It's eroge maker!の看板は伊達じゃない。
本作のストーリー展開は、王道RPGという単語から連想される内容そのもので、田舎出身の主人公が騎士になってどんどん出世していき、最後は世界の命運を託されるまでに成長するという単純明快なストーリーとなっている。
もちろん、It's eroge maker!が標語のアリスソフト制作ということで、エロゲーとしての部分も非常にしっかりしており、ストーリーの随所にHシーンがあるのも非常に良かった。
主人公は一言で言うなら「綺麗なランス」と言っても過言では無い性格で、エロエロだけど女の子とのHは和姦でイチャラブじゃないと駄目という考え方の持ち主。
騎士を目指すのも高潔な信念の下ではなく、ただ単に騎士になるとお嫁さんを増やせるからという動機である。もしもイヴニクルの主人公がランスだったらというジョークシナリオが特典についていることも考えると、綺麗なランスというのは公式の見解でもあるのかもしれない。
本作ではかなりの数のヒロインが出てくるが、パーティーを組んで一緒に冒険するメインヒロインとも言えるポジションは全部で4人となっている。
ただ、主人公と結婚するヒロインは全部で10人で、その他にもかなりの数のHシーンありの女の子キャラクターが登場する。
アリスソフトの作品ということで、メインヒロインにこそ陵辱シーンが無いものの、それ以外のヒロインだと陵辱シーンのある女の子キャラクターも結構おり、場合によっては内容も結構エグく、その辺りでもアリスソフトらしさが出ていたと思う。
公式サイトで閲覧できるデザイナーズノートにも記載されていたのだが、ストーリーにだるい間を作らないというのが、ストーリー制作において一つの指標になっていたようで、ストーリーはテンポ良く進んで行くので、途中でダレことなくゲームが進められるのも良かった。
そうなると、逆にヒロインとの日常シーンが少なくなってしまいそうだと危惧するかもしれないが、結婚したヒロインとのイチャラブイベントは、愛情ゲージ(戦闘をこなすと貯まる)が貯まっていれば任意のタイミングで発生させることが出来るようになっており、テンポを損なわないようにしつつも、イチャラブイベントが用意されているのが良かった。
また、他にもフィールド上のハートマークに触れることで発生するイチャラブイベントもあり、こちらは短めながら、世界の各地で発生するので、冒険する楽しみにも繋がっていた。
ゲームパートは基本的にランスクエストのシステムを流用しているのだが、あちらと違い本作はパーティーメンバーは5人で固定なので、攻撃可能回数に制限が付いたりはしない。
また、難易度についてもかなり難しかったランスクエストと比べると、本作の難易度はカジュアル寄りに設定されており、ゲーム進行上で大きく詰まることは無かった。
カジュアルと言っても、簡単過ぎるということは無く、ボス戦ではゲームオーバーになることも何度かあったし、パーティーメンバーほぼ全滅状態で辛勝ということもしばしばだった。
また、ワールドマップの各所に倒す必要の無いボス敵が配置されており、こちらはストーリー上のボスよりも強力な敵が多く、スキルもしっかり使いこなしていかないと勝利できない敵も多かったので、より歯ごたえの有るボスと戦いたい人向けへの配慮もされていた。なお、ランスシリーズ等とは違い、これらの敵を倒さないとCGやHシーンがコンプリート出来ないとかは無いので安心して欲しい。
レベリングに関してもバランスはしっかりしており、プレイヤーパーティーのレベルと、エンカウントする敵のレベル差が大きくなるとエンカウント率が上下する仕組みになっており、レベルが十分でない場合は頻繁にエンカウントするし、逆にレベルが十分に上がっているとエンカウント率が下がる仕様になっている。
また、フィールド上のシンボルエンカウントの敵との戦闘では、経験値が1.5倍得られるようになっているため、これを積極的に利用することで手軽にレベルアップ出来る。仮にストーリー上のボスで詰まってしまった場合、このシンボルエンカウントを中心にしてレベリングをすれば、1時間ほどでレベルを上げて物理で殴る戦術でも勝てるレベルまで上げることが出来る。
