設定がいいため、ストーリーやキャラの心理描写が独特で物語に引き込まれたが、最後がこれじゃあどうしもうもない。
前にも似たような評価をしたゲームがあったが、これもそう。
『終わりよければすべてよし』逆に『終わりが悪ければすべて悪い』
ゲームの終わりをどのように締めるか、それが満足のいく締まり方ならば途中があまり面白くなくても
高い評価を下し、満足がいかない締まり方ならば途中がいくら面白くても評価は低い。
この作品はいわゆるよくあるループ物だが、1日間を2回ループして次に進むというちょっと変わったもの。
主人公はそのうち1日間が2回続いていることに気づいていき、その中で大切な人の真実を知り、その人を救うために
運命を変えていく。その先には大切なものを失ってしまうと知りながら。
救う人と救われる人、そして残される周りの人達。
救う人は大切なものを溢しながら、落としながらそれでも人を救っていく。
救われる人はそれを大切に拾いながら、育てながら生きていく。いつか救う人も救われるように。
設定の広がり次第ではもっともっと心温まるストーリーに出来たと思うのだが、残念ながらライターの力不足。
3人のヒロインをぶった切りに分けてしまったせいで同じことを3回も繰り返しているように思えた。
1回目はともかく、2回目は先輩をもっと前面に出して、各々のヒロイン間の交流がほしかったと思う。
また、所詮1,2年の間の話だもんで、振り出しに戻ってもまた最初から始めればいいじゃんとか、
それも教えながら一緒いけばいいじゃん、と思ってしまったのは自分だけだろうか?
それはまあいいとしても、どうしても納得いかないのはラストの展開。
ラストの展開があまりにアレだったため、今まで蓄積してきたものをすべて投げ捨ててしまった。
それは『ご都合主義』
なぜそうなったのか、ほとんど説明が無いまま都合よく奇跡が起きて、ハッピーエンドになる。
これにはさすがに呆然として、今までの展開というかプレイ時間はなんだったんだ?と思った。
少なくともこの現象に納得できる理由が無ければ今までの登場人物の一喜一憂は全くの無駄になる。
それに追い討ちをかけるように奈緒のハッピーエンドはまさに開いた口が塞がらないというか。
まとめると、設定や登場人物の心理などは結構面白かったと思う。途中までは続きが気になってプレイ
し続けてしまうくらい物語に引き込まれたが、最後のご都合主義ですべてが無駄になってしまった。