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Predawnvagabondさんの恋する彼女の不器用な舞台の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
恋する彼女の不器用な舞台
ブランド
CUBE
得点
77
参照数
966

一言コメント

ストーリーは可もなく不可もなくだが、CGの方は出来もボリュームも良かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本作の一番の見所は、何と言ってもカントク氏の描くグラフィックなのだが、逆に言えば、それ以外は特に見所が無かったというのが正直な感想だった。
カントク氏がCGを担当した前作のyour diaryと比べても、シナリオはイマイチになっていたのは残念だと感じた。

シナリオは弱小部の文芸部に所属する主人公が、同じく弱小部である演劇部と協力して、廃部の危機を乗り越えるために演劇をするという話だが、演劇に関してはそこまで深く突っ込んだ描写がされるわけでもなく、割と適当だと感じた。
自分も全く以って詳しくないので確かなことは言えないが、ライター側も古典英文学に関してはそこまで造詣が深くないのではないかと感じた。マニアックな所まで突っ込んで書かれたら、それはそれで退屈なだけかもしれないが。
共通ルートでは、文化祭への準備を通して、主人公とヒロインだけでなく、ヒロイン同士も含めてのキャラクター同士の繋がりが深まっていく過程が描かれて、文化祭後に個別ルートに突入するという流れになっているため、ヒロイン同士の繋がりもしっかりしている。
また、個別ルートに分かれた後も、他のキャラもしっかり登場するのは良かった。

本作のヒロインだが、ゲーム開始時点で一様に主人公への好感度が高くなっており、センターヒロインの真優に関しては、もはや依存のレベルに達している。
その割には、百花は個別ルートに入った後にお互いを異性として意識し出すために除くが、アリスはともかく、真優と千奈に関しては、どういう過程を経て主人公が好きになったのかを詳しく描写されないのが残念だった。
真優は幼馴染だからということを、度々口にするが、幼馴染時代に何があって主人公を好きになったのかは判らず終いだった。
また、主人公のキャラもルートによってぶれ気味で、共通ルートでは、ギャルゲー主人公にある典型的な鈍感、不感症な部分があるのは仕方が無いかもしれないが、真優、千奈ルートの主人公と、アリス、百花ルートの主人公ではキャラに結構な差があった。
アリス、百花ルートの場合は、恋愛ごとにも割りとグイグイと行くし、悩んだりすることも少なく、ヒロインを牽引していくが、真優ルートの場合は、ウジウジと悩んだり、ヒロインとすれ違ったりと、必要以上にウェットな描写が多かった。

主人公に依存レベルに頼りきりで、主人公LOVEの真優だが、他ヒロインのルートの場合は、文化祭を通じて仲を深めた人物たちを通じて外に目を向けるようになったりと、主人公から徐々に独立する姿勢を見せ、むしろ逆に幼馴染離れが出来ない主人公の背中を押したりと健気なくらいで、ギスギスしたシーンが無いのは良かった(それでも主人公LOVEなのは変わらないけど)。
他にも、実はエロ小説家で、男子中学生のように耳年増な千奈や、棒読みなのはどこまでが演技下手で、どこからがキャラの一環なのか良くわからない、超然とした病弱お嬢様の百花、みんなから一歩引いたポジションにいる生徒会長のアリスの3人がヒロインだが、総じてヒロインは特別に魅力的とまでは行かないが、まあ、普通に魅力的だった。
サブキャラクターである、榎本先生や、メイドの真里亜は攻略はできないが、どのヒロインとも結ばれないノーマルエンドの場合、夢落ちか判然としないが、二人との3Pがある。
また、真里亜の場合、百花ルートでのHシーンでも1回だけ、本番行為はしないものの、Hに参加するシーンがある。
もちろん、Hシーンは無いよりはあったほうが良いのだが、意味深に主人公に対して好意がありそうな台詞を言ったりするのは、コンシューマー化したときの追加ヒロイン感が大きすぎるようにも感じた。


本作のボリュームは、CG枚数が94枚+SD絵10枚となっており、CG目当てで購入しても後悔はしないボリュームとなっている。
グラフィックのレベルは総じて高いが、何枚か手足に違和感を抱くものもあった。
また、良いか悪いかの判別は難しいのだが、主人公の顔も写っているCGがやや多いように感じられた。

Hシーンの方は全部で25回となっており、真優と百花が6回、千奈7回、アリスは5回、真里亜と榎本先生の3Pが1回という内約になっている。
1回毎の尺は標準レベルで、1回辺りのCG枚数も2~3枚用意されているものが多く、CG枚数的にもテキスト量でもボリュームに不満は無かった。
ただ、テキストの方の出来は並みで、初めてのセックスでも痛くなかったりと、全体的に割と適当だと感じた。
また、射精の度に中か外かの古色蒼然とした選択肢が非常に鬱陶しく、コンフィグでの事前選択も出来ないのが残念だった。

システムやコンフィグに関しては、Hシーンでの選択肢以外では不満は特に無く、ウィンドウサイズを自由に変更できる点や、Hシーンでの絶頂カウントダウンシステムがあるのは嬉しかった。


・まとめ
シナリオはイマイチだが、ヒロインの魅力は最低限必要分は描けていた。
グラフィックのレベルは高く、また、枚数も多いので、CG目当てで購入する価値はあると思う。