終わってみればキャッチコピーそのまんまの話。しかしファッキンも丸くなったよね。下ネタは相変わらずだけどフユガミみたいなドぎついのは鳴りを潜めたし、絶対同人じゃないと駄目だろ的なシナリオではなく、「商業ゲーとして一定以上の質の作品」を仕上げてくるとかさ。それでもさ、やっぱり、「渡辺ファッキン僚一はノベルゲー業界に必要だ」、これに集約されると思うんだ。
ぱんぱかぱ~ん。……第1回! すみっこキッズ諸君の、あきくるという作品を本当に理解してるのか告白大会。やったぜー、こりゃ盛り上がるぜー。
ぶっちゃけるとすみっこキッズではないと思うものの、同人の半端マニアソフト時代の作品込みで大体やってる(コミックデイズにフォーリズムまだだけど)「ファッキンボーイ」としてはね、やっぱりやらなきゃとは思ってたんだ。
で、その結果がこれだよ!(とりあえず褒めてる
いやなんというかね。他の人の感想にもあったけど確かにファッキンも丸くなったと思うよ。これまでは殆どどっかで人死んでたもん。半端マニアの「Indigo」なんて何人死んだんだろうね。
だけどあきくるは一切死んでないもんね。いやはやモブ含めたらこれまで何人殺したかわからないファッキンが、この手の、とりあえず沙織が何人か殺してそうとかサトリが実験で何人もとか見せかけて結局0人だもん。
そんなこんなで本作あきゆめくくる。量子力学とラブコメ、その二つは作中では意外と軽く扱われてたね。ラブコメは全編通してのテーマだったとはいえ、量子力学は実質キスルートだけだもん。まぁ下敷きにした上で各ルートの設定とかもあったけど。
別に軽いことが駄目なんじゃない。ただ、なつくるとかのようなガチSFを期待して量子力学を、とか思うと肩透かしを食らっちゃうかもね。
そんなあきくるだけど特筆すべきはギャグかな。とにかく最高だった。ぶっちゃけファッキンとか興味ねーよとか、量子力学もラブコメも興味ねーよとかいってる人にも、あきくるのギャグだけでも見せてあげたい。
ラブコメというものは、概して比率がコメ>ラブだ。そういう意味では、あきくるは「ラブコメ」としては及第点どころか完璧と言えるんじゃないかな。
下ネタは多いかもしれないけど、そこはいつものファッキンだ、いや、少し洗練されたファッキンかな。とにかくあきくるの下ネタは嫌らしくないんだ。
とはいえ、男としては金の玉がキュっと縮みあがるようなネタは多いけどね! カリがキュラムしちゃうということで、ここは一つ。
なんでだろ、僕もあきくる終わってなんとなく浮かれてるのかもしれない。けどまぁこの口調のまま、つらつらと思ったことだけでも各個別とか書かせてもらおうかな。
先に言っておくと、なつくるとかIndigoとかでの、過去から続く連鎖だとかのような、そういう設定でプレイヤーにカタルシスを与えるものではないんだ。
それでも、きっと、終わった際には少しばかり満足したかのような読了感を、僕は約束したい。そこは、いつもと違うファッキンかもね。
あ、別にサブ二人は特段ヤマなしオチなし意味なしだから書かんでいいよね。ちなみにプレイ順はみはや→ノア→歩→柚月→キス→沙織ね。沙織はメイン三人攻略後解放だからそこだけ。
ちなみにヒロインは、みはやはともかく、メインは全員ちはやと同い年だから、全員年上又は年下の作品と併せてやるとそこそこ噛み合わせがいいんじゃないかな。
伊橋歩
ラブコメって好きだってことに努力するってことなんだと思う。(歩ルート
実は地味にファッキン初幼馴染ヒロインだよね。フォーリズムのみさきが幼馴染とかいう話は聞くけどセットで幼馴染とは呼べないって話も聞くから、というのは置いといて。
ルートは白露擾乱にまつわる歩の過去への罪の意識、というのが近いかな?
そういうのだけど、多分ね、このルートが一番ラブコメをしていたと思うんだ。柚月は通り越してエロコメだしね。
というかあきくるがラブコメである必然性はこのルートが端的に示してるね。過去跳躍の場面はそれを基に見るとまた違った感想が浮かぶんじゃないかな。
それでさ。付き合い始めのコンデジに写るちはやと腕組んだ歩の一枚絵あったじゃん。あれでさ、なんというか、幼馴染厨としてはさ、これを求めてたんだってなったよね。後々あれが重要な意味を持つというのもあるけど、あの絵は自分にとってもすごい好きな一枚なんだ。
多分だけど、割と自罰系ヒロインなとこあるし、意志が強くてかなり頑固なところがある歩は正直好みかどうかわかれると思う。
けど、各世界の主人公が単に激痛を引き起こす原因となったのはこの世界のちはやの行動が原因だし、そしてそれで実際に歩を救ってるんだから、ちはやにとってのお姫様はどう考えても歩だよね!(暴論
けど一番の功労者は間違いなくちはやの人肉を気化するレベルで切り刻んだキスだってことは忘れちゃいけないね!
