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Predawnvagabondさんのはるまで、くるる。の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
はるまで、くるる。
ブランド
すみっこソフト
得点
90
参照数
1027

一言コメント

SFの設定も面白かったし、強烈な個性を放つキャラクターたちとの下ネタ溢れる軽妙なやり取りは笑えた。ハーレムもちゃんとハーレムになるべき理由があって良かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・シナリオ、テキスト
このゲーム一番の見所。
主人公達の置かれている状況や世界に関わる謎解きの部分もだし、キャラクター達のやり取りのどちらを取っても非常に良く出来ていた。

序盤に状況の説明等が無く、いきなりHシーンの連続になったのはやや辟易させられそうになったが、テキストが軽妙で読みやすく、またキャラ同士の掛け合いが面白かったので飽きずに読み進める事が出来た。
Hシーンでも笑えるやり取りが多々あるためオカズとして使うには問題があるが、そもそもそういったことを期待してプレイするゲームでは無いと思うので、Hシーン中でも笑えるのは逆に高評価だった。

M気質のヒロイン(春海)を満足させるためにテーブルをヒロインに見立ててテーブル相手に罵るのを練習するシーンや、主人公とヒロイン全員の5人でお互いにイかせっこして一番最初にイッた人間が罰ゲームというシーンで秋桜がおもむろに般若心経を唱え出したりするシーンはシュールで本編でも特に笑えるシーンだった。

序盤のハーレムであるキャッキャうふふワールドが終わるとループして日付が0に戻り、ようやく主人公たちの置かれた状況や謎がきちんと説明される。
主人公たちの記憶がないこと、拠点にしている寮から生えている天辺が見えない謎のタワーや、主人公たち以外に一切人がいないこと、状況証拠的に日本のどこかにいるはずなのに、日本の何処にも該当する場所が無い等の謎がプレイヤーを世界に引き込んでくれる。

何度もループして各ヒロインのルートをクリアしていくごとに徐々に謎が明らかになってくるのだが、伏線がやや弱く、謎解きとしての要素は弱いように感じた。
なんというかプレイヤーが世界観がこうなっているのでは無いかと予測するには情報不足な気がした。
事実(?)、世界観の謎について考察したりするのはヒロインたちが主で主人公はそれに対し聞き手に回るシーンがほとんどだった。
逆に、それにより主人公がプレイヤーと同じ視点を持つことになりプレイヤーを置き去りに主人公だけが納得してしまうことも無く、疑問に思った事や分からないことは考察、説明するヒロインたちに質問するため、その辺りでストレスに感じることは無かったし、これはこれでいいんだと思う。

SFに関する部分は良く練られていて、伏線の回収もバッチリだし、結構壮大な設定にも関わらず整合性を大きく損なうことも無くて良くできていた。

・Hシーン
オカズとしてはいまいち。特に複数人でのシーンに顕著だが、Hシーンですらキャラクター同士の掛け合いが笑えるので。
ただハーレム感(?)は割と良く出来ていたと思う。
ハーレムを作る理由も世界に主人公とヒロイン4人の5人しかいないという特殊な状況下でお互い嫉妬したりして反目しないためという真っ当な理由があったし、ハーレムを作ったお陰でヒロインたちの仲もより深まって挨拶代わりにキスをするようになったりとヒロイン達の仲の良さを見ていてほっこりできたのは良かった。

・絵、CG
背景や塗りに関しては問題無いのだが、原画が、特に春海と静夏、が個人的にはいまいちだった。この辺りもHシーンがオカズとしてイマイチに感じてしまった理由かもしれない。
SD絵は可愛かったし、数も割と多くて気に入った。

・キャラクター
全員が強烈な個性を放っている。多寡はあれど全員が下ネタを言いまくる。
秋桜なんかはHなことに関しては割と羞恥心をもっていたりするのだが、ある程度シナリオが進んでくるとそれすらも興奮するための材料になるのだから恐るべし。

全員が記憶喪失で謎だらけの世界に放り込まれ、お互いのことを知らない状態なのにお互いが疑心暗鬼になったりしてギスギスせず一貫して仲が悪くなったりしないのは良かった。
ルートによっては殺人事件が起こったりもするのだが、それでも多少お互いを疑ったりすれど、致命的な疑心暗鬼になったりしないのはプレイヤーの胃が無駄に痛くなることもないしありがたかった。
更に何故お互いが初対面のはずの人間と信頼関係が割と簡単に築けるかもきちんと理由がり、説明されるのは素直に凄いなぁと思った。