オーガスト特有の雰囲気の良さというのは確認できるものの、お話が面白かったかといえば不満が残る。
オーガストの作品に触れていて、ああ自分もこの空間に一員として参加したいなあと思わせてくれるような居心地の良い空間を提供してくれているなと感じている。
今作においてもその要素は変わらない。
ただ、この作品は導入が面白そうだと惹かれるものではないのでとっつきにくいところがあるし、茉理ルート以外のルートで現れる要素はそれを打開するために置かれた要素なのではないかなと感じた。
この要素が上手く働いたかというと個人的には半々ぐらいで、ある程度の牽引力はあったと思うけれど、突拍子もない設定だったというのは確かで素直に飲み込めるかどうかというのは難しいところ。
僕としては美琴が最序盤で主人公の名前を勘違いするところであるとか、主人公の記憶が5年前より以前はないというあたりで多分何かあるんだろうとは思っていたので突拍子もないと感じはしたもののまあいいかと飲み込みました。
個別で一番不満が残るのは茉理。
このルートだけ未来の話が現れないでウイルスだけが出てくるのだけれど、無理やりハッピーエンドにしたと感じられる終わり方をした。
他のルートを見ればワクチンが完成しただとか治療できるようになったとかの描写を見ることができるのだけど、このルートの先生の言い方を考えるとこのルートでは何もできていないと考えられるし、そうだとすれば茉理が助かるという結末は納得がいかない。
ただ茉理ルートは唯一未来がどうこうという話が出てこない傍系の話だったと思うと若干溜飲は下がる。
キャラクターとしては保奈美が気に入った。
良くも悪くもお話の面白さに比べて雰囲気の良さが大きい作品であるので、気にいるキャラクターがいるか、天文部であったりある程度固定のキャラクターの会話から出てくる居心地の良さといったものを感じるかどうかが評価の分かれ目だろう。
上述の通り、お話の面白さだけを見れば低めの評価なのだけど、オーガストらしい成分を補給できたのもあって若干の加点をしてます。