ある世界の主人公が犠牲になろうとして他の世界の主人公を巻き込むっていう図。僕がやった作品だと人工くらげの「アルティメット・ノベル・ゲーム・ギャラクティカ」にも似たような話があったね。
それと、歩が抱える問題は、歩ルートに入らないと解決しない。これまた暴論だけど、他のみんなのルートはルートとしてやらなくても解決はしないけど、歩だけはちはやに頼る必要があるんだ。
だから、自分は歩が本作のメインヒロインだと勝手に思ってるんだ。エピローグは誰ルート経由でも問題ない作りだからね、僕は歩ルート後だと勝手に解釈させてもらうよ。ほら、起動の際のアプリケーションの画像として出てくるのも歩だしね。
小高柚月
柚月「私の声が聞こえますか」
中島みゆき「ララバイひとりで眠れない夜は ララバイあたしをたずねておいて~♪」
WSPさん「ララバイひとりで泣いてちゃみじめよ ララバイ今夜はどこからかけてるの~♪」
札幌出身ファッキンが同様に札幌出身中島みゆきの楽曲をオマージュした結果だね(違
まぁルルランは札幌から300km以上離れてるとあるし、恐らく地理的には風景的なことを考えても標津町辺りじゃないかな。まぁあの辺りにあんなアーケードの商店街なんてあるわけはないんだけどね。
去勢を勧める、気合を入れるためにノーパンになる、とりあえずアナル青姦――こんなヒロイン半端マニア時代にもいなかったぞ!(褒めてる
まぁIndigoとかにもマジで頭おかしいキャラはいたけど、下半身方面でこうも突き抜けたキャラはいなかったからね。
ルートとしては中部凄歌事件とWSPさんのこと。とりあえずすごい簡単に言ってしまうとWSPさんは宇宙人だったんだよななんだってー(AA略
光人間は柚月の空想上の産物というわけでもなく、実際の、ともすれば柚月本人であったというのは、多分この作品で二番目に驚いたポイントだったように思うね。ちゃんと妄想だけじゃなくて意味はあったんだっていう。
しかし、中部凄歌事件という架空の事件をでっちあげて少女一人に罪の意識を全て背負わせたという意味では、相当鬼畜よな道万も。単純な背負ってる不幸の大きさでは、(別人格の沙織はサトリと別だと考えて)柚月が一番大きいだろうね。比較するもんじゃないけどさ。
けど、それを「可能性を奪われた人間を主題にした」シナリオではどうだろう? 去勢をすべきという持論は最終的には撤回はしないまま終わるけど、WSPさんを前にしてそこまでのことは言えない、可能性を広げたいと思うようになることは、間違いなく柚月の成長だと思うんだ。
だから、ラストの歩み寄りの姿勢だとか、やっぱり可能性を広げるための行動というのは胸を打つものがあるよね。
それを、始め主人公相手に去勢を勧めるという、生物的には後退するような主張をしていた彼女のシナリオだからこそ、というのは、きっとあると思うんだ。
ただまぁ、柚月の印象が強すぎて、どうしてもルートのテーマそのものが入ってきづらいところは少しばかり難点かも。アナルセックスで新しい可能性を見つけられたというパワーワードのお陰で他が頭に入んねぇ入んねぇ。
土織キス
ルートは量子力学のこと。土織さんが共通に引き続いてガンガン説明してくれるよ。
けど、あきくるの量子力学は、なつくるなどに於ける様々な学問などの説明に比べて非常にわかりやすくなっていると思う。だから、今ここで言うのもなんだけど、多分ファッキン入門にはあきくるは丁度いいんじゃないかな。
でもパンドラウイルスドゥルキスまでは読めなかったよね。ご丁寧にアルファベットでDULCISって書いてくれてるのにさ!
