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PRIMOさんのいろとりどりのセカイの長文感想

ユーザー
PRIMO
ゲーム
いろとりどりのセカイ
ブランド
FAVORITE
得点
82
参照数
1655

一言コメント

今回は『いろとりどりのセカイ』ということで前作より幻想的で綺麗な話が続くと勝手に想像していたが、思ったよりも重い話が続き、最終ルートまでは苦痛とは言わないがほぼ作業だった。しかし、最終の真紅ルートは誰もが想像する以上に話が綺麗に纏まっており、流石はフェイバリット!と感じたことも確か。個人の評価は終わりよければ~が好きなんだけど、心残りも多いかな。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

あのフェイバリットから続編がでるということで、凄く期待してたのですが正直最初からがっかり。


unknown 少なっ!


前作『星空のメモリア』はヒロイン、サブキャラ含めて非常に数が多く またそれらが織り成す物語・世界観が濃密で気持ちよくて
『終わりが見えない宝探し』と評価したのですが、今回は少し残念な世界観でした。


『いろとりどりのセカイ』と言うだけあって、各ヒロインのルートは不思議で幻想的な話が続くのですが、ヒロインの重たい話と
主人公の不思議な力で救う(その代わり記憶を無くす)という、少し現実味が無さ過ぎる世界=空想セカイであることが容易に推測できてしまいます。



空想セカイであることが推測できてしまうとヒロインや主人公に意地悪な穿った見方をしてしまうわけで、違う会社の作品になりますが
『ナツユメナギサ』をプレイしたような『空想・幻想セカイ』と『現実世界の割り込み』=『このヒロインのシナリオは所詮、夢幻』と感じる結果、
プレイに苦痛までとは言いませんが、登場人物の起伏・感情を推測・共感しようと思わない状態になってしまいます。


この状態がメインヒロイン=真紅以外のシナリオで、 とにかく終わらせるという いわゆる作業シナリオに成り下がった感がありましたね。


星空のメモリアもヒロインが多すぎて、順番的に作業になってしまったシナリオはありますが、それでも いなくてもいいというヒロインはいませんでした。
あくまで双子シナリオのもう片割れ等、十分にキャラの魅力と背景や考えに共感を持てている状態でのプレイですから。


いろとりどりのセカイは、他の方々もおっしゃるように『真紅ゲー』です。 

裏を返せば真紅以外のヒロインなどいなくてもいい、代役に変わってもいいということです。



さて、肝の真紅シナリオですが、思ったよりも、いや 思った以上に良かったかと思います。

少しご都合主義なところがありましたが安易な予想通りにはならなかったこと、真紅の勘違いに突っ込みをいれずにはいられなかった等、結構楽しめたのかな、と思います。

ラストも非常に心地よく纏まっていて、フェイバリットらしい爽快な面も感じられました。


しかし、それも上記のような『作業』があったからこそ、別ヒロインをすべて犠牲にしているからこそおもしろかったのであって、
その『作業』が作業ではなく綺麗で・楽して・共感できたものなら もっともっと良くなって、それこそ『いろとりどりのセカイ』だったと思います。


シナリオの構成上難しいかもしれませんが、このセカイすべてが『真紅のための道具』だったことが残念でなりません。


あと、真紅可愛いけど、結局 なにかしてたっけ??? と冷静に考えたら負けです(笑)