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PredawnvagabondさんのZero Infinity -Devil of Maxwell-の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
Zero Infinity -Devil of Maxwell-
ブランド
light
得点
85
参照数
1041

一言コメント

戦闘シーンや男たちの活躍は熱かったが、日常シーンがあっさりしすぎで、キャラクター同士の深い心の繋がりみたいなものに共感しづらかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・システム
設定できる項目は多めなものの、使いづらかった。
セーブするにもスキップするにもいちいち右クリックで簡易メニュー出さないと駄目なのは面倒。更にウィンドウ消去はスペースボタンでしかできないという・・・。

・シナリオ
戦闘描写はたっぷりあり。テキストも丁寧だし、結構な文章量あるのに読んでても飽きが来ることはなかった。
戦闘パート、テキストは良かったのだが、この辺は好みなので何とも言えないのだが、ネーミングセンスや、装備が(特に主人公サイド)いまいち格好良くなかった。

戦闘場面が充実していた反面、日常パートは少なく、特に主人公が覚醒した後なんかは戦闘の合間合間のシーンは幕間レベルだった。
戦闘シーンメインのゲームだし、日常シーンが少ないのは仕方無いと思うかもしれないが、少ないがために、キャラクター同士の繋がりの深さに感情移入できない場面も結構あったので、もう少しこちらにも力を入れて欲しかった。
特にマレーネルートの凌駕とマレーネの恋人関係になる過程や、カレンとジュンの友情なんかが共感しにくかった。

舞台設定は良かったと思う。高度経済成長期というこの手のゲームでは珍しい時代が舞台なのだが、本作のテーマの一つである、物事の(特に科学)の裏表というものが際立っていた時代だと思うので。

・キャラクター
男ばかりが目立つことになるかと思いきや、女性キャラもちゃんと前面に出てました。

戦闘シーンは多いので、少なくとも前線人員は結構な魅せ場があるのだが、その他の場面が少なかったため、登場人物の普段の生活や素を感じられる場所が少なかったのが残念。
極限状況下であるのは分かるが、主人公とヒロインのシーンはもう少し入れても良かったんじゃないかと。

美汐・・・
良い感じのツンデレ。ツンデレとはいうが、ツン→依存みたいな感じですが。
ツンツン時(猫かぶってない時はいつでも?)の半端無い口の悪さが良かった。
キャラクター的には好きなんだけど、シナリオは余り恵まれてなかった。
物語が様々な謎を残したまま終わる上に、仲間が死にすぎるのと相まって、ハッピーエンドとは言えない終わりだった。

エリザベータ・・・
一番のお気に入りヒロイン。お互い結ばれることが無いはずの関係なのだが、他ルートでは冷静なのにそんなこと関係ねぇ!とばかりに突っ走る凌駕が、エリザベータを口説き落とすシーンが良かった。
戦場に長いこといたことが理由なのか、お互いが相容れない所属関係の時点から、刹那的な肉体関係を持つのも、なんか良かった。
エリザベートの過去を回想するシーンに乱交シーンあり。

ジュン・・・
凌駕と似たような感じでである日突然巻き込まれる系のヒロイン。非日常の世界に足を踏み入れる前から友好関係があったおかげで、日常シーンでは出番が一番多いかも。
カレンが自分の身を犠牲にジュンの命を救うのだが、いつの間にそこまで深い友誼が結ばれていたのか。
個人的にはジュンよりもカレンに生き延b・・・いや何でもありません。
マレーネもだが、ジュンとこの二人のルートより先に、ネタバレするのが嫌なら、エリザベートと美汐ルートをクリアした方がいいかも。

マレーネ・・・
真ヒロイン的ポジションだが、どういう心情から凌駕と結ばれたのかを推し量れるシーンが他のヒロイン以上に少ないし、その上に二人で肩を並べて戦うことも無いのも相まってあまり印象に残らなかった。更に更に、半ばトゥルールート扱いなので、他の登場人物の魅せ場の数が多いのに、非戦闘員であるマレーネの出番が少ないのが、本人のルートなのにヒロインとしての影が薄くなるのを助長してしまう。

イヴァン、アレクサンドル・・・
主人公たちの前に立ちふさがる敵。成長途上の主人公一行と違い、各々が完成された独特の価値観を持ってるのがカッコいい。ある意味ヒロイン以上に目立つ。

・Hシーン
オマケ程度かと舐めていたら思ったより良かった。結構尺も長いし、テキストもちゃんとしてました。

サブヒロインの3人もちゃんとシーンが用意されてたのも嬉しかった。
とはいえ、主人公の妹の高嶺は夢落ちですが。切も2つ、片方は主人公とで夢落ち、もう片方は礼とのシーン。カレンは序盤に凌駕が襲われるのと、夢落ちの二つ。

メインヒロインは3人が3回で、エリザベータだけ4回。4回のうち一回は過去回想場面での乱交シーンなので、主人公との間のHは全ヒロイン3回。

普通の恋人的な過程を経て結ばれるのではなく、傷を舐めあうためだったり、刹那的な関係だったりなHが多いのも、極限状況っぽさが出てて好きだった。

・グラフィック関連
原画も塗りも良かったと思います。特におかしいと感じるものも無かった。

枚数的には文句なしの数なのだが、Hシーン数が結構多く、日常シーンにもそれなりの枚数を使っていたので、戦闘シーンの絵が少なかったのは少し残念だったかも。
戦闘シーンはCGをもう少し増やすか、演出を凝るかしてほしかった。