うわー!やられたー! 悪役令嬢に手のひらクルーっ! 莉々子さんの可愛さ7兆点であります! 言葉を尽くし、丹精込めて作られた作品です。 「莉々子さん可愛い!」という月並みな言葉が作品感想の全てでした。
まどそそふとのハミダシクリリエイティブ
面白すぎギギギギりりりぃ!
★物語が非常に巧みだった件
凄く凄く面白かったです!!
ネガティブがポジティブに変わるインパクトがいわゆるギャップなわけですが、本編『ハミクリ』で印象の悪かった莉々子も本作をクリアした今では手のひらクルーっ。
そりゃ好きですよ。
だって本当はめちゃくちゃ良い子なんですから。
しかもギャップでブーストされた可愛いムーブを畳みかけられてしまえば堕ちてしまうのも仕方なし。
やはり可愛いは正義なのだと思い知るに十分な作品でした。
でも単に可愛かっただけというわけでなく、恋をきっかけに人間としての成長も同時に描かれました。
各エピソードに無駄な要素は一切なく、全ての歯車がかみ合って莉々子の魅力を引き出していたように思えます。
智宏が莉々子の純粋で素朴な内面に触れ、だんだん恋心を意識していく過程がユーモアを交えながらも非常に丁寧で、気づけば読み手も智宏と心を重ねて莉々子に惹かれていってしまうんですよね。
智宏の感情の機微が、そのまま自分の感情とリンクしていく気持ち良さがあるんです。
莉々子も好意ダダ漏れで、画面の前でニヤニヤしてしまうってもの。
文章と展開が抜群に上手いんですよ。
この流れから後半へ。
莉々子がダマ学生徒会メンバーになることで生じたエピソードでは、本編ヒロイン達が智宏と一緒になって頑張りたいという想いが垣間見えただけでなく、物語のターニングポイントとして描いていたことは見事でありました。
智宏は生徒会長として認められてたんだなってエピソードが良いんです。
そのためラスボス不在という特殊なパターンでの問題解決となるので、まさに本作ならではの面白さであったと思います。
しかも莉々子の人間的成長が重要なファクターとなっていることがニクイんです。
つまり、ラブコメ青春を土台とした”恋愛物語”でありながら、ヒロインの”成長物語”を丁寧に丹精込めて描いてくれたことで、とても品質の高いラブコメに仕上がったのだと思います。
物語の出来事はシンプルだからこそ、冒頭から最後まで非常に丁寧かつ綺麗にシナリオをまとめてくれていたため、結果として大満足でございました。
★詳細すぎる文章に感服した件
久々にハミクリに触れてまず感じたのは文章の素晴らしさでした。
個人的にはハミクリ最大の魅力とも捉えています。
ハミクリ本編でも感じたことでしたが、改めてハミクリの世界に浸ってみるとこんなに凄かったっけ?と思えるほど魅惑的で、じっくりと読み進めることで得られる満足感がありました。
ご存知の通り、本作の主人公のモノローグは他作品には見られないほど情報がパンパン詰め状態。
主人公が何を思ったのか、どう感じたのか、どうしたいのかという、感情の機微や思考の変遷が詳らかに示されます。
その為に当然ながら文章は長い尺を必要とし、一歩間違えれば冗長と受け取られるリスクを抱えることになります。
でもプレイされた方ならお分かりいただけるでしょうが、ハミクリの魅力はまさにこれと言えるほどにバカ丁寧な文章が伝える”分かりやすさ”とライターのセンスに溢れた”ユーモラスさ”でした。
これは主人公への”親しみやすさ”を生み出していたとも言えます。
本作の文章は繊細さや情緒よりも”感情のノリ”を丁寧かつタイムリーに示すことで大きな価値となっているのです。
ではなぜ自分がこのポイントに大きな価値を見出しているのかと言えば、”説明しつくされている文章”は本来の自分の好みからは”ありえない文章”だから。