究極的には人類滅亡後の地球での覇者となる、広がりを求めるという行動は、パンドラウイルスにも実際にあるかどうかというのはわからないし、現状はわかるわけもない。
結果的には、キスのビッグリップに抗うために、ちはやとキスの恋愛は永遠のものとして継承されるに至るね。それはともすれば世界を救いも滅ぼしもする恋愛だ。
でも一番潔いって思ったのは、ここまで喋ってきた量子力学のことを全てちはやに「怖い」と思わせるための説明だったとあっさりと切り捨てたことだね。
終わってみてから、そうだよファッキンはこういうことが出来るライターだよなんて思いもしたけど、それでいて尚も面白いと思わせるシナリオ運びをファッキンは出来るから流石だ。
ただぶっちゃけると「キス」より「土織さん」の方がね、性格的に好きだったというのがあって、まぁ個人的な好みだから仕方ないけど、「土織さん」との恋愛も楽しんでみたかったというのは本音かな。
佐々木沙織/轟山サトリ
このルートでは、サトリは沙織の別人格、もといサトリの記憶喪失としての新たな人格ということが判明するね。
よくよく見れば容姿はそっくりだし、名前だって酷似してるし、サトリがちはやにコスモス畑でアレを語っていたのだから、沙織が最初コスモス畑で刃物突きつけた時点で同一人物だなって悟ったよね。
個人的には、沙織=サトリということは相当早く読めてたからこそ、わざわざルート固定をする必要もないんじゃないかとは思いはしたけど、けど大事なのはそこじゃないんだ。
結局ね、沙織ルートの大半、もとい「あきくる」という話の半分くらいが「轟山サトリの失恋話」だと思うんだ。
数多の世界を巡って、数多の世界の自分の記憶が入り混じっておかしくなりそうになっても、サトリと同じような存在だったちはやはサトリにとっての救いそのものだった。だから、サトリがちはやに恋するのも当然の帰結だったのかもしれないね。
けれど、どれだけの世界を巡っても、ちはやはサトリを拒絶してしまう。少なくとも、恋愛関係を結ぶということはありえないと。
「この世界でサトリと結ばれるパッチが欲しい」という声も聞くけどそんなことを言ってるんじゃ駄目だ、これは「サトリが失恋することに意味がある」シナリオだから。
ネタバレのために名前は伏せるけど、某同人作品で主人公とヒロインが失恋、もとい結ばれる未来がないっていうことが結末だった作品があるけど、それを知った時のその感覚。
そっちの作品では、「シオソ」という存在が途轍もない救いになっていると思ったけど、こっちでは沙織という自分の別人格と、ウィグナーの友人理論で他者から観測されることによって自己を確立することによって自らを救ってるね。
猟奇殺人鬼「かもしれない」――確かに言いえて妙だね。だけど殺していたのは数多の世界の自分。そうであったからこそ、自分という存在を確立できたことは、サトリにとっても沙織にとってもこの上ない救いじゃないかと思うんだ。
エピローグ(という名の総括)
わぁいノーパン、あ○りノーパン大好き
今回は、ファッキン作品にしては珍しく、終わった際のカタルシスを求めてやる作品ではないんだ。だけど、ファッキン作品特有の、結末にある寂寥感とでも言えばいいかな、それは健在だから、そういう意味では終わり方は半端マニア期の作品の方に近いかもしれないね。
まぁ、とはいえ、やはりかなりあっさりとした終わり方は、割と拍子抜けする人もいるかもしれないね。勿論各世界に意味はあったし、「ラブコメ」である以上あの終わり方であるべきではあるのだけど。
しかしみはやが再びルルランを訪れて目撃したものは柚月のお陰で全員がノーパンと化した女子だったのであった! あの妹ちゃんがドン引きだよ! 柚月の変態旋風恐るべし!
そんなこんなで3MBのシナリオという容量も、終わってみればそこまで長い作品じゃなかったと思わせるから不思議だ。まぁ今回は共通が割と長めだから、そんなに長くない個別をやっててそう思っちゃうだけなのかもしれないけどね。
――結局のところ、みはやが誰が好きなのかを当てる場面、あそここそがこの作品を象徴する場面、あきくるが量子力学とラブコメを下敷きにする必然性を持っているんだよね。
いやだってさ、考えてもごらんよ。たま~に出来の悪いノベルゲーであるけどさ、選択肢で、あれ、誰かの後姿だってなった時に、選択肢が「ヒロインAかな?/ヒロインBかな?/ヒロインCかな?」ってのがあるじゃん。
あれってさ、ヒロイン自身が多重人格か何かで同一人物だっていうならともかく、主人公が誰かを予想するだけでそこにいるべき人物が入れ替わっちゃうってことだよ。正に魔法だよね、そういう能力を主人公が持ってるっていうならともかく。
で、当該場面。みはやが予想してるのをちはやが当てようとするわけだけど、文脈的には「ちはやが予想した通りにみはやがヒロインを当ててる」んだ。例えばそこで「歩かな?」を選ぶと、みはやは歩の方を向いて言うんだ、お兄さまと伊橋のお姉さまをこんな特殊な空間に一緒にするもんじゃないって。
ほら、これってそれと一緒じゃない? 魔法か何か使ったみたいに、ちはやが選んだことによって、みはやの行動が変わるというような。
でもいいんだ。ほら、この作品は量子力学だ。二重スリットの光を観測して、「現在が過去のことを決める」作品だ。ってことは、それで正しいんだよ。
ちはやが誰から好意を向けられていそうかどうか「観測」して、過去の出来事を確定させるのだから。そこには、それまでにヒロインがどう思っているかどうかの経過は関係ない。全てはちはやの観測と、その後のみはやの言動だけ。
これは、間違いなくファッキンが意図的に仕組んだことだ。あきくるに、量子力学を取り入れると決めた時には、この分岐を考えていたとしても不思議はないね。
それとその上で歩ルートと思いたいとか喋ってからこんなこと言うのもあれだけど、実際ハーレムエンドだとしても不思議はないよね。実際は全員とは無理とは言ってるけど。
ついでに言うならエピローグでの彼女がいるという柚月の発言からノアじゃない四人の内の誰か彼女がいる、というのはわかるんだけど、「誰が」ということもそうだし、「何人と」付き合ってるとも言ってないから、ハーレムもとい3P以上の可能性もあるわけだ。全員ではないようだけどね。二重スリットの実験宜しく確定させたかったら、二次創作でも書けばいいんじゃないかなぁ、キヒッ!
