ErogameScape -エロゲー批評空間-

OYOYOさんの瞳の烙淫2 ~絶対不可避の審媚眼~の長文感想

ユーザー
OYOYO
ゲーム
瞳の烙淫2 ~絶対不可避の審媚眼~
ブランド
WitchFlame
得点
78
参照数
3827

一言コメント

このすべてが、扇華を堕とす道に続く選択肢だ! リアルADV能力を手に入れた厨二主人公が大活躍。

長文感想

望んだ未来に至る「選択肢」が視える能力を手に入れた義国晃一。無敵化した彼の、次なる目標は「女」。ターゲットは、完全無欠な学生会長・野ノ峰扇華。晃一の邪悪な企みが幕を開ける。

ヒロインは12人。シーン数は、扇華12、幼馴染のさやが8、その他は3ずつ。複数Hが17。個別EDは扇華3、さや1、ハーレム2。キャラの扱いに偏りがあるが、計67シーンは十分なボリューム。H時の息づかいを感じる吐息エフェクトも、地味だがエロくて良かった。

原画は2名で絵柄に違いがあるが、絡みは完全分業。極端な画力差もなく、それ程違和感は感じなかった(個人的には金目鯛氏が好み)。むしろ、さやと扇華以外は声優さんが1人2役なので、そちらに違和感が残るかもしれない。因みに卑語は多め。

さて本作は紛れもない凌辱ゲーム……のはずなのだが、妙なラブ感が漂う。これは、晃一の独占欲のなせるわざだろう。すなわちこの作品、他の男が一切登場しないのである。Hシーンを含めて。

普通凌辱と言えば、ターゲットの心をへし折るためや忠誠を試すためと称し、ヒロインを他の男に抱かせたりする。だが、本作にはそれがない。晃一はヒロインの愛と忠誠を専有する。「これこそ、俺にふさわしいオモチャだ」と扇華を求める晃一の想いは歪んでいるし、方法は凌辱なのだが、ある意味一途に扇華に恋しているのだ。凌辱的でありながら輪姦などをしないという意味では、ソフトハウスキャラの主人公と似ているだろうか。

ついでに晃一は結構な厨二病。本気を出すと目立つから手加減しているんだとか、いちいち台詞がおもし……カッコイイ。いつ「クッ、右目が疼く……!」とか言ってくれるか楽しみにしていたが、残念ながらそこまでには至らなかった。また、ヒロインの扇華さんもひけを取らない。数学のテストで、教師も知らなかった最新の学説を踏まえて解答をつくった「本物の天才」。なかなかの邪気眼ぶりである。お似合いカップルと言わざるを得ない。

もっとも、ラブ感が漂うからといってHシーンが薄味かといえば、NO。

前作『瞳の烙淫』はマインドコントロール能力を使ったサスペンスだったが、本作は逆。晃一の能力は「人物がどう動くかまではわかる。だが、どう考えるか、どう考えてるかまでは完全には読めない」。だから、相手の「心」を堕とそうとする。心を溶かすまで快楽漬けにするぶん、肉体的なエロは強烈になるのだ。

精神的責めも悪くない。晃一は無理姦りがよほど気持ちよかったらしく、「ただ漫然と女を抱いただけではこの快感は味わえまい」とご満悦。縛ったり叩いたりはほとんどないが、シチュエーションと言葉で執拗に責め、嫌がる相手を屈服させる描写はなかなかそそる。その中でも最後まで抵抗するヒロイン・扇華は、晃一にとって特別な存在であると同時に、ユーザーにも特別に見えるようになっており、上手い構成。なかなか堕ちないからこそ、挑みがいがあるものだ。

ただし、扇華をひっぱるぶん、他キャラの展開の性急さは否定できない。脇役は3シーンしかないので、堕ち過程がマッハ。また、Hのバリエーションは単調。シチュエーションやコスチュームも、懸命にメリハリをつけようとした跡はうかがえるが、やや無理矢理感が漂う。キャラによっては普通のHが減ってコスプレ専門のイロモノ感が出たりと、バランスが崩れてしまった。

単調といえば、ストーリーにも言える。プロローグこそ細かいエピソードが続くが、いざ本編が始まると、Hシーンが続くだけ。名前も知らない見ず知らずの相手を通り魔よろしく襲撃し、あとは脅しと快楽で言うことを聞かせるパターンの繰り返し。様式美の世界といえばその通りだが、詳細に説明される生徒会主要メンバー(扇華、和華奈、さや)とその他のキャラで、シーンの深みに差が出てしまった。他キャラももう少し背景を丁寧に追い掛けていれば、Hシーンの質が更に高まっただろうに惜しまれる。

とはいえ、Hの連続で物語が進むというのは悪くない。数えてみたところハーレムEDまでの1プレイで、Hシーンは計50。50シーンをつなぎ合わせて1ルートを作成しているわけで、抜きゲーとしては相当親切。プロローグがいきなり挿入シーンから始まることといい、スタッフはツボを押さえている。……和華奈&扇華のHでつるぺた和華奈の乳首だけがちょっと見えてる絵は、エロくてマジ神でした。ありがとう、そしてありがとう。

イベント探索を楽しめる適切な難度。ちょっと面白い仕掛けのシステムも、遊び心を感じて良い。クセはあるが、丁寧に作られた良質な抜きゲーだ。困ったら全て「能力のお陰で」で済ませるあたりはいささかご都合主義過ぎる気もしたが、ある意味潔いと割り切るところで、腹を立てることではないだろう。欲を言えばシーンスキップが欲しかっただろうか。

相手をいたぶって壊すのではなく、肉体的快楽で心を征服する凌辱を好む人にお薦めの一本である。

基本点90、エロ+5、性急-5、単調-8、バランス-4。