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PRIMOさんの星空のメモリア -Wish upon a shooting star-の長文感想

ユーザー
PRIMO
ゲーム
星空のメモリア -Wish upon a shooting star-
ブランド
FAVORITE
得点
94
参照数
1653

一言コメント

人様の長文感想を見て非常に納得してしまったので投稿するのが躊躇われたが、内容完全に忘れちゃうのもなんなので投稿。数多くのヒロイン・キャラを奥深く掘り下げ、世界感を広げていきながらきっちりと伏線を回収しそれぞれのエンディングでは後味の良い余韻を味わえる、1作で2,3作分プレイした気になれる良作。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

最初にこの作品は非常にボリュームが多く、作品の雰囲気やキャラクターが気に入ればとことん良作になれる作品。 反面まあまあだな、とかあんまり好きじゃないなーと思い出すと
いきなりだれてくると思う。気合いを入れて一気に終わらせるのが吉かと。


最初システム設定を見るとunknown(まだ登場していない)キャラが多数おり、こんなにアホみたいにキャラが多いってことはそれぞれのチョイ役を
適当に登場させていかにもキャラクターが多いです、といった製作側の自己満足と思ったら大違い。

それぞれのキャラがサブキャラながら深くシナリオに関係しており、ヒロイン1人1人どころか、サブキャラの心理描写まできっちりと手を抜いていない
そしてキャラクター数が多すぎるため、非常に大きなボリュームになってます。


『終わりが見えない宝探し』


この雰囲気とシナリオにワクワクしながら、それぞれのヒロインのEDで息抜き(小休憩)をし、星空のメモリアの世界を深く掘り下げ堪能していけます。


それぞれのキャラについて簡単に。


●明日香

いわゆる顔見せシナリオ・・・ですが、星空のメモリアの世界観の紹介にはぴったりかと。ヒロインが抱える心の葛藤とメアという『死神』の役割がおぼろげに見えてくる。
だが、『展望台の彼女』の名前を刈り取られ、そして今度はその手がかりであるものも結果、刈り取られる。

展望台の彼女は実在するのか、メアは展望台の彼女ではなかったのか? プレイヤーは疑問が募るばかり。 なぜならまだまだ序盤だからw ボリューム多すぎですよ。

一番最初に攻略したヒロインでその後の展開を考えると少し可哀想な立場かもしれません。 主に引き立て役みたいな。



●こもも

こももちゃん、最高です。 あのツンデレに縞ぱんは犯罪レベルです。

お姫様だっこされてうろたえて『あれ?なんかおかしく・・・?』『気にするな』
『あれ?なんかおかしく・・・?』『気にするな』 は今年の当たりシチュエーションです。

シナリオについて、姉妹シナリオは少し本筋から離れ、どちらかというと隕石に焦点を置いたシナリオになります。

そして今まで良キャラだと思えていたこさめちゃんの評価がどんどん落ちていきます。 姉はサイコーなのに妹は最低・・・・。

これには理由があるのですが、個人的にはすっかり騙されてしまいました。姉のほうかと思いましたよ。 よって謎がすっきりすると
妹の評価も反転して上がりまくり。

なんかこう、すれ違ったりはするけど根本的な姉妹愛っていいですね。 いつか姉妹丼をいただきたいです。←アホ



●衣鈴

単品では評価されないキャラ。 なんというか妹の株が100くらい上がって終わったと思うw
ここで出てくる『父さん』というのに違和感を感じたのも多いと思う。 てっきり養子かなんかと思ったんだけどなあ。根本はもっと深かったです。



●千波

ウザ妹 らしいが全然ウザくないというか、ウザいのが可愛いじゃん。 CANVAS2のエリスといい、妹はウザければウザいほど可愛いのです。でも、キモいのは勘弁な。

オイタをしてもしなくてもぐりぐりの刑。ドジで寝ぼすけでウザくて可愛くってそのくせ、芯は強い。

でも一応実の妹なんだから、お食事するときくらいは疑問を持って欲しかった。 これで血のつながりさえなければいうことなしなのだが、シナリオに影響するなあ。

衣鈴+千波ルートで過去の天文部になにがあったのかの伏線回収がきっちり行われます。



●こさめ

こさめちゃんルートはまあ、90%こももちゃんルートでネタばれしているので、キャッキャッいちゃいちゃしながらおいしく妹をいただいちゃおうという休憩ルートです。
照れながらチョップは可愛すぎてたまりません。



●隠しキャラ

待っていました、というか待たされすぎだよ! 今まで紆余曲折 こさめちゃんに浮気しながらこももちゃん最高に落ち着き、実妹にも少し浮気してようやくたどり着きます。
隠しキャラに相応しい、高度な萌え度で病弱だけどおねーさんキャラって色々と刺激されますね。

個人的にはここもちゃん一番ですが、隠しキャラもかなーり高得点ですよ。 


あと、あのエンドは賛否両論かもしれませんが、個人的にはよかったかと。



●炉李w

最後の最後にやっぱり攻略できますが、ちょっと中途半端だったかも。
もっと掘り下げてもいいし、余韻とそれぞれの解釈ができるくらいにスパッと終わらせてもよかったでしょう。





どのルートもヒロインやサブキャラの心理描写に手抜きがなく、世界観の風呂敷の広げ方、そして包み方が非常に上手。
キャラクターもそれぞれが魅力的であり、ただのテンプレート萌えだけではなく友情・家族愛・姉妹愛・兄弟愛といったそれぞれのテーマを上手く纏め上げ、
そこに死神や隕石&星空にまつわるファンタジー、過去の天文部や展望台の彼女といったギミックを気持ちよく織り交ぜている。

丁寧でいて、それでこそ重いようなシナリオも星空というイメージに絡ませることでどこか幻想的に美しい演出ができてる。


イメージだけでシナリオ中身すっからかん。 テンプレートだけでキャラ薄っぺらい。  そんなのとは程遠い作品。

世界観、シナリオ、キャラ、音楽、CG どれをとっても◎です。


もっとがんばってほしい点もありましたが、そこらへんはファンディスクで期待です。 ここも×こさめとかw