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OYOYOさんの魔王のくせに生イキだっ!の長文感想

ユーザー
OYOYO
ゲーム
魔王のくせに生イキだっ!
ブランド
Luxury
得点
80
参照数
3987

一言コメント

男は黙っておにゃにー。

長文感想

エロゲーに必要なのは、お金と時間と根性だと思っていましたが、もう一つありました。「体力」。これ大事。超大事。

最初から結構エロアクセル全開の本作、どこで勝負をかけるかが悩ましい。とはいえ1シーンで1日終わりましたじゃいつまで経ってもクリアできませんから、とりあえず序盤はさくさく進行します。で、我慢に我慢を重ね、気分が盛り上がってきたここぞというところでいざ決闘へと赴くわけです。サイクルとしては我慢→我慢→「もう我慢できな~い」ってな感じでしょうか。グゥレイト!

この性戦、普通なら1度でケリがつきオートモードから賢者モードでの進行となるのですが、本作の場合、戦闘が第二、下手をすると第三くらいまで控えてます。ヤバい。夏バテなんかしていたら、中ボスにも辿り着かないうちにぶっ倒れます。

そうやってフラフラになる私の脳裏をよぎったのは、これぞエロゲー! という感慨。私も含め、昨今はエロゲーの内容についてあれこれ考え、議論したりする。それは大変魅力的ですが、エロの実感が等閑視されがちなのは確かでしょう。

エロゲーにとって大切なことの一つはやっぱり、抜けるか否か。それを忘れてはいけない。経典解釈ばっかで頭でっかちになった中国仏教において、知識偏重に対抗し、「行」による体認を主張する形で生まれたのが禅宗だと言われますが、それに通ずるところがあるかもしれません。

抜けた。良かった。これ真理。はいおしまい。

禅繋がりで言えば、只管打坐ならぬ只管自慰。単純にして明快だけど、これ以上ない実感を伴った結論です。理由も理屈も要らない行為。ひとつやってみたまへ抜けるから、というノリこそ本作の紹介には相応しいような気もする。なんか前にもこんなこと書いたなぁ。

とはいえそれで済まないのが、投稿野郎の悲しい性。要らぬこととは存じながら、もう少しだけ紹介をさせていただきます。

正直、初めは余り期待していませんでした。何せ、タイトルからしてパロディ(『勇者のくせになまいきだ』)。主人公・蔵之助は三十路童貞=魔法使いという安直なお約束によるキャラ付け。メイは『狼と香辛料』のホロ、エレアとベルは『はがない』のロリコンビ(マリア・小鳩)をすぐに連想させるし、ティザームービーは「これ大丈夫なの?」と心配になるくらい有名なゲームやアニメをなぞっていて、他作品にぶら下がる気満々。ネタをばらまいて、あとは絵で勝負かけるだけじゃなかろうか、と邪推したわけです。ほとんど絵買い。

しかし蓋を開けてみれば、これはまったくの杞憂。刹那的な一過性の笑いに頼らず、全編通して適度にコミカルな雰囲気に仕上がっていました。

また、「うちはこういうユーザーさんを満足させたいんですよ」というのが明確なのもポイント高い。人の好みによって、あう・あわないがある以上、どんな作品でも完全無欠はありえない。そこで大事なのは、ターゲットとした層に対するインパクト。あう・あわないとは別のところで作品の善し悪しを決める部分があるなら、恐らくここでしょう。

魔王の過去や確執、勇者との戦闘などは大胆カット。描写はとにかく蔵之助とのHに集中です。合間に挿まれるイベントも、Hの時気分を高められる内容を伝えられるようなイベントに絞られている。キャラの魅力をもっと拡大する上手い方法はあり、伸びしろを残したまま終えてしまったとは思うのですが、限られたリソースを悉くHに注ぎ込んだ姿勢には共感します。とても楽しくHができました。

ただ、個別ED持ちが1人というのは(ヒント機能を見れば誰かは一発で解ります)、作品コンセプト的にも私の下半身的にも残念。特にそうせねばという必然的意図も見えないので、できれば魔王達にだけでも添い遂げる幸せを味わわせてあげてほしかった。

肝心のHシーンはすべてハイレベル。各種体位は勿論、コスチュームも含めていろいろ詰め込みつつも、キャラの特性をうまく活かすようにすっきりとまとめているあたりがニクい。複数原画の違和感もそれほど感じず、声優さんの演技もお見事。あとはもうちょいダーク系のシーンがあっても良かったのですが、蔵之助が「凌辱系エロゲーは苦手」ということなので、これは仕方ないですね。しかし、部屋に貼ってあるポスターの幾つかは、NEXTON系(Liquidさんとか)のバリバリ凌辱ゲーなのですが……。