逆に、ストーリー進行による取得経験値のインフレ具合も大きめなので、中盤あたりでレベリングを頑張りすぎて、ゲーム後半は消化試合という自体にもなり難いので、レベリングも気軽に出来る。
戦闘システムそのものに関しては、MPの代わりにBPというものがあり、各キャラ最大で5までしかBPを貯めることが出来ず、BPおよびHPの回復アイテムの大量所持も難しいため、一般的なターン制RPGとは少し違ったプレイ感覚になっている。
最大BPが5しか貯めれない上に戦闘中にガンガン回復するため、雑魚戦でも色んな技を気兼ねなく使っていける反面、ボス戦ではBPの管理が重要で、消費が大きい技を使う→BP貯めるという繰り返しか、逆に消費が少ない技で手数で攻めるかといった、戦術が重要になってくる。
回復アイテムはキャラ一人のHPかBPを全回復させる上に、アイテムを使用したキャラのターンも消費しないというぶっ飛んだ性能の反面、所持数が増えるたびに回復アイテムの値段が凄い勢いで上がっていくので、最後の方を除けば所持数は3~4個がせいぜいなため、アイテムを使ってゴリ押し戦法が使えないというのも良かったと思う。
また、バフやデバフ、その他のサポート、妨害スキルもBPを消費するため、何も考えずに戦っていると、一定ダメージを与えた後にボスのパターンが変わってエライ目にということもあったりと、この辺りのバランス調整も上手く出来ていたと思う。
物語の舞台となる世界は、主人公が最初に訪れる豊かな国から、砂漠、寒冷地、毒の国(ダメージ床があるわけではない)、挙句の果てには地面から直接バナナやイチゴが生えてるような国と、色々な国を巡るので、世界を冒険する楽しさも有る。
更に、観光ポイント(全部で100箇所)や、イチャラブイベントが世界に点在するのも、マップ上の埋まってない場所に行ってみようという気にさせる良い要因だった。
この辺りもデザイナーズノートで触れられていたので、本作はゲーム、シナリオ共にコンセプトメイキングの時点から、良く考えて作られた作品だと思う。
CG枚数は全部で113枚という怒涛のボリュームになっており、女の子キャラクターが多い割には、各々の枚数に不足を感じることは無く、Hシーンとそれ以外のCGも充実していた。
その代わり、男キャラも女キャラにも戦闘シーンのCGはほとんど存在しないのだが、敵、味方含め、戦闘キャラクターのCGを入れるとかなりの数になってしまうので、この辺りを割り切ってCGは女の子とのイベントシーンとHシーンのみとしたのは素晴らしい判断だと思う。
グラフィックの出来は、立ち絵は終始一貫してどれも素晴らしいが、台詞に合わせて変わるのはフェイスウィンドウのみという、いつものアリスソフト仕様なのは少し残念だった。
イベントグラフィックの方はクオリティが安定しておらず、出来が良いのもあれば、顔の造形に違和感のあるものもあったりと、一概に素晴らしいとは言えなかった。
反面塗りは安定しており、全体的なCGの出来は悪くなかったと思う。
Hシーンは全部で67回と、こちらも凄いボリュームとなっている。また、主人公とヒロインの和姦だけでなく、数は多くないものの陵辱シーンも用意されている。
ただ、内容は平均すると尺は短めで、Hシーンと呼べるか微妙なものまで回想に入っているため、1回毎の出来が良いというわけではなかった。
システム面に関しては、設定できる項目も多く、動作も軽快で非常に快適にプレイ出来た。
ctrlキーを押している間は戦闘速度や移動速度が超速になるのも、道中のレベル上げや移動の手間を減らすのに大いに貢献していた。
本作はパートボイス仕様となっているのがプレイ開始当初は少し不満だったが、男キャラも含めフルボイスな上、声が欲しいと思う場面ではしっかり音声が入っているのでプレイしている内に気にならなくなっていった。
もちろんイチャラブシーンは全部声つきとなっている。
難しすぎず、簡単すぎずという丁度良いゲームバランス、テンポが良く単純明快なストーリー展開と、メーカー側のコンセプト通りに作られており、コンセプトメイキングの素晴らしさ感じられる出来となっている。
また、コンシューマー移植など端から考えていないアリスソフトらしく、随所にHイベント満載なのが非常に素晴らしく、これぞエロゲー!と言える内容だった。