これは好みの話程度に思ってもらえば良いのですが、自分は文章の中にある言葉一つ一つの奥にある情緒や、読み手の想像に委ねる余白を大切に読む傾向があります。
要は”感情の余白”に趣がある文章が好きなんですよ。
もちろん作品の傾向によっては文章の趣を楽しむ作品ばかりではないと理解していますが、やはり延々と説明が続く文章はくどく思えて正直言って好きではありません。
むしろ嫌いです。
何もかも詳らかに示されてしまえば、言葉の奥にある情緒や、読み手の想像の余地が排斥されたようなものとも言えます。
文章の情緒や感情の余白に”絵”と”音楽”を組み合わせ表現されるものこそ、ビジュアルノベル作品の美しさ、感情の揺らぎがあると思っていますので。
それでもハミクリの文章はスラスラ読めるんです。
長い尺の詳細な文章に冗長さを感じないんです。
これはひとえにライターの方の高い教養を伺わせる情報処理能力、意思をもって丁寧かつユーモラスに感情の機微や思考の変遷を示す筆力、読み手に寄り添いながら娯楽性を追求している手法が素晴らしいんです。
情報を最大化して有効活用すればこんなにも面白くなるのかと。
非常に頭の回転が速い主人公なので、次々と思考が移り変わるなか、利己的なものもあれば利他的なものまでほぼ説明され、テンションも真面目な時もあればアホ臭いことだったりとバリエ豊富で飽きさせません。
さらには言い回しも実にユーモラスなんですよね。
このユーモラスと言うのが一番大事で、感情豊かかつ詳細に示される文章の言い回し、語調、リズム、比喩にこそ情緒があったとも思えます。
いちいち勃起したことまで言わんでもいいやろwってのが良いんですよ。
青臭くて実に可愛い。
もはやこれはお家芸とも言えるかもしれません。
そして時には人として大切にしたい感情にフォーカスし、丹精込めて読み手に伝えることで不意打ちに感動までぶち込んでくるんです。
ラブコメだと思って完全に油断していたところでやられてしまうんですよね。
結果として主人公の赤裸々な内面を知ることとなり、始めはどうしようもないクズ主人公だと思っていた智宏のことを好きになっているんですよね。
主人公を好きになるというのは作品を読み進める大きなモチベとなり得ます。
人によっては物語を楽しむ要素で大きなウェイトを占めるんです。
個人的にはまさにそうで、この要素が本作での非常に大きな価値となり、ハミクリってやっぱ凄いな、面白いなと強く感じる決定的な理由となりました。
★悪役令嬢に手のひらクルーした件
莉々子さんごめんなさい!
まじで可愛かったです。
本編シンポジウムの辛辣な言分で印象最悪だったのに、ここまで手のひらクルーってなるかってほど可愛いポテンシャルを秘めた乙女なヒロインでした。
ではいったい何が良かったかと振り返れば「莉々子さんの全てだよ!」と言いたいところですが、敢えてピックアップすれば、自らを省みて成長する姿勢が素敵だったことでしょう。
王子様との恋を夢見る乙女が智宏という王子様と運命的な出会いを果たし、やがて恋に堕ち、ダマ学生徒会とのコミュニケーションで視野を広げ、魅力的な人間として成長していく姿がいじらしくて、微笑ましくて、本当に可愛かった。
莉々子の内面を知れたことで、シンポジウムで議論された不登校についての辛辣な見解も納得出来ました。
莉々子には決して悪意はなく、他人への思いやりが欠損しているわけでもなく、ただ単に他人の痛みに鈍感な天然だったわけです。
本人は気付いていない同調圧力や自分本位の思考も、ただの頭でっかちで視野が狭かっただけの話でした。
育った家庭環境と社会的な経験不足、さらには好きなものに正直すぎるゆえに、自分自身の考えが正しいと視野を狭くしてしまったのでしょう。
でもこれが致命的な弱みでもありました。