故に誰かのルートを通過したかもしれないし、観測してないルートかもわからない。シュレディンガーの猫というより調べなければあるかどうかわからないからシュレディンガーの処女膜かな、キャハハハッ!
僕達はあきくるという物語の中では、数多の可能性の内、四つしか見てこなかった。みはやが数多の世界の内九割でヒロインとの恋愛の可能性をブロックしたとはいうけれど、それでもあれだけの世界があるのだから、間違いなく各ルート以外の顛末を辿ってあのエピローグに辿り着いた世界線はある。
逆に言えば九割はみはやルートに行き当たったということだけどね! とはいえ、そこまでのちはやの行動である程度は制御できたわけだから、そこに至るまでのちはやの行動がヘタレだっただけかもわからないけどね!
だから、そういう意味では、二次創作を書くか何かして10億光年先の光がどのスリットを通過してきたのかを観測するまでが物語なのかなと、ふと思ったんだ。多様論への肯定というのは、リアルでもいつも僕が言ってることだからというのもあるのだけどね。
「なつくる」では志穂が正史だったんだ、パッケ絵でわかるように「あきくる」のヒロインに優劣はないから、どのようにエピローグでは思おうと、(みやはルートまたは誰とも付き合ってない状態以外の)各ルート乃至はそれ以上のハーレム状態かを想像するのは自由なんだ。
そうそう、最後にOP曲の「roop」に関しても少し話をしておかなくてはいけないかな。あれは端的に言えば、「轟山サトリが原島ちはやに送る恋の歌」だね、キヒヒッ。
ちはやを「僕の一つだけの宝石」にすることがしたかったのに、それが出来なかったサトリの哀しい恋の歌。聴きこんでみれば、OPとして聴くのとはまた違った味わいが出るかもしれないね、キヒッ!
あきくるのサブタイトルは「A MIDAUTUMN NIGHT'S DREAM」なわけだけど、こうしてみるとサトリが数多の世界で見て来た夢と、その夢が潰えるのを繰り返し見て来たというふうにもとれる。
それでも、「君に恋した時間は今キラキラ輝いて」いるわけだ。これが、きっと最終的にサトリが手に入れた強さなのかもしれないね。
だから、グランドED後のラスト、サトリは出て来てああ言うんだ。プレイヤーに、一回り成長したサトリを見せるかのように。
ともあれ、そんな感じでキャラみんなが好きになれるあきくる、やっぱりちはやは「彼女」と幸せに老衰か何かで死ぬまで暮らして欲しいよね。
季節は巡るようになったけど、ラブコメは終わらないし、量子力学として多世界は今日も存在し、また分岐していく。数多の世界を夢想してみるこそが、この作品の真の醍醐味かもしれないね。
ふう。やっぱり、ファッキン作品は、意表を突くモチーフがあることに魅力があるんじゃないかと思った一作だったよ。
思うに、ファッキンは、なんというか、「夢を与えてくれるライター」なのかもしれない。たまに流石にそのギャグはどうなのと思うこともあるけど、ともすればその下ネタが壮大な伏線になってることもあるしね。
あきくるでは、多世界によって様々な可能性を僕達に提示してくれた。だから、この流れならとりあえず「ふゆくる」を出してほしいと思うのはみんな一緒だよね。
すみっこソフトのツイッター見てないからこれにて解散だとかは知らないし、実際解散だとかで出ないという世界線もあるのかもしれないけど、僕はちゃんと「ふゆくる」がどこかの世界線では出ると思ってるし、この世界線では出てくれると信じている。
ともあれ、ファッキンボーイとしては未プレイの過去作やりながら待つだけなんだ。せめて、今度こそすみっこキッズと胸を張って言えるようにね。
最後に。ファッキン、正味十日程度だった2016年は楽しめたかい? キヒヒッ!