システムは可も無く不可も無し。ネックは抜き主体で考えると1ルートが少々長いこと。何らかの方法で途中でも強制的にEDを迎えられるような仕掛けがあればシーン回想が楽で良かったかもしれません。一方、選択肢でストーリーを複雑に分岐させず、キャラ選択だけで進行させたのは正解。シンプルさもそうですが、何よりHシーンの前に必ずセーブができるのは、見えにくいけれど大きな親切です。

最後にキャラの話を。

アンジェリカ(アン) ★★★★ (10シーン、パッチ+1)
主人公への呼称:「蔵之助」
チャームポイント:たぶん胸
魔界の北を治める最強の魔王。クールビューティー。ムチムチボディー(死語)で主人公に迫ります。魔王としての責任感からビジネスライクに蔵之助と交わりますが、一生懸命Hに励むうち、いつの間にか蔵之助に惹かれて……という感じ。真面目で一途で、ちょっとズレているのですが、そこがまた良い。時々見せる照れた表情や甘えた態度が魅力的な、パーフェクト王道ヒロイン。

メイシャオ(メイ) ★★★★★ (9シーン、パッチ+1)
主人公への呼称:「ぬし」
チャームポイント:たぶん尻
西の魔王。九尾の狐。一人称は「わっち」。某賢狼様を思い浮かべるところですが、彼女と違い、メイはバカ。公式設定を見ると、MPゼロ(笑)。アンに対抗意識を燃やしてあれこれやるも、見事に全て空回り。プライドが高く威圧的で勝ち気な割に、とにかくチョロい。チョロすぎです。すぐに蔵之助に手綱を握られて、立場逆転。毎度適当にまるめこまれて露出プレイを強いられては、恥ずかしさに半泣きになりつつきゃんきゃん喘いじゃう。そこが可愛い! 私服がどえらい似合っていて、個人的には一番好き。公式の人気投票でも1位。ですよねー。

エレアノール(エレア) ★★★☆ (9シーン、パッチ+1)
主人公への呼称:「あんやん」
チャームポイント:小悪魔系ロリ
ふおおおおおおエレアちゃんかわゆい!! マジで踏まれたい! ロリマ○コ! アナルぺろぺろしたいお!! くんかくんかスーハースーハースーハースーハーぺろぺろぺろぺろエレアちゃん好きだああああああああ!! …………あ、失礼しました。東の魔王です。

アスセンシオン(ベル) ∞ (9シーン、パッチ+1)
主人公への呼称:「貴方」
チャームポイント:性格
南の魔王。ベルゼブブなので「ベル」。重度の厨二病に犯されており、「昏き魂の盟約者」(サヴァニスタン)こと蔵之助を我がものとすべく人間界へやってきた痛い奴。ち○ぽを「漆黒の欲望(ダークデザイア)」と呼ぶなど、センスは最先端。ロリキャラとしてはエレアとかぶっているのですが、かなりのアグレッシブ変態(マゾ)で、プレイ傾向は真逆。いたずら好きで攻め主体のエレアに対して、ベルは緊縛プレイや痴漢プレイを好みます。ただ自分から好んでそっちに走っているので、気分的には企画モノAVというかイメージプレイに近いかな。蔵之助が部屋に入ると、自分で自分を縛り上げて目隠し、ギグもセットして準備万端、濡れ濡れになったベルが布団に転がってる。そんな娘。

メイドさんズ ★★★ (計12シーン)
アンの参謀役、サキュバスメイドのジッタ。メイに振り回されるドジっ娘、自称「おとも」のスライム・タオ。エレアの世話役にして忠実な執事、蜘蛛女・レオ。ベルをからかいながらも暖かく見守る、「お守」の蛇女・メラの4人。それぞれのご主人と絡むHが1シーン、メイドさん単体との絡みが2シーンで合計3シーンずつ12シーンが用意されています。ジッタ以外は皆、人外要素を全面に押し出しており、Hシーンでは下半身が変化。恐らく、魔王様たちが基本人間形態なことに不満を持つであろう異種姦ファンへのフォローでしょう。それぞれのキャラや種族特性をうまく取り入れてはいるものの、分量がちょっと物足りない感は否めません。

ED絡みで6シーンがあり、パッチを含めれば合計59シーン。丈も長く、6800円の(ギリギリ)ミドルプライスにしては十分なコストパフォーマンスだと思います。