Triangleの変身ヒロインシリーズ。もっと淫らに、もっと可憐に。
時は現代。「世界を束ねる力」を持つという「無銘の法剣」を巡って魔族と人間族が争う世界が舞台。主人公ラグノは、魔族と人間のハーフだという理由で、魔界で屈辱的な扱いを受けていた。独自の捜査で法剣の在処に近づいたラグノだったが、人間側の対魔族戦闘少女・アークキャリバーに撃退されてしまう。魔界からの支援も望めない中、彼は「教師」としてアークキャリバーの日常に潜り込み、罠を張り巡らす。そうして、彼女らを捕えて苗床とし、より強い魔物を生み出す計画を立てるのだった。
Triangleの十八番、変身ヒロインシリーズの最新作は「魔法剣姫」。魔法戦士シリーズと比べると、武器、パーソナルカラーや性格の棲み分けなど、3人1組のユニット性が強く、戦隊モノや「レイ○ース」を彷彿とさせる。そういえば、日本刀を使うヒロイン(フラム)は、このブランドでは珍しい。どうせならコスチュームも和装が良かった。
全体としていつものTriangleを踏襲しつつも、多くの変化がある。魔法戦士とは異なるアプローチで新しいことを試みたのだろう。特に挑戦的だったのはエロ関連。幸運なことに、殆どが個人的にツボにハマった。
まずひと目でわかるのが、塗りの違い。影の使用が増え、これまでスッキリした感じから一気に肉感的になった。キャラのイメージの半分以上を決定づけるといわれる瞳も変化しており、大きくハッキリ塗っていた瞳孔部分が三日月状になったり、ハイライトが縮小されるなどしている。ヒロインたちのかわいらしさを強調する路線から一転、凛々しさを押し出してきた印象だ。
肝心のHシーンに目を向けると、1シーンの長さが増え、濃厚になった。また、シチュエーションが大改革。これまで余り見られなかった、腹ボテ、産卵やフタナリ化が入ってきた。他にも特定の魔物とヒロインの交流(?)や、ヒロインが「壊れる」シーンが積極的に描かれるなどしている。開発日誌で反事象桂林氏が、「今までなかったようなシチュエーションも多々」と言っていたのは、このあたりのことだろうか。姉妹ブランド作品『MONSTER PARK』シリーズで獲得した層への配慮があるのかもしれない。ただし、苦痛系ではなくて快楽系なので、それほど陰惨な感じはしない。
CGではストッキングをはじめ、衣類の破れ方が派手になったり、一部シーンで乳首の肥大化が強調されるなど、フェティシズムを刺激するような方向に舵取りされている。ポージングや構図もそれにあわせて、より屈辱的なもの(後背位、四つ這いなど)が多く採用されている。特に、手足の自由を奪う絵が多く、屈服感がよく出ているのが素晴らしい。ただ、このブランドが多用する、ガラス窓に押し付けてバックから犯すシチュが削られていたのは残念だった。
陵辱内容はいつもどおり、犯されているシチュと心情をヒロインが実況するパターン。ただ、卑語の内容がいくらかリアル路線になった。具体的には、パンティを連呼しなくなったとか。「も……パンティびしょびしょで……アソコからエッチな液出ちゃってて……」のようなセリフが減るのは、古くからのファンとして少し寂しい部分はあるものの、本作の内容だとギャグになりかねないので正解だろう。なお、完全になくなったわけではなく一部シーンには残っているので、「パンティ」が無いと我慢できない人もご安心あれ。
総じて陵辱がテコ入れされてハード路線になったのだが、そう聞くと、「可憐な戦闘美少女が淫らにあえぐ」というギャップが失われるのではないかと危惧する人もいるだろう。だが、本作のHシーンは下品な感じは無い。相変わらず堕ちるまでがチョロいのはチョロいにしても、あくまで清楚さや可愛らしさ、気高さを失わないギリギリのラインを攻めていて、さすがである。アヘ顔・イキ顔を晒し、とにかく過剰に乱れることに頼る作品が多い中、コンセプトを崩すことなくエロを強化した点を、私は高く評価する。
特に気に入っているHシーンは以下の5つ。
①捕まったエテルナが脱走に失敗して下魔にバックから犯される
②ウナギ魔物に拘束されたエテルナが吊り上げられて陵辱される
③レゾンがサソリ魔物に孕ませられ壊れていく
④悪堕ちしたレゾンがエテルナとフラムを四つ這いにさせ、馬にする
⑤フラムがブタガエルにアナルを犯されて妊娠させれらる
なお、物足りなかったところも多々ある。たとえば差分CGに大きな動きがなく、不自然に見えること。触手に絡まれるシーンではせめて脚の開閉を描いて欲しいし、剣でオナニーするシーンで柄の出し挿れが無いのは手抜きを指摘したくなる。この辺りの演出面には以前から不満を感じていたが、エロが強化されたことで一層その思いが強くなった。
また、シナリオも盛り上がりに欠ける。ラグノの生い立ちや、エテルナとの接点など、面白くなりそうな話もあったのに、全体にうまく絡んでこない。イブリルの話は唐突すぎて完全に読者を置き去りだし、エテルナ以外のヒロインは主人公とほとんど接点を持たず、愛着がわきにくい。広げた風呂敷にきちんと全キャラを乗せてから畳んで貰いたかった。
日常パートにいたっては、ぶっちゃけ状況説明とヒロインたちの近況報告になっていて、Hシーンの間を繋ぐだけの役割しか果たせていない。ヒロインたちが段階的に堕ちて行くのが本作の見所のはずなのに、これは勿体ない。日常のボリュームを増やす必要は無いにしろ(テンポが悪くなるから)、もっと、「この娘を跪かせてひぃひぃ言わせたい」と思えるようなエピソードを入れて欲しいところである。
要は、HPのキャラ紹介以上にキャラに魅力を感じる要素が少ないのだ。その点が、パンチの欠ける原因となっている。せっかくヒロインたちを苗床にするという目標を立てていたのだし、捕まえてからの展開(調教など)に注力しても良かったと思うのだが……。
「悪堕ち」すると即EDに行ってしまい、後の話がほとんど描かれないのも惜しい。コンセプトの制限があったのかもしれないが、やはりもう一押し、ヒロインたちとの親密な関係を望んでしまう。普通の恋愛ADVで、付き合うまでだけでなく、付き合ってからを望む声が増えたように、堕とした成果を見たいという人は、少なからずいるのではないか。何にせよ主人公とヒロインたちとの背徳的な関係というのは、キチンと描けばHシーンを燃え上がらせるスパイスになりうる。叶うなら、その辺りの補強を期待したい。
と、いろいろ言ったが、ここ数年のTriangle本家の中では群を抜いて良いできで、今後続篇が出るなら追いかけようという気にさせてくれた。ディスク入れ替えの手間があっても、暫くはHDDの中に残したままになりそうである。