前作に頼ってしまうのは舞台が変わらない以上仕方ないとは思うのだけれど、上手く活かせていないなと感じてしまった。加えて目新しさが減ったからかもしれないが話の面白さとしては前作より劣ってしまっている。でもヒロインはエロ可愛いからちょっとくらいはいいやと少し甘めに見積もってしまう、そんな感じ。
PRIMAL×HEARTSの設定の肝は2つの生徒会の存在と選挙で物事を決めるということで、前作の序盤ではこれを上手く活かして読んでいて楽しいお話にしていたと思っていたのだけれど、今作ではあまりその設定が活かされた面白さというのは感じられなかったのがとても辛いところ。
とはいえ日常会話は前作と同じノリを感じさせる軽さをところどころで感じられて悪くはなかった。ただメインキャラの印象が総じて薄めだったのがこの種のゲームでは少し厳しいか。メインキャラ全員がいい人で、前作の五明孝明みたいなキャラみたいなのがいた方が良かったかなと思う。
ここまでの話で前作に頼ってしまうという表現はどうにもおかしいと自分でも感じるのだけど、それには多分に兎姫ルートが影響している。前作に頼っている内容として舞台設定や続投のキャラクターという意味でもそうなのだけど、兎姫ルートにおいて前作主人公と陽姫というキャラクターに依存した解決方法を取ってしまったのは悪印象で、同じ舞台を利用している以上無関係とは言わないまでも、問題解決は最終的には今作のキャラクター自身でしてほしかった。とはいえこれは僕のワガママかもしれない。
個別はどれかが特別良かったというのはないけれど全く印象に残らなかったルートがあって、真白ルートだけは印象が薄いし読んでいて楽しくなかった。他の3人はどっこいどっこいだと感じたけど、共通でキャラクターの印象を押してくる兎姫とたてはの方が好印象だったかなと思う。アリスティアもかわいいとは思うんだけど、共通ルートでは変顔とたどたどしく喋ってるだけの印象であまり可愛さが伝わってこなかった。前作でもそうだけれど、サブキャラまで含めると天道会の方が集団として好印象になってしまったのが少し残念。
もう一つ。作品評価に直接関わることではないのだが、違和感を感じたことを挙げるとルート毎に前作の主人公が結ばれたであろうヒロインが異なるということである。6年後の舞台である今作の主人公である幸塚大智が結ばれるヒロインが違うと前作の主人公が結ばれるヒロインが異なるというのはなんともおかしい話なのではないだろうか。
総評すると全体的に形だけ前作をそのまま持ってきたハリボテ……とまで言うのはどうかなと思うのだけど、そのようなイメージを抱いてしまった。絵柄が好きでエロを求めるなら前作と同等で十分な作品ではあると思うけど、軽く楽しむ面白い話という意味では予想通り前作を下回る結果だった。