笑えるだけでなく、今作では萌えの部分にも力が入っていた。
今作もブランドの従来作品どおりに、非常に笑える作品だったが、本作は今までと比べると、萌えに関する部分が非常に強化されていた。
アサプロお得意のヒロインとの共同生活を扱った本作だが、二つの家族が織り成す、品行方正 VS. 品性下劣のコンセプトは非常に良く出来ていたと思う。主人公一家を品行方正と呼べるかは大いに疑問だったが。
VS.といっても、家族同士が争うような場面は少なく、どちらかというと、お互いが上手いこと影響しあって成長(?)していくストーリー展開だった。
例えば、廃ゲーマー揃いの神宮一家に影響されて、喜多一家も廃ゲーマー化したり、逆に神宮家が喜多家に連れられて、一緒にボランティア活動をしたりと、両家の双方向な関係は非常に良かった。
また、全てのヒロインが同じ家に住んでいるため、個別ルート突入後もしかっかりと全てのヒロインが登場するのも素晴らしかった。
最初に述べた萌えに関してだが、本作では過去作品と比べると非常に力が入れられており、笑いを維持しつつも、他の萌えゲーに負けないくらいヒロインの女の子としての魅力も描かれていた。
例えば、アサプロ恒例の変顔枠(?)の藍咲についてだが、変顔を披露したり、下ネタをガンガン言いつつも、恋愛事に関することとなるとキッチリ乙女な部分を見せてくれるので、お笑いキャラとしてだけでなく、ヒロインとしても魅力的だった。
反面、作中でも他のヒロインが言っていたが、過去作のピンクや金髪の変顔枠と比べると、笑劇度はやや低かったかもしれない。
他のヒロインも似たような感じで、普段は笑いを取りつつも、乙女を見せるべき場面ではしっかりと乙女な部分を見せてくれるので、笑いと萌えが両立できていた。
本作で残念だった点としては、個別ルートがやや短かった点だろうか。
共通ルートを長めで、個別ルートは短めという構成の本作だが、全体のボリュームを鑑みるともう少し個別のボリュームが欲しかった。
特に付き合い始めるまでは良いのだが、いざ付き合い始めてHもする仲になってしまうと、Hシーンが割りと連続で続いて、そのままエンディングという流れだったので、付き合いだしてからの描写ももう少し欲しかった。特に、ヒロインが女の子としても魅力的だったので、余計にそう感じたのだと思う。
また、残念だった点とは違うのだが、本作の個別ルートは以前の作品と比べると、質のバラツキが感じられなかった。質の統一は良いことではあるのだが、その分突出して面白かったルートも無かったのはちょっと寂しかった。
本作のグラフィックボリュームは83枚+SD絵7枚と、フルプライスとしても満足のいくボリュームとなっている。
原画は特に変わりなく、いつも通りのクオリティだったが、塗りのレベルは上がっており、過去作と比べると全体的なレベルは上がっていると感じた。
個人的な希望を述べるなら、Hシーンはオカズとしてみるとイマイチだったし、笑いを積極的に取りにくるという内容でもなかったので、HシーンのCG枚数をもう少し減らして、通常のイベントシーンのCG枚数を増やして欲しかった。
Hシーンは各ヒロイン4回ずつの20回となっており、回数的には標準的な量となっている。
ただ、先に述べたとおり、質的にはイマイチで、1回毎の尺は短く、テキストもイマイチだった。
また、一度Hシーンが発生すると短い間隔で連続発生するのも、ストーリー進行が駆け足に感じられてしまった。
Hシーンの内容に期待できるタイプのゲームなのはわかっているが、それならいっそのこと、Hシーンも笑いの方向で模索してみた方がいいんじゃないかと感じた。
システム関しては、必要な機能は概ねそろっていたと思うが、テキストスキップが遅めで、選択肢によるテキスト差分も少なめだったので、出来れば選択肢スキップが欲しかったと感じた。
本作は、笑いをしっかりと維持しつつも萌えの方もしっかりと描かれていたので、笑い重視だけどヒロインの女の子としての魅力も楽しみたいという人でも楽しめると思う。
グラフィックのクオリティも過去作と比べると上がっていて良かったが、個別ルートが短めなのが、少し物足りなく感じた。