全く話題にならないのが気の毒だが、確かに感想に困る作品ではあった。コンセプトをもっと明確に打ち出せば良かったように思われる。
本日(2012年9月18日)までデータ入力数1、一言感想ゼロ。プレイし終えて思うのは、何も出ないのもむべなるかな、といったところ。何せ感想といえば抜きゲーでしたというしかなく、深読みするような要素も皆無(少なくとも私には思いつかない)。幸い、誰も何も書いていないということは紹介の需要はあるだろうということで、今回は内容紹介のつもりで書かせて頂いた。末尾にCG・シーン数とHシーンの詳細を挙げておくので、購入を検討されている方は参照されたい。
内容は、エイリアンの侵略を受けた地球(東京市)で4人の女の子たちが身を寄せ合い、生き残るために逃げ道を探すというパニック系。4人がそれぞれさまざまな異種族エイリアンに襲われる凌辱ものなのだが、凝ったSF設定かと思いきやなかなか素敵に飛んでいる。
西暦2012年10月20日、人類は死滅した――
というOHPのストーリー紹介を読んで、壮大なスケールの予感! とワクワクした素直な人が果たしてどれだけいたか。多くの人は、滅亡の日付が発売日の二ヶ月後であることのほうに驚くだろう。近未来SFは結構だが、それにしても近すぎである。早く買わないと死滅しちゃうよ!
設定の陳腐化を恐れない自信と思いきりの良さに敬意を表したいところだが、実際には特に何も考えていなかっただけという気がする。なにしろ本作、ストーリーは絵に描いたような行き当たりばったり。超適当も良いところなのだ。
たとえばプロローグ。開始早々まぶしい光が辺りに降り注いだかと思うと、世界は廃墟と化し、人類は若い女性を残して一瞬で死滅してしまう。これが、恐るべき未確認生物「EBE(イーバ)」からの攻撃だったというのだが……。いくら手っ取り早く話を進めるためとはいえ、数クリックで人類の男が全滅とは恐れ入る。それなら最初から廃墟スタートで良かった気もするのだが。
また、それほどの科学力をもつにもかかわらず、EBEたちは地べたをはいずりながらヒロインと原始的な追いかけっこを展開。ついでに女性陣を動けなくして隔離しろよと無粋なツッコミを入れたのは私だけではあるまい。まあEBEがゲームや狩りの感覚で遊んでいるなら……と無理矢理自分を納得させていたら、ヒロインの一人が角材でぶん殴るという原始的な反撃によってEBEを呆気なく殺害。これはさすがに笑ってしまった。
EBEとは何者なのか。何の為に地球に来たのか。そういう大きな「謎」は普通、物語に緊張感を与え進行の駆動力となる。しかし本作では見せ方がイマイチなうえ、綺麗に解決されるわけでもないせいで、逆にテンポを落としスリルを減退させてさせてしまっている。
ヒロインたちの感情にもまるで「タメ」が無い。蘭は「私は何をされてもいいから!」と千佳をかばうが、どうして出会ったばかりの他人にそこまでできるのか。ヒロインの個人的背景も彼女たちの繋がりも公式設定以上のことは特に描かれず、過程をすっ飛ばして結論が来るので、ユーザーは置いてけぼり。真面目に説得力があると思ってやっているなら少々痛いし、全てがシュールなギャグならセンスが無い。
テキストは基本、女性一人称。空・遥・千佳・蘭という4人のヒロインそれぞれの視点から物語が描かれる。これは一定の効果をあげていて、Hシーンの描写では真に迫る内心が伝わってくる。しかし、正直違和感のほうが大きい。延々と直接話法で説明ぜりふが続くと、思わず「誰に説明してるねん」とツッコミを入れたくなる。直接話法と地の文の役割分担や、語り手がどの時点から語っているかといった基本的な部分があやふやで、「語り手としてのキャラ」と「登場人物としてのキャラ」との線引きが上手くできていない印象を持った。
テキスト関連で追記すると、表現がたどたどしく文章が読みづらい。「生きているという表現は語弊かもしれない」(OHPの作品紹介より)のような言い回しに違和感を感じる人にとって、本作を読み続けるのはかなりの辛抱が必要だろう。作中でも「地球外生命体の名称をEBE(イーバ)と名付けました」や、「いくら呼んでも探しても父の姿がどこにもおらず」など言葉の意味や主述の対応がおかしな表現が目白押し。そもそもパッケージに書かれたEBEの呼称が、「精物」、「性物」、「生物」と揺れまくりの時点で推して知るべきだったか。
