Hシーン自体は悪くないけども、それ以外は壊滅的。
オーバードーズの直近の3作である近親相姦シリーズ(?)は、他では見かけない独自のシステムを使った非常に素晴らしい抜きゲーだった。
今作でも、前作でほぼ完成を見たそのシステムを使ってくると期待していたら、見事に裏切られたというのが正直なところだった。
システムが変わっただけなら、残念だったの一言で済むのだが、本作は何もかもがボロボロと言わざるを得ない酷い出来で、未完成だけどこれ以上延期できないから発売しました、という意図が透けて見える作品となっている。
本作で救いと言えるのは、ボリューム的にはフルプライスの体裁が整えられており、Hシーンの出来も悪くはないことだろう。
また、ブランドコンセプトである「ヒロインは自分だけのもの」というのもキッチリ遵守されているので、抜きゲーとしては一応の役目を果たしていると言える。
本作で何が酷かったかというとシステム面が異常なまでに酷かった。
この場合のシステム面というのは、設定や機能に関してのシステムと、攻略に関わるゲーム面の両方共を意味する。
まず、機能面に関してだが、バグやクラッシュは無くゲームの動作自体は安定していたのだが、最近のゲームと比べるとまともに設定できる、機能する部分の方が少ないと言いたくなる出来だった。
テキストは瞬間、普通、遅いの3段階でしか調整出来ないし、音量調節も何故かシステム設定時や、ウィンドウ消去時に使用される電子音のボリュームが調整出来ず(オフにも出来ない)、マスター音量にのみ依存する仕様になっている。
お陰でCGをじっくり見ようとウィンドウを消去するたびに、大音量でシステム音が鳴るので辟易した。
もちろんのこと、音声停止タイミングの設定など出来るはずも無く、テキストを読み進めると問答無用でボイスはカットされてしまう。BGVも無いので、テキストを読んでいる間耳にするのは、SE音のみとなってしまう。
また、ほぼ全てのHシーンで中/外の選択肢が出るのに、事前にコンフィグで中/外の選択が出来ないのも邪魔だった。
スキップ機能もまともに機能せず、既読、未読の切り替えは出来るのだが、どういうわけか立ち絵の表情が変わったり、Hシーンで射精したりするたびにスキップが止まってしまったり、一部で既読のテキストでもスキップが機能しなかったりと、頻繁に勝手にストップし、その度にスキップをクリックしないといけないので、まともに機能するとは言えない。一応ctrlで強制スキップは出来るのだが、同じテキストを何度も読むハメになるゲームなので、スキップが機能しないのは不便だった。
他にも、ほぼ全ての状況下で選択肢やコマンドをきちんとクリックをしたのに反応しないという症状が頻繁に起こり(一度コマンドからマウスカーソルをどけてから、もう一度コマンドにカーソルを持っていくと選べる)、これも結構なストレスだった。
ゲーム攻略に関するシステムの出来も、お世辞にも良いとは言えるものではなく、楽しくない上に異常な難易度、作業になっている。
内容としては、メインヒロインである優衣との登下校時に、彼女のご機嫌をとって青姦としけ込むというものなのだが、これが非常に難しい。
話す、手を繋ぐ、キスする等のコマンドでご機嫌を取りつつ、最終的には襲うのコマンドを成功させるという単純なものなのだが、襲うコマンドを成功させるのは一筋縄ではいかない。
序盤は手を繋ぐのすら一苦労で、時間制限もあるために、襲うためにセーブ、ロードを繰り返し、成功させるために数時間ほどかかった。ちなみに襲うのを成功させないと、他のHシーンの進行が止まりループにはまり込むので、ゲーム進行上、必ず襲う必要がある。
このせいで、Hシーン同士の感覚が無駄に開いてしまい、自分のペースでプレイ出来ないのが辛かった。
また、新規のHシーンが追加されるタイミングも分かり難く、新規シーンが発生してるのを気づかずに、新しいのを探して同じHシーンを何度も繰り返すということが結構あったので、もう少し条件を分かりやすくして欲しかった。
大雑把な攻略としては、色よい反応が返ってくるまで「話す」コマンドを繰り返し、その後「手を繋ぐ」を成功するまで繰り返す、次に「キスをする」を成功するまで繰り返し、最後に「襲う」を選ぶと、それなりの確立で成功する。ただし時間制限もあるので、成功率はそこまで高くない。早めのタイミングで手を繋ぐが成功したら、セーブしてトライアンドエラーで頑張ると楽だと思う。
