーしたタイトル画面、及び壁紙のアンロックなどがある。
また、エクストラからCGやHシーンの回想を見るときに、アイコンの上にマウスカーソルを持って行くと、まるでヒロインと一緒にアルバムでも見ているかのように、一枚一枚にヒロインがしっかりとコメントしていたりと、全体的に細やかな気遣いが感じられるのは素晴らしかった。


・お手軽な萌え抜きゲー

少し予想と違い、ジャンルとしては抜きゲーだった本作だが、方針転換は良い方向に作用しており、従来のコメディ路線を継承しつつ、抜きゲーとしても非常に優秀な出来で、特にCGの質の高さは特筆すべきものがあった。。
ゲーム全体のプレイ時間は少し短めだが、オマケ要素が充実しており、全体的な満足度はしっかりとしていたので、キャラ萌重視の抜きゲーを探しているなら是非ともオススメできる作品だった。