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OYOYOさんの発情退散! 中出しお孕い除霊性活の長文感想

ユーザー
OYOYO
ゲーム
発情退散! 中出しお孕い除霊性活
ブランド
softhouse-seal
得点
69
参照数
1065

一言コメント

♪じょれいじょれい、じょ~れいじょれい、じょ~れいじょれい、いぇ~いいぇいいぇいぇい……誰もこの電波ソングに突っ込まないとか勿体ない。

長文感想

世間はロープライスエロゲが溢れかえるデフレ状態にあるわけだが、そんなロープラ量産メーカーの一翼を担うのが、softhouse-seal。2008年から年間10本以上作品をリリースしていたが、2011年は6月以降毎月2本ペースで新作を発表中。このままいけば年間20本の大台に乗るかもしれない。

sealの特徴は、エロに加えてアイディアの一発勝負を仕掛けてくるところ。思いつきや勢いだけのネタで、普通ゲームはつくれない。しかし、低価格ゲームならそれが許されるところがある。買う側もエロ以外に過度な期待はしないから、ハズれても笑って許せるし、ちょっと面白いと得した気分になる。作り手も買い手も嬉しい、上手な戦略だ。

『発情退散! 中出しお孕い除霊性活』は、そんなコンセプトを踏まえ、バカゲーと抜きゲーの間を地でいく一本。物語の整合性、描写の説得力など気にせず、おバカなノリを楽しむ作品である。

ヒロインは3人。ノータリン幼馴染み・和、ツンデレ系アイドル・愛里沙、薄幸系大学生・南。シーン数はそれぞれ、6、5、6にハーレム3の20。EDは、各キャラ個別とハーレムで4つ。選択肢は2箇所(浮気するとハーレム)。基本和姦で腹ボテ多め(悪霊が子宮に取り憑く)。縛り、男女入れ替わり、ナニが生える等の特殊プレイあり。

嬉しいことに、のっけから見所が訪れる。それは、OPで流れる電波ソング『全力!除霊Life~ズキッ☆ドキッ☆もしかしてLOVE?!~』。ノリノリの楽曲にのせてぶっ飛んだ歌詞が垂れ流され、声を出して笑ってしまった。破壊力抜群である。公式HPでダウンロードできるので興味のある方は是非どうぞ。

しかし残念なことに、このOPが本作のクライマックス。あとはゆるやかに笑いが失速していく、ややぬるい内容だった。

途中に3度挟まれる、ドラ○エっぽい戦闘は正直微妙。なにせアピールポイントの「レースバトルシステム」が、手間がかかるだけで面白くない。単純にユーザーを飽きさせないでおこうと配慮したのか、シュールなシステムで笑いをとるつもりだったのか定かではないが、いずれにしても意図を実現できているとは言い難い。ちなみに、スペルマチャージで敵を全滅させた方が早く、レースに意味がないのも中途半端。

最も気になったのは、主人公の言い間違え癖。ことあるごとに、「鑑識……違う、公文式……でもない! カンヌシ!」とか、「蜜豆……いや、見回りに!」とか、「ギガはやめろ!! ……じゃない、テラバイト! でもなくて、えっと、えっと、……ネガ! そう、ネガティブなことを言っちゃダメだっ!!」とか言い出す始末。これが10回は差しはさまれる。

まさか本当に紛らわしいと思ってはいないだろうから、馬鹿馬鹿しさ・チープさの演出と受け取るべきだと思う。一種の自虐というか、バカゲーですよというアピール。しかし、正直やりすぎだ。

大体、本作をやろうかと思っているユーザーは、これがバカゲーであることなど百も承知なのだ。それを何度も何度も、しかも同じネタを使って繰り返されるとさすがに辟易する。万が一本気のギャグでやっているなら、その時は笑うのを通り越して気の毒になるか、呆れるかのどちらかだろう。

あとは細かいことだが、上記主人公の悪ノリとは別に、テキストのミスが目立つ。たとえば「悪霊。それは災厄を振り撒く、決して人と相成れない存在」(恐らく「相容れない」)のように、おかしな部分が散見された。

バカなノリであることと、雑なこととは同義ではない。低価格ゲームは短い。だから余計、全体の完成度が目に付く。小さな瑕も、あまり多いと手抜きに感じ、満足度を簡単にスポイルしてしまう。短いからこそ丁寧に。低価格ゲーム戦国時代の先陣を駆けるsealに、そういう心意気を見せて欲しいというのは欲張りすぎだろうか。

エロに手を抜かず、最低限のクオリティを確保しているものの、他は平凡。基本点80点(低価格基準)。馬鹿演出-10点、雑さ-5点、エロ+2点、コンセプト+1点、電波ソング+1点。合計69点。冒頭に宣言した通り、「ハズれても笑って許せる」作品になってしまった。