それ以外のコマンドは罠で、どう頑張っても成功しなかったし、成功させる必要も無いので無視するのが懸命だと思う。
ただし後半になって、優衣のデレ度が上がると、襲う以外のコマンドは何を選択しても成功してしまい、バロメーターだった手繋ぎや、キスの成功が使えなくなってしまい、難易度が跳ね上がる。もちろん襲うコマンドの成功率の低さはそのままである。
このように、攻略は非常に難しいのに、プレイヤーがすることはセーブ、ロードを繰り返してコマンドを選ぶだけという単純なものな上に、会話のバリエーションも各コマンドで数種類ずつしかないので、作業感が半端ではなく、苦痛以外の何物でもなかった。
ぶっちゃけ、この登下校システム自体いらなかったのだが、せめて優衣の気分の変化がわかるゲージでもあれば大分マシになったと思う。
抜きゲーの心臓部とも言えるHシーンの出来は悪くなく、ボリューム、テキスト、CG共にしっかりしている。ピー音が無いのも嬉しい。
ただ、突貫作業の跡も散見され、素晴らしいとまで言えるかは微妙な出来だった。
脚フェチというのか、ストッキングフェチというのかわからないが、脚の描写に力を入れている本作だが、主人公が脚フェチかと言うと、そうでもないため、脚を重点的に攻めたりするシーンは少なかった。また、ストッキングもHシーン開始時点で破られてるのがほとんどなのも少々残念だった。
ただ、ほとんどのシーンでヒロインはストッキングを穿いているので、ストッキングが破られてるのが好きという人には良い出来だと思う。
本作では、通常のHシーンの後に追加のHをすることが出来る。
お掃除フェラや足コキなどが選べるもので、要は調教ゲーのH後の選択肢と同じものなのだが、おざなりな内容となっている。
例えば足コキを選ぶと、足の部分だけの一枚絵が表示され、そこにペニスが表示され擦りつけられるだけと、専用の絵は用意されておらず、テキスト量も少ない上に、全編通してほとんどテキストに違いが無いという、かなり物足りないものになっている。
またコマンドも水増しされており、顔を見るだの、体を見るだの、数クリックで終了するものもある。
グラフィック面に関しては基本的には素晴らしいが、たまに違和感の生じるものもあったりする。
ただ、これはいっせー氏にとっては割りといつものことなので、いっせー氏が好きな人にはいつも通りの出来と言えば通じるんじゃないかと思う。
グラフィック面で不満だったのは精液の描写で、外に出すを選択すると頭の先から脚の先までベッタリという状態になるのだが、いくら何でもこれは量が多すぎてイマイチだった。
また、精液のかかり具合が不自然なものが多かったのもイマイチに感じた原因だと思う。
不満も結構あったものの、最初に書いたとおり全体的には、Hシーンの出来は悪くなかったので、オカズとしては使えると思う。
オーバードーズは嫌よ嫌よも好きの内なヒロインを描くのが上手く、本作も魅力的な誘い受けなヒロインを描けていたと思う。
本作のボリュームはCG枚数は70ちょっと、回想数が70+αとなっている。
本作はヒロインの3人以外にも、モブキャラのHシーンが用意されているのだが、これが量だけはやたらと多く見えるのだが(回想数でカウントするとモブだけで何と72回)、実際のところ同じCGの顔だけをすげ替えたものがほとんどで、そこまで多くは無い。
そのため、モブキャラに関してのCGや回想の数はアバウトに数えた感じになっている。
Hシーンのヒロイン毎の内約は優衣が42回、恭子11回、深雪が14回、複数が3回となっている。
とはいえ、優衣のHシーンは同じCGでテキストもほとんど(全部?)同じで、違いは朝か夕方かだけというのまで別扱いしてあるので、実際のところはもっと少ない。
じゃあ実際の何回なんだと問われると、実のところコンプリートしたわけではないので、正確な数はわからない。
最初の方に、本作はフルプライスの体裁を整えてあると書いたが、水増しをしてある部分がかなりあるので、フルプライスの割りにボリュームが少ないと感じるのも事実である。
・総評
Hシーンやストーリーに関してはオーバードーズらしさを感じられるものの、システム面は壊滅的で、水増しや突貫工事の跡が散見される。
同メーカーの前3作のような作品を期待していると、期待を裏切られることになる。オーバードーズを初めてプレイする人にはもちろん、メーカーのファンにも余りお勧めできないかも。