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Predawnvagabondさんのキミのとなりで恋してる!の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
キミのとなりで恋してる!
ブランド
ALcotハニカム
得点
92
参照数
2139

一言コメント

Hシーンが思いのほか良かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

幼馴染バンザイ!一言でこの作品を表すと、これしか無いと思う。
シナリオは、シリアスな場面とかはほとんど無いけれども、退屈せずにテンポ良く読めるし、主人公の所属が運動部なのもあって、青春らしさもしっかりあって良かった。
ヒロインである、なぎさと莉奈は二人とも幼馴染だが、なぎさは子供の頃のちょっとした事件がきっかけで、近所に住んでいるのに主人公と喋ることも少なくなり、他人行儀になってしまっている。
反面、莉奈は仲が良いままで、何でも気兼ねなく話せる親友ポジションと、同じ幼馴染でも主人公との関係が違うので、それぞれに別の魅力があって良かった。
幼馴染に焦点を当てている本作だが、メインヒロインの一人の涼香は幼馴染ではない上に、共通ルート中盤で主人公に告白し、振られてしまうと、それ以降はほぼフェードアウトしてしまうのは残念だった。大袈裟に言うと、物語を加速させるための噛ませ犬みたいにも感じたので、涼香も昔は近所に住んでたけど、引っ越しちゃったみたいな設定で幼馴染にして欲しかった。
本作では、はじめからヒロイン3人とも主人公LOVEな状態でゲームが始まるので、いくらかの三角関係要素も有る。
お互いが足を引っ張ったりはしないし、付き合い始めたらしっかり応援してくれるのでギスギスはしてないけれども、選択肢を選ぶ時に多少罪悪感がある。ある意味では、選択肢を選ぶという重要性を思い出させてくれるし、それだけ魅力的なヒロインということでもある。
また、涼香はともかく、幼馴染二人はどちらのルートに進んでもしっかり登場するのも良かった。やっぱり幼馴染がテーマな作品だし、片方と付き合いだしたら、もう片方と疎遠になるというのはおかしいと思うし、この辺りは上手くできていたと思う。
幼馴染組みヒロイン二人の関係性が良かったし、涼香のキャラクター性も良かっただけに、彼女の設定は惜しかったと思う。

本作には、本編クリア後のオマケ要素として、サイドストーリーとプロフィールが用意されている。
サイドストーリーはメインヒロイン3人+妹+親友キャラの5人の短いシナリオが各2話ずつ用意されており、一つは本編の前日譚的なストーリー、もう片方はアフターストーリーとなっている。
フルプライスとミドルプライスの中間くらいの値段帯の作品なので、予算的に端折る必要があった部分をサイドストーリーで補完しているのかもしれない。
もう片方のプロフィールの方は、やりたい放題でネタ満載となっており、結構面白かった。
立ち絵のあるキャラクターのプロフィールは、ちょっとした後日談や、特技、趣味、果ては性感帯などの細かいところまで用意されていて、これはこれで面白いのだが、男子生徒Aみたいな、本編では名前の表示されないキャラクターのプロフィールまで用意されており、こちらは時事、ネット、アニメネタのパロディや、下ネタまで何でもありで、中々笑える出来だった。
本編でそのまま使用すると、クドかったり、寒かったりするネタを、プロフィール覧で使用するというのは面白アイデアだと思う。
それにしても、莉奈のプロフィール覧の、興味があるもの:蝉の一生、というのがカオスで謎だった。


グラフィック枚数は56枚+SD12枚。他では余り見ない価格帯の作品のため、比較対象が無く、ボリュームの多寡は判断しにくいが、可もなく不可もなくのボリュームだと思う。
CGのクオリティは非常に高く、塗りも良かった。原画家のファンなので、余り参考にならないかもしれないが・・・。
ただ、足が異様に太く見えるCGもあったりした。
普段はロングのなぎさは、体操服の時にはポニーになるのも、細かいところまで配慮されていて良かった。
また、なぎさと莉奈にはレイプ目のCGもあり、特に莉奈の場合はテキストが無かったら陵辱ゲーに見えるようなCGもある。

