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PredawnvagabondさんのBUNNYBLACK3の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
BUNNYBLACK3
ブランド
ソフトハウスキャラ
得点
74
参照数
789

一言コメント

ダンジョン探索に、街運営にと、色々なことに手を出しすぎて、かえって作品の底が浅くなっている。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ゲームパートは大きく分けて、ダンジョン探索と街運営に分けられる。
迷宮管理というのも一応あるのだが、街運営の範疇だと思う。

ダンジョン探索は前作と比べると作業感は若干減った気がする。
エンカウントやシンボルの多さは相変わらずで、戦闘数が多すぎて辟易することもあるのだが、1回1回の戦闘での敵の数が減っているのと優秀な自動戦闘により、前作よりはマシになった。
ダンジョンのマップを埋めるのも相変わらずの面倒さだが、ゲームバランスとしては、マップを埋めながら進んでいくと丁度良いくらいのレベルになるバランスなので、面倒な作業であることは間違いないのだが、レベル上げも兼ねていると思えばマップ埋め自体はそこまで気にならない。

ダンジョン探索で一番面倒だったのは、いくらか楽になったとはいえやはり戦闘だった。
一回一回の戦闘こそある程度改善されていたものの、エンカウント率が高い上に、シンボルエンカウントも結構な数があるので、膨大な数の戦闘をこなさなければならない。
いっそのこと、シンボルエンカウントのみにして、全体の戦闘総数は半分くらいが良かったと思うのだが・・・。
戦闘の作業感を増した他の要員としては、自動戦闘が挙げられる。
自動戦闘自体の出来は良く、大体の場面において、適切な技を出し、適切なタイミングで回復をしてくれるので安心して戦闘を任せられる。
一部の強力なボスを除き、大抵のボスも自動戦闘で対処できる。
しかし、ここまで自動戦闘が優秀だと、プレイヤーのすることと言えば、戦闘後の細かい回復と、似たような風景のダンジョンをひたすら歩き回ってマップを埋めるだけになってしまうのである。
皮肉なことに自動戦闘の優秀さが作業感を増してしまったのである。とはいえ、自動戦闘が作業の軽減に一役以上買っているのも確かである。

探索部分で他に駄目だったのは格システムだろう。
格システムもシリーズ伝統のシステムではあるのだが、今作では今まで以上に格システムに悩まされた。
主人公ダークスを除くユニットには格というものが存在し、ダークスのレベル上昇に合わせて上がる格の分だけ、パーティーにユニットを組み込めるというシステムなのだが、はっきり言って、格が圧倒的に足りない。
格には他にも使い道があり、格が余った分だけ、スペシャルギュンギュスカー(SG)という便利な機能を使え、余った格を消費することにより、回復、帰還、一時的なステータス底上げ等が出来るのである。
SGのために最低でも2~3ほどは格を余らせることも考えると、使いたいユニットがほとんど使えず、ユニット選びには多大なる妥協を強いられることになる。
更にシナリオに深く関わってくるユニットほど、必要となる格が多いので、お気に入りのキャラがパーティーに組み込めないということがしょっちゅう起こる。
登場キャラがシリーズを重ねるごとに増えて行き、一度の探索に連れて行けるユニット数に対し登場キャラが多すぎることや、自動戦闘の優秀さを考えると、今後もシリーズ続けるなら、巣作りや、ダンシングクレイジーズのような戦闘システムにした方が良いように思った。


今作から追加された街運営システムに関してだが、底が浅く、やりがいを感じにくかった。
街運営のリソースには資源、資金、食料の3種類があり、資源は建設に、資金はイベントに、食料は人口維持に消費される。
どの施設であれ、稼動させるのに人員が必要なので、人口を増やしつつ、それに合わせて、食料や資源を生産する施設を建設していくのが基本になる。
施設の種類はそれなりにあるのだが、効率的な街運営だけを考えると必要な施設の種類は少なく、それ以外の施設は新たなユニット獲得やイベントのために建設することになる。
リソースはダンジョン探索でも獲得することが出来、序盤~中盤くらいまでは、むしろダンジョン探索での稼ぎで街を拡張しつつ、探索をしないでも自活できる街を作るのが基本となる。
街運営では主人公が魔王として相応しいか試すという名目で、定期的にリソースの提出を強制されるのだが、提出出来ないと一発ゲームオーバーなので、定期的にセーブデータを残すことを推奨する。自分の場合、提出が出来ず一度ゲームオーバーになり、最初からやるはめになった。
大抵の場合、序盤の提出で困るのは食料だと思うので、最初のうちは街で生産される分を消費される分と同じかちょっと多いくらいにしておいて、ダンジョンで入手する食料を提出分にするくらいが丁度いい感じだと思う。