実際の莉々子は純情で素朴な少女です。
きっかけさえあれば己の過ちを認め、謝ることのできる良い子です。
それでもシンポジウムでは意図せずとも華乃とあすみの心を踏みにじる発言が溝となり、彼女たちに苦手意識を植え付ける十分な理由となりました。
実際に智宏からは悪役令嬢とレッテルを貼られてしまいましたしね。
でも本作では智宏や詩桜の指摘をしっかり受け止めて咀嚼し、反省から新たな学びを得ることが成長に繋がり、物語は結果として大団円となりました。
ここで注目すべきは自分の意見を絶対とせず、違うの意見に耳を傾け一旦受け止めるようになったこと。
そして受け止めた意見を咀嚼して己の行いを反省し、自分自身見つめ直すことで改めて考えて行動をしていたこと。
これって実生活でもとても大切ですよね。
尊敬できる人って大体このムーブを自然と出来ている人のように思えます。
自分を完璧だと思わず、常に謙虚な姿勢があり、それでも芯はブレずに行動できる人は尊敬に値します。
莉々子さんも智宏をはじめとした千玉学園の生徒会メンバーと触れ合うことで、より魅力的な人間になっていく未来を予感させました。
もともと能力も高いので器の大きさを手に入れた莉々子さんは、それはそれは素敵な女性になるのだろうと思うんです。
さらにはこの流れを同人漫画の創作活動とリンクさせたことがニクい演出で巧みであったと思います。
この成長のきっかけは主人公との恋愛でした。
青春時代の恋って渦中のヒロインには世界の全てなんですよ。
恋を知らなかった少女が恋に盲目となり、大人の階段を上る過程で他人の心に触れ、喜びや悲しみ、新しい価値観に触れていく。
そして見ている世界の視野が広がっていく。
若者らしい青春の甘酸っぱさがあるんですよね。
恋をすることで人間として魅力的に成長していくって展開は大好物です。
大げさな言い方かもしれませんが、”恋の力が一人の少女の人生を変えた”んです。
これって広い世界で見ればミクロ過ぎてあまりに小さな出来事だったとしても、とても清く尊くて、本当に素敵なことだと思うのです。
それをハミクリらしいラブコメでユーモアを織り交ぜながら、ひたすらヒロインの魅力にフォーカスして伝えてくれたことがお見事でした。
だからこそ物語の中で智宏が莉々子に惹かれた理由と重なって、読み手も莉々子に惹かれる明確な理由となるんです。
手のひらクルーってするに十分すぎる理由になるはずです。
そして最後に待っていたのがエンディング前の一枚の集合写真。
最高オブ最高の笑顔でした。
写真に収められた青春の輝きはこの先何年経ったとしても、決して色褪せない想い出になるのだろうと思います。
★最後に本作のハミダシの件
飛び抜けた能力がハミダシポイントとされたなかで、莉々子は本編ヒロインとは明確に異なる能力外の特殊なハミダシだったように思えます。
個人的に莉々子のハミダシポイントは物語での立ち位置だったのではないかと。
ラスボスというハミダシたポジションから、本作で描かれた智宏との恋愛をすることで人間力を養い成長を遂げ、物語の帰結の先には智宏の未来をクリエイティブしていくのかなって。
だって智宏は総理大臣になるらしいですからねw
まさに新時代のヒロイン爆誕でした。
プレイを終えて振り返れば、莉々子の可愛さを引き出すシナリオの素晴らしさはもちろんのこと、エロゲならではのシーンでも莉々子の魅力が詰まっていたのが本当に良かった。
お胸もハミダシクリリエイティブってもんです。
行為の最中の掛け合いに心はほっこりしながらも、バキバキに昂りましたから(知らんがな)
まだ色々語りたいことはあれど、”莉々子さんめちゃくちゃ可愛かった”という月並みな言葉が本作の感想の全てだと思えるので、この感想もこの辺りで締めさせていただきます。