Hシーンは各キャラ3回ずつの、計9回だが、各Hシーンのボリュームが他作品のものと比べると2倍程度のボリュームがあり、また、回想シーンには登録されない長めのディープキスや、短めのHシーンもあるので、見かけの回数と比べると、Hシーンのボリュームはかなり多かった。
Hシーンの種類も、回想数の割りに豊富で、テキストも回りくどくなりすぎない程度に描写が丁寧で、非常に優れており、オカズとしてのレベルはトップレベルだった。
シーン内容は、早漏克服のための焦らしフェラや、危険日で妊娠を嫌がるヒロインに無理矢理中だしセックス(イメージプレイ)、果ては聖水まであり、また、Hシーンをリードする側が、主人公とヒロインでちょくちょく入れ替わるのも、バリエーション豊富に感じる要因になっていたと思う。
キスシーンが多いことや、フェラ中にしっかりと咥えながら喋るシーンが多いのも、非常に自分の好みでよかった。
涼香の演技の喘ぎ後は、ややたどたどしく感じられたが、経験豊富なキャラではないので、逆に初々しさも出て、必ずしもマイナスではなかった。
ところで、早漏気味である主人公の父親も早漏だったらしいのだが、早漏は遺伝するものなのだろうか。

本作はBGVの仕様が独特で、文字では意味を成さない、喘ぎ声やチュパ音を敢えてテキストにすることなく、BGVにすることで、BGVの種類を従来の作品よりも大幅に増やしている。
そのため、Hシーンをオートで進める人にとっては、文字を読む必要性の薄い、チュパ音や喘ぎ声を読むことなく、地の文を読みつつ、チュパ音を聞けるという、Hシーンオートプレイ派にとっては天恵と言える仕様になっている。
その反面、ホイールスクロールやマウスクリックで読み進める人には、BGVもテキスト音声扱いされているため、意図しないタイミングでボイスカットが発動し、通常の台詞が途切れてしまうという事態に陥ってしまう。
コンフィグでBGVを細かく設定できるようにしたり、抜きゲーでたまに見かける、次のテキストが音声か否か(ボイスカットが発動するか否か)を表示するアイコンを用意する等で、両方のプレイスタイルに対応していれば素晴らしかったのだが、残念ながら、本作のHシーンはオートプレイ特化の仕様になっているので、普段オートプレイを使わない人もオートプレイで進めることをお勧めする。
ただ、このBGVの仕様とオートプレイのマッチングは非常に良く、自分のようにオートプレイだと自分のテンポで進められないから嫌いという場合でも、喘ぎ声の終了を待つことが少ないので、ストレス無くオートで進められた。もちろん、これにはHシーンのテキストの良さも理由にあると思う。


システム面は、設定項目は多くは無いものの、必要分はそろっており、プレイするのに基本的には問題は無かった。ウィンドウサイズも任意で可変なのも便利だった。
また、マウスジェスチャと、フリック入力のショートカットが用意されており、フリック入力は試していないのでわからないが、ジェスチャの方は感度が過敏ではなく使いやすかった。
ただ、ボイス音量がやや小さめで、マスターと音声のボリュームを両方マックスにしてもまだ小さく、ハード側の音量を上げて対応をすることが必要で、やや不便だった。
Hシーン中のBGVが独特の本作だが、他の台詞でも一部テキスト無しの音声のみのシーンが少しある。これが結構クセモノで、ホイールスクロールやクリック一発で次の台詞に行ってしまうので、油断してプレイしていると台詞を飛ばしてしまうのが面倒だった。
バックログから以前のシーンに戻ることが出来るので、聞きなおすことは可能だが、この辺りも他のBGV同様、設定出来るようにして欲しかった。
システムボイスの種類は豊富で、ものによっては男や婆さんがセクシーな声を出したりするボイスもある。Hシーン中にコンフィグを開いた時に流れると阿鼻叫喚だが面白かった。
他にも、いつもの全クリでOP画面が変わるギミックもきちんと搭載されていたり、なぎさのエンドロールが凝った作りになっていたりと、全体的に丁寧に作られている作品だった。


・まとめ
涼香の扱いが少々残念だったが、幼馴染二人組みの魅力は存分に描かれており、ストーリーも青春らしさがあって良かった。
Hシーンも回想数の割りにボリュームは非常に多く、テキストやシチュエーションも良く、オカズとしても優れていた。