残る期待はもう、Hシーンしかない。抜きゲーならばこちらが本番だ! というわけでエロに目を転じると、めかぶ味MAX氏のイラストは非常に綺麗で、ヒロインたちは魅力的。可愛らしくも肉感的な絵柄は、本作にとてもマッチしている。目は大きすぎず髪型やスタイルも整っていて、実に私好み。特に、服の上からでもきちんと形がわかるようにおっぱいを描き分けられているのは非常に良い。
各シーンは卑語込みの絶叫が豊富。異種姦ならではの嫌悪感や絶望感もきちんと描かれていてポイントが高い。また、絶頂時いわゆる「アヘ顔」に頼り切らず頑張ったのも評価したい。私自身はアヘ顔を嫌うほうではないが、何でもかんでもアヘ顔という最近の風潮には少々飽きていたのも事実。アヘ顔も使いつつさまざまなバリエーションの表情で絶頂感の違いを出す試みは、まだ手探りという感じではあるものの、なかなか見応えがある。
コスチュームも丁寧で、半裸・全裸のバランスもとれている。特に最近はライダースーツで凌辱されるヒロインも少なくなったので、個人的に蘭の存在は嬉しい限り。『DoNoR』(rouge)の南條彩嬢とか、ああいう娘がいっぱい出てきても良いと思うのだが……。
と個人的な好みで褒めているが、少なからず不満も残った。
絶叫しているシーンなのに口があいていない、乳責めをされて興奮しているのに乳首が立たないなど、差分CGでの表現が少ない。カットインのようなエフェクトも無く、内容に対して演出が平板。また、蘭をバックから責めるシーンなどでは二穴責めをしているのにアングルが蘭の正面からで胸が強調される形になっている。これでは、肝心のお尻が全く見えないではないか!! ……とまあこんな感じで、Hシーンを活かすような工夫が見られないシーンも多かった。何の為にバックから犯すのか、どうして駅弁スタイルをとるかなど、体位の持つ意味と作品全体の位置づけとを確認せず、なんとなーくエロを作っているからこういうことになるのだろう。何を大まじめに語っているのかと言われそうだが、やはり抜きゲーにとってHシーンの意味というのは大事なものだ。
世界崩壊や宇宙人という設定で何をしたかったのかが定まりきっておらず、この作品ならではという新しい切り口も見あたらない。抜き方向で行くなら行くで、もっと腰を据えてどっしりとした作品を作って欲しかった。これでは、内容と関係なく絵やシチュエーションが良ければ満足という人しか食いつかない。
低価格作品市場が安定してきた現在、「低価格でもいいや」という妥協をユーザーに強いるのか、「低価格だからこそ」買おうという積極的なモチベーションを与えるのかは、今後の命運を分けるところだと思う。低価格路線の雄たるsealブランドには、安直に妥協せず是非後者を目指して頂きたいと密かに期待している。
以下、シーン詳細-----
CG枚数20枚(差分無)、シーン数20。内訳は、空4、遥3、千佳4、蘭4、空+遥2、四人2、モブ1。
シーン詳細表記方法: (EBEのタイプ/体位/衣服/内容)
※便宜的に苦痛・快楽を分けたが、最後は概ね快楽堕ちで苦痛成分は薄い。
▼空
(1)人型・駅弁・制服・苦痛(破瓜)
(2)人型・開脚・ぱんつ・快楽(失禁)
(3)人型・フェラ・制服・快楽(自慰)
(4)触手+人型・手術台開脚・全裸・崩壊
▼遥
(1)ワーム型・舌でぐるぐる巻・制服(破瓜)
(2)手型・開脚・制服・快楽(潮吹)
(3)触手・開脚・制服・崩壊(出産)
▼千佳
(1)触手・開脚拘束・私服・苦痛(破瓜)
(2)小型の虫・尻もち・ぱんつ・快楽(自慰)
(3)触手・後背位・私服・快楽
(4)人型(ペニス)・開脚・半裸・崩壊(乱交)
▼蘭
(1)人型・後背位(正面視点)・半裸・快楽(アナルと2本挿し)
※アナル責めなのに正面視点なので後ろが見えません
(2)スライム型・開脚・ライダースーツ・快楽
(3)触手・手術台開脚・下着・苦痛(電撃・放尿)
(4)触手・手術台仰向け・全裸・SM(ムチ・羽・熱スライム)
▼空+遥
(1)フタナリレズ・側位・全裸・快楽
(2)人型EBEと3P・正常位+後背位・全裸・快楽
▼四人
(1)触手・つり下げ・全裸・快楽
(2)いろんなEBE・体位色々・全裸・絶望(産卵)
▼モブ
(1)いろんなEBE・体位色々・着衣・快楽