街運営では他には迷宮管理もある。
迷宮に挑む冒険者たちを排除することが迷宮管理なのだが、すること自体は多くない。
迷宮は街に施設を建設することにより、施設にあわせて迷宮が、拡張されたり、冒険者を撃退するための罠や、魔物が配置される。
簡単な話が、街に偏った施設建設をしていると、迷宮の防衛態勢の方も偏ってしまうので、ある程度バランスを考えて建設しましょうということである。
冒険者を上手く撃退できると、リソースを奪い取ることが出来るのだが、逆に防衛に失敗すると奪われる。
後半になってくると、防衛失敗時に奪われるリソースが結構シャレにならない量奪われることもあるので注意。

メーカーなりの増えすぎたユニットの有効活用なのかどうかはわからないが、街運営、迷宮管理共に、ユニットを配置することが出来る。
街運営に関する部署にユニットを配置するとターン毎に得られるリソースが上昇する。
例えば、農業部門にユニットを配置すると、食料の収入が増える。
一見して、街運営に関する能力が低いユニットでも、得意部門に配置してやると、能力にボーナスがついたりするので、戦闘に連れて行くにはちょっと・・・となるユニットにも日の目を見るチャンスがある。
迷宮管理も似たような感じなのだが、こちらは冒険者を撃退することにより、若干ながら経験値を得ることが出来る。
若干とは言いつつも、イベントを全部見ようとすると、500ターン以上かかるので、イベントを消化したら、塵が積もってメインの戦闘部隊に近いレベルになっていたりする。

街運営がやりがいを感じない理由だが、ランダム性に乏しいのと、周回前提では無いシステムのせいだろう。
一応、迷宮管理の部分である程度のランダム性を持たせているものの、迷宮での戦闘はプレイヤーの与り知らぬ所で行われるのでイマイチ実感しにくい。
そのため自分の場合、毎ターン決まった収入を得て、人口分の食料を消費し、資源を使って施設を建てるという作業を淡々と繰り返すだけということになってしまった。
ソフトハウスキャラの今までの運営系のゲームは周回前提だった。
そのために例え失敗してゲームオーバーになっても、いくらかの引継ぎ要素があり、失敗しては繰り返すという試行錯誤の楽しみがあった。
ところが今作では、周回前提では無く、課題提出が間に合わないと問答無用のゲームオーバーで引継ぎ要素無しとなってしまうので、課題提出に合わせた保守的な街運営となってしまい、ある程度決められた道筋を辿らねばならなくなってしまう。
それゆえ、BBの周回を前提としていない仕様は、試行錯誤こそが醍醐味の街運営とは相性が悪いと感じた。


シナリオについてだが、キャラクターの描写が薄く、新規キャラに愛着をイマイチ感じなかった。
流石にパッケージになっている、ソフィアとマクドゥの二人はそれなりにはイベントがあるのだが、それ以外のキャラの描写は薄かった。
公式のキャラ紹介に載っているにも関わらず、独立勢力組みのシーンが特に少なく、あの程度の描写では愛着を感じるのは難しかった。
かといって、既存のキャラに新規組みの出番が取られたわけでもなく、既存キャラの出番もそこまで多くなかった。
それ所か、既存のキャラクターは結構大胆なリストラが行われていた。
BB1ではヒロインだったシアは名前すら出ず・・・。せめて他の何人かの顔グラフィックだけだった既存ヒロインのように、シアにも少し出番が欲しかった。
ストーリー自体も薄味で、ラスボスが唐突に登場したりするが、ソフトハウスキャラのシナリオの重要な部分はキャラクター同士の掛け合いだと個人的には思うので、そこはあまり気にしなかった。
BBはシリーズを重ねるごとにキャラクターの数が必然的に増えていき、今作では多分過去最高のキャラクター数だと思うのだが、これだけの数のキャラクターを丁寧に描写するだけのキャパシティがメーカーには無いんじゃないかとも思う。


グラフィックの出来は素晴らしく、シリーズ過去最高の出来だった。
イベントCG、HシーンCG共に素晴らしく、特に違和感を感じるCGも無く、塗りも良かった。

CGが良かったのに比べ、Hシーン自体はイマイチだった。
とにかく尺が短く、オカズとしての実用性は非常に低い。
テキストももはや、主人公の射精回数の記録みたいになっており、元からそこまで描写の濃いメーカーでは無いとはいえ、もっと尺を長くしてくれないと如何ともし難い。
それと、敵対ヒロインをレイプして、こちら側に寝返らせるというのはメーカーのお約束的な部分ではあるのだが、今作ではHシーンが短すぎて、気づいたらこちらに寝返ってた的な感じになってしまっていた。


・総評
ダンジョン探索に街運営にとあちこちに手を出したのが、かえって裏目に出ているように感じた。
ダンジョン探索も作業に感じる部分が多かったし、街運営も単調に感じた。
それと同じような感じで、キャラクターの登場数が増えすぎて、一人ひとりの描写が疎かになっていた。