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Odindinさんのサクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-の長文感想

ユーザー
Odindin
ゲーム
サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-
ブランド
得点
93
参照数
566

一言コメント

詩とセットで考えれば傑作。特に4章までの出来は神がかったものを感じた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

サクラノ詩から7年が経ってようやく発売された本作だが、7年かけて制作しただけあってかなり期待通りのものが出来たのではないかと思う。結局全ては圭と直哉の物語だったということで、二人の関係に最後まで焦点を当てた話となっていた。
個人的に評価したいのは1〜4章までの内容。特に1章は前作とはあまり関係のない話で、直哉の物語を期待していたものとしてはあまり期待できない物だったのだが、単体で見ても十分に面白い内容で改めてこの作品のレベルの高さを感じられる内容だったと思う。
2章はあまり内容のない話で何とも言えないが、賛否両論分かれる3章も個人的にはこれこそエロゲと思える内容で、エロゲとして売り出すなら欠かせない章だったと思う。特に本間心鈴とかいうキャラクターが可愛すぎてこのルートが存在していなかったら発狂していた自信がある。すか自による鳥谷ルートも、直哉のかっこよさを前面に出していて、こんなキザなセリフ直哉じゃなきゃきついなと思える話だったと思う。
4章は圭の過去を追っていく内容で、草薙健一郎が圭に芸術の何たらかを教えるルートになっている。健一郎の話は難解で正直よく分からないところも多いが、圭も作中で言ってるが「何言ってるのか分からないけど、なんか言いたいことは分かる」という状態になる。圭が何故直哉に固執したのか、どういう心境で直哉と接していたのかが分かる話で中々泣けると思う。
そして5章。直哉が先生であることを諦めて芸術家になるルート。唐突のバトル展開が始まり、ジャンプさながらな絵画バトルが始まる。個人的にアリアが実は千年桜の力を受け取った氷川だったとか、凛との戦いで謎に血を吐いたりなどファンタジー要素がどうも受け付けられず苦手だったが、香菜の話がめちゃくちゃ好きなので許せた。千年桜云々は嫌いだったが、香菜が直哉と張り合うにはこの力が無いと成り立たないのでこの設定を許すことができたというところ感じである。香菜ちゃんと直哉がくっつく来世のアフター期待してます。
エピローグでは、直哉と藍の間に娘が出来て次世代に期待を持たせる内容だった。最後の1枚で詩では何処か寂しさを感じる最中だった二人が、幸せそうに三人で歩き出した姿を見て感動した。

歌が好きなら刻も好きだと思うし、よりスッキリ終われるのでプレイした方が